昭和史 七つの謎 (講談社文庫)

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著者 : 保阪正康
  • 講談社 (2003年1月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062736466

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昭和史 七つの謎 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 目次
    ・第1話 日本の〈文化大革命〉は、なぜ起きたか?
    ・第2話 真珠湾攻撃で、なぜ上陸作戦を行わなかったか?
    ・第3話 戦前・戦時下の日本のスパイ合戦は、どのような内容だったか?
    ・第4話 〈東日本社会主義人民共和国〉は、誕生しえたか?
    ・第5話 なぜ陸軍の軍人だけが、東京裁判で絞首刑になったか?
    ・第6話 占領下で日本にはなぜ反GHQ地下運動はなかったか?
    ・第7話 M資金とは何をさし、それはどのような戦後の闇を継いでいるか?
    ・番外編 昭和天皇の「謎」

    ちょっと文章が読みにくいというか、頭に入りにくかったけれど、全体的に面白かった。

    日本の〈文化大革命〉とは、2.26事件から戦争までの、陸軍が台頭してきた世相のこと。
    2.26事件は、働いても働いても楽にならない農村の実態を憂い、それは天皇のそばにいるやつらが私腹を肥やしているからだと、陸軍の青年将校たちが起こしたクーデター。
    陸軍が起こし、陸軍が鎮圧し、のちに陸軍が台頭する。
    この本では詳しく触れていないけど、これは、陸軍の中の皇道派と統制派の派閥争いでもあった。
    青年将校は義憤に駆られて蜂起したのだけれど、彼らの後ろにいたのが皇道派。
    そして鎮圧した後力をつけて行ったのが統制派。
    「私たちが陸軍の暴走を抑えます」と言って暴走を始める。

    そもそも明治維新の時もそうだったけど、目的が善なら手段を問わなくてもよいという暗黙の了解が日本にあるっぽい。
    そして、海軍の将校主導の5.15事件では、首謀者にあまり厳しい処分が下されなかったので、イケイケの空気になってしまった部分もある。(でも安藤大尉は最後までめっちゃ悩んだんだよぅ)
    ああ、いかん。この本の内容からどんどん離れていく。
    まあ、そんな感じで、陸軍はどんどん力を増していった。
    天皇のために存在し、天皇を守るために戦う。それは全きの善であると。

    “昭和十九年、二十年になると、日本の政治、軍事指導者も国民も、あの紅衛兵と同じように目を血走らせて、他者へのコミュニケーションを拒否していたのではないか。太平洋戦争の後期を、カタルシスで戦っただけの日本は、どうあれ中国の〈文化大革命〉やイスラム圏のジハード(聖戦)、あるいは北朝鮮の金正日体制を軽々には批判できない。”

    敗戦の理由は、まあいろいろあるけれど、まず第一に個別の作戦計画はあったけれども、戦争自体をどう持って行ってどう勝つかという具体的な計画が一切なかったこと。
    相手が「負けました」というまで闘い続ける。将棋の国日本。
    そして、情報が武器になることを認識していなかったことも大きい。

    東京裁判で陸軍の軍人だけが絞首刑になったのは、天皇の戦争責任を回避するためのストーリーを作っていく上で必要だったのが、陸軍の暴走。
    そもそも真珠湾を攻撃して開戦にもって行ったのは海軍だったのに、気がつけば全責任を陸軍が負わされて、2.26の負の遺産をここで精算することになった。

    さて、聞いたことはあるけど、実態のわからないM資金。
    結果から申しますと、やっぱりわからないらしいのね。
    戦前にあったはずの皇室の財産や、戦費としてあったはずの大金が、戦後GHQが調べてみると無くなっている。
    それは多分、どこかで誰かが、いろんなタイミングで横領してたからではないかと思うけど。
    敗戦のどさくさで、要領のいい人たちはちゃっかり自分のものにしたこともあるのかと。
    でも、徳川埋蔵金のように「きっとある」と夢見る人が多いので、M資金詐欺が無くならないのだそうです。

    そして、天皇の戦争責任。
    戦前の天皇は、国民に対して責任を感じていたのだろうか?と思いました。
    天皇のために国民があると教えられ、帝王学を学んでいたのだとしたら、国... 続きを読む

