- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062736091
感想・レビュー・書評
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「阿波丸」「阿波丸事件」がモチーフになっているという。三菱長崎造船所で作られたとあって、それだけで嬉しくなった。内装はフランスのマーク・シモン製だったそうな。日本郵船歴史博物館のHPでマーク・シモン製内装の「氷川丸」をみることができる。開戦直前にそんな船をよく作ったものだ。この作品の「弥勒丸」は横浜ーサンフランシスコ間の大西洋航路の船として作られた。実際の阿波丸は豪州航路用だったらしい。
台湾の領海内に沈んでいる「弥勒丸」引き上げに資金を貸してくれ、という依頼が舞い込む。依頼者はなぜ弥勒丸にこだわるのか。金策を依頼された大物たちは何かしら弥勒丸に関わっていた。重い口が開かれる。
重い話の合間に、クスッと笑ってしまうエピソードが織り込まれている。捕虜への救援品に本やレコードまで入っている。
(蓄音機なら船にある)「駄賃にいただくっての、どうですか」
「駄賃」に声をあげて笑ってしまった。タネイタ(=レコード)は救援品として降ろされることなく、沈没の瞬間まで音楽がかかっていた。
(官僚が支給された軍服について)
「…何だね、このアフリカ探検隊のようなヘルメットは」
当時のヘルメット姿が容易に想像できた。
上巻で役者がそろう。一気読み。下巻で彼らが何を語るのかが楽しみだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あらすじ
昭和二十年、嵐の台湾沖で、二千三百人の命と膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸。その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが、次々と不審な死を遂げていく-。いったいこの船の本当の正体は何なのか。それを追求するために喪われた恋人たちの、過去を辿る冒険が始まった。日本人の尊厳を問う感動巨編。 -
なし
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終戦直前に撃沈された弥勒丸の悲劇。
サンフランシスコへの就航予定の豪華客船が、陸軍に徴用。
引き上げを熱望する台湾人、宋英名。
昭南(シンガポール)での特務機関員の、恋人との再会と悲しい別れ。
新聞記者を止め、引き上げに情熱をかける久光律子。 -
第二次世界大戦中から現代の話、近代日本史好きにはおもしろい
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後半で。
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昭和二十年、嵐の台湾沖で、二千三百人の命と膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸。その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが、次々と不審な死を遂げていくー。いったいこの船の本当の正体は何なのか。それを追求するために喪われた恋人たちの、過去を辿る冒険が始まった。日本人の尊厳を問う感動巨編。
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悲しい思い出が美しく彩られるのは浅田先生の真骨頂だろうか。ただ、私はJAL機内誌の先生のエッセイのほうが好きかもしれない。
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昭和20年に発生した「阿波丸事件」をモチーフにした小説。生存者や関係者からの話しで、徐々に事件の様相が明らかになりつつある(後篇へ続く)。