空山 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 127
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062737784

感想・レビュー・書評

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  • 同じ背景・登場人物の前作「空夜」が恋愛小説だったのに対し、この作品は「ごみ問題」を取り上げた社会小説です。
    さすがというか、帚木さんの筆力は素晴らしく、一気に読ませてもらえます。人物造形の上手さや、途中に盛り込まれる恋愛模様の面白さもあります。
    ただ、ごみ問題があまりに正論過ぎて、どうしても青臭い理想論のようにしか見えないのです。例えばごみを税金で処理するのではなく、製造会社が回収するべきという論理もその一つです。製造会社は営利団体です。でなければ、その会社の従業員の生活は成り立ちません。回収義務を与えれば、その費用は製品の価格に反映されます。結果的には税金を支払うのと大差は無くなります。さらに良心的に回収しようとする会社の製品の値段が上がったとき、普通のユーザーはより安い(回収しない)会社の製品を購入しようとする。結果的に良心的な会社が損をする。。。
    とはいえ、いろいろな事を調べ、それなりに説得力を持った面白い小説でした。

  • 空夜とはうってかわって、シリアスな展開。それでも帚木蓬生らしい匂いの伝わる文章に、落ち着きを感じる。

  • 2012.6.8(土)¥450。
    2013.3.15(金)。

  • 大作です。巨大なごみ処理センターをめぐり、ごみの出し方、ごみの行方、自然への影響など考えなくてはいられなくなります。本当に身近で深刻な問題です。

  • ごみ処理場建設に絡む環境問題、政治問題を取り上げる。行政側の曖昧ななし崩しにしようとする対応に、今日の福島原発事故を彷彿させられる。11.5.22

  • ゴミ問題と自然、そして恋心。自然描写と社会問題をうまく組み合わせた小説だと思った。
    しかし、中途半端な終わり方が残念。

  • 解るのだ、ごみ問題がどれほど重要なことなのかは。しかし、登場人物が皆きれいごと過ぎる。あなたは自分で今の便利な生活を捨てれるのかと思う。

  •  『空夜』の続編。とはいえ、前作が男女の情愛を緩やかに淡々と描いたのに比べ、今作はごみ処理問題をテーマに据えた社会派。社会派小説は好きなので、楽しむという意味ではいいのですが、前作は前作で、帚木蓬生の読みごたえある文章が気に入っていたので、なんとも複雑。

  • 「空夜」の続編で登場人物は同じです。しかし、内容が全く変わっており前作で準主役であった俊子が主役級になっています。
    前作は大人の恋愛小説でしたが、本作はゴミ問題・地域振興・政治問題の三点が書かれています。こう書くと非常に硬く難しい内容と敬遠されがちですが、さすが帚木蓬生。当然多少の専門用語も出てきますが難し過ぎず、かといって簡単過ぎず絶妙なバランスで書かれています。

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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