  • 「太平洋戦争、七つの謎」とかぶる部分もあるが、豊富な取材に基づいて昭和史、特に戦前、戦中、戦後占領時代の状況が、著者のユニークな視点で語られていて面白かった。
    なお、東京裁判が「相応に良心的」と見ているのにはやや違和感を感じた。著者のいう通り、天皇を被告として法廷にに引きずり出さずに済むよう仕組まれたシナリオ、ということなのかもしれないが、被告の中には立派な人格者も多かったのだから、良心的というのは言い過ぎでは? また、著者の先の戦争に対する批判的な眼差しが、特定の者にやや厳し過ぎるような気がする。
    戦後復興期、横流しされた不透明な資金が今の幾つかの大企業の栄華の基となっているのだとすると、複雑な感じがする。戦後の歴史から見ても、会社は社会の公器という意識、やはり大切なんだな。

  • 日本人の過去に向き合えない特性が、根本的な謎。昭和の戦争しかり、原発事故しかり。

  • 昭和前期は、私たちの親の世代が体験した壮絶な時代であるにも関わらず、教科書でも教えられず、身近な時代なのに余りに知識を持っていない歴史。本書でも書かれているが、後の世代が感心を寄せる時代となる。本書からそのことが伝わってくる。

  • 歴史ミステリーに関心を持ち出して久しいが、どんな謎が存在するのか、調べたこともなかった。昭和前期という、まだまだ自分に近い時代にも謎があるという。
    ついつい手にしてしまった。

    第一話 日本の(文化大革命)な、なぜ起きたか?
    第二話 真珠湾奇襲攻撃で、なぜ上陸作戦を行わなかったか?
    第三話 戦前・戦時下の日本のスパイ合戦は、どのような内容だったか?
    第四話 (東日本社会主義人民共和国)は、誕生しえたか?
    第五話 なぜ陸軍の軍人だけが、東京裁判で絞首刑になったか?
    第六話 占領下で日本にはなぜ反GHQ地下運動はなかったか?
    第七話 M資金とは何を指し、それはとのような戦後の闇を継いでいるか?
    番外編 昭和天皇の『謎』

    なるほど、たくさん謎があります。
    年齢を経てから幕末、近代史にも興味を持つようになりましたが、実は毎年夏にマスコミが盛り上げる戦争責任等の話はあまり関心を持ててなかった。
    靖国神社参拝問題もしかり、A級戦犯、B級戦犯の違いについてもよく知らなかった。
    そんなくせに中国や韓国が問題を取り上げることを言いがかりをつけてるのか?と言う程度にしか受け止められていなかった。

    自分自身を振り返り、きちんと事実を理解しその上で判断をするようにしなければと反省。
    勉強とか難しく入るのは苦手なので、まずはライトな感じのところから入ってみようと思い、早速図書館で予約をしてみた。

  • 教養として日本史、昭和史を含む近代史を勉強するため知人から借りました。日本史に疎い私ですが、昭和史(特に前半)の勉強という目的は果たせた気がします。戦前、そして戦後の謎をテーマにしているため、かなり踏み込んだ話ではありましたが、その背景も丁寧に説明をしているため、予備知識の無い私でも面白く読む事が出来ました。

  • なぜ日本軍はハワイ上陸をしなかったのか、それは日本が米国に勝つということがどういう結末なのかがイメージ出来ていなかったことによる。確かに勝つことが単に敵が意欲を失うことを考えていたとすれば、あまりにも中途半端だった?・・・。また東京裁判陸軍に厳しい結果になったのは、天皇免責としたいマッカーサーの意図による?ソ連占領による日本の東西分割がなぜ免れたのか、実はかなり際どいところまで行っていた?反GHQ地下運動が日本でなかった理由、なぜ日本人は玉砕といっていたのに素直にGHQを解放軍として迎えたのか?M資金がなぜ戦後長い間、現在に至るまで謎とされ、多くの人を騙してこられたのか?どれもつい数十年前の出来事だが、謎に包まれている。著者の説明は説得力があり、面白く読むことが出来ました。

  • 途中で何回も休みながら正月休みで読み終わり。
    昭和が終ってもう20年以上が経つのに謎は謎のままだ。

    2012/11/09 BookOffで100円で購入;2012/11/10から読み始め;2013/01/03読了

  • 日清戦争から太平洋戦争あたりの日本史に興味を持ってきたので、
    日本史の勉強シリーズ第2弾として、図書館で借りた本。
    日本史の知識を最取得しようとしている自分みたいな人間でも読みやすい書籍です。


    昭和史と名を売っているけど、大部分が昭和初期(日本が占領下にあった時期まで)を扱っています。

    なかでも、東京裁判の背景や、日本がソ連に分割統治されなかった背景なんかが興味があって勉強になった。
    今を思うと、アメリカの態度が弱気になって、日本がソ連に分割統治されてしまっていたら、今の日本はなかっただろうなぁと思う。


    つか、ソ連!北方領土返せよ。

  • 昭和史の前期に関しては、もはや「同時代史」ではなく「歴史」といつてよからう、と著者は述べます。
    歴史として検証されるべきであり、検証してもなほ残る「謎」が存在する、と。
    さういふ謎について、著者の保阪正康さんは大胆に迫るのであります。
    例へば、著者自身の推測をあへて述べ、謎が埋まるやうにするジグソーパズルみたいな方法。
    もしくは、歴史にタブウとされる「if」を使用し、事実に迫る方法とか。

    第1話「日本の<文化大革命>は、なぜ起きたか?」...現在の日本も「前夜」あたりの空気に似てゐないかと思ひます。
    第2話「真珠湾奇襲攻撃で、なぜ上陸作戦を行わなかったか?」...昔の東宝映画でも、藤田進の南雲忠一は攻撃しなかつた件で非難を浴びてゐました。
    第3話「戦前・戦時下の日本のスパイ合戦は、どのような内容だったか?」...真珠湾攻撃が「騙し打ち」になつてしまつた経緯も明らかになつてゐます。
    第4話「<東日本社会主義人民共和国>は、誕生しえたか?」...かつて手塚治虫さんは、このifが実現してゐたら、といふ想定の漫画を描いてゐました。
    第5話「なぜ陸軍の軍人だけが、東京裁判で絞首刑になったか?」...本書を認めない人達は、どうやらこの辺が気に入らないらしい。
    第6話「占領下で日本にはなぜ反GHQ地下運動はなかったか?」...日本人はこの数百年は変つてゐないのではないかと思はせるルポであります。
    第7話「M資金とは何をさし、それはどのような戦後の闇を継いでいるか?」...真偽はともかく、タチの悪い話であります。まさに闇の中。田宮二郎さんの自殺は本当にM資金が原因なのだらうか。

    かうして見ると、読み物として恰好の題材を得てゐますね。取材対象の人物が物故者だつたり、連絡が取れなかつたりで、調査の難航ぶりがうかがはれます。やはり昭和の戦前は歴史になりつつあると申せませう。力作。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-264.html

  • 「歴史にタラレバはない」との意見は正論とは思いますが、もしあのときこうだったらという想像は歴史を面白く考えるのには良い事だと思います。この本はそういう点で書かれた本です。昭和史の謎について書かれていますが、決して謎解きという訳でなく、「あの時こうなったのはこういう背景があるんじゃないですか」っていう予測の意見を知る事が出来たという点で、面白かったです。でもこういう意見は本当に様々解釈がある事なので、興味を持った事象については別の意見にも触れる必要があるなと思います。

  • 保坂正康には「死のう団事件」から入門。

  • チャーチル曰く「デモクラシーというのはどうしようもないひどい政治である。けれども今までに存在したいかなる政治制度よりはましな制度である」

  • とりあえず昭和史は読んでおけ、という理由で買った本。7つの謎のタイトル通り、戦前・戦後の占領期辺りの7つのトピックについて書いてあります。薔薇木観点から言うと、まあ参考に…という程度。

  • 昭和史前期から中期にかけての謎を解明する本。
    が、どうにもいかん。まず一つは推測が多いこと。推測そのものは構わないのだが、きちんとしたデータ(可能であれば第1級史料)を提示せず、誰かの書いた本や本人に聞いた事をベースとして進めているのです。まぁ、実物なんて簡単に見れるものではないから仕方ないとは思うけど。
    次に一つ目にも書いてあるけど、本人に聞いた話というところ。人間の記憶というのは非常に曖昧で、そう聞いたと思っていても時間がたったり、マスコミなどでいろいろ情報を受けたりして変化してしまうもの。うっかりすると、夢と現実が混同してる場合すらあるわけです。本人に聞いたから間違いないってのは非常に危険だと思います。
    三つ目、南京で大虐殺があったという認識。いまでは、ほぼ否定されている南京大虐殺を肯定しているのは問題かと思います。下手なことを書いて単行本に収録されなくなった漫画も存在していますからね。年代でいろいろ数値が変わったり、偽物の写真しか出てこないものが「歴史的事実」ってのはまずいかと思います。研究者であるならその辺はちゃんと把握しておかないと。
    あとは気に食わない点もいくつか。2.26や5.15が文化大革命と同列に扱われていること。確かに両方とも「改革」ではあったとは思いますが、2.26も5.25も一般市民の虐殺は行われていないし、ほぼ無差別のホワイトカラーの抹殺も行われていないわけで、同列に扱うのはどうかと思うわけです。
    あとこの人日本人なのかな?って思う表現がしばしば見受けられますね。最期の特別編の皇居前の「空白」を疑問に思うところとか。日本には「広場」って文化が存在しないわけだし。まぁ研究者だからいーのかね。
    北海道がソ連に占領されていたらって部分とか、結構納得できるものもそれなりにはありました。中央で見てるという立場で書いているみたいですけど、微妙に傾いてる気がするんですよねぇ。

  • 著者は、昭和の時代を以下のやうに分類してゐる。<BR>
    <BR>
    昭和前期:〜昭和20年8月<BR>
    昭和中期:昭和20年9月〜昭和27年4月<BR>
    昭和後期:昭和27年5月〜昭和64年1月<BR>
    <BR>
    本書は昭和前期の謎を4つ、昭和中期の謎を3つ採り上げてゐる。<BR>
    <BR>
    採り上げられてゐる謎は以下の通り。<BR>
    <BR>
    1.日本の<文化大革命>は、なぜ起きたか?<BR>
    2.眞珠灣奇襲攻撃で、なぜ上陸作戰を行なはなかつたか?<BR>
    3.戰前・戰時下の日本のスパイ合戰は、どのやうな内容だつたか?<BR>
    4.<東日本社會主義人民共和國>は、誕生し得たか?<BR>
    5.なぜ陸軍の軍人だけが、東京裁判で絞首刑になつたか?<BR>
    6.占領下で日本にはなぜ反GHQ地下運動はなかつたか?<BR>
    7.M資金とは何をさし、それはどのやうな戰後の闇を繼いでゐるか?<BR>
    <BR>
    これらの謎に對して著者は、事實を收集し、推理を交へて再構築することで、謎に迫つてゐる。<BR>
    文庫版あとがきで、筆者は次のやうに述べてゐる。<BR>
    「本書についていへば、私は、知的な刺激を求めて讀んでいただければと思ふ。(中略)
    根據のある推測や可能性のある見解はときに必要にもなるのではないか。<BR>
    本書ではその試みを行なつたのだが、(以下略)」<BR>
    <BR>
    本書で初めて知る事實はたくさんあつた。<BR>
    一例をあげると、ソ聯の日本侵攻である。<BR>
    8月8日の日ソ中立條約を一方的に破棄しての「驅け込み參戰」は有名な事實だが、
    それどころの騷ぎではない。<BR>
    <BR>
    8月15日のポツダム宣言受諾以後もソ聯は武力侵攻を續け、
    なんと9月5日の齒舞諸島占領まで續けてゐたのである。<BR>
    樺太に上陸したのが16日で、25日に樺太全土を制壓し、
    28日に得撫島、擇捉島に上陸。<BR>
    9月1日に、國後島、色丹島に上陸。<BR>
    <BR>
    これは知らなかつた。<BR>
    しかも9月2日には日本は降伏文書に調印してゐるのであるから、<BR>
    それ以降の軍事行動は、あきらかに國際法に違反してゐるのだ。<BR>
    戰後處理をにらみ、大急ぎで權利を獲得したわけである。<BR>
    <BR>
    この戰後のどさくさ占領が、現在の北方領土問題の發端なのである。<BR>
    <BR>
    2004年4月2日讀了

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