文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (994ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738385

作品紹介・あらすじ

宴の支度は整いました――。京極堂、挑発される。

「知りたいですか」。郷土史家を名乗る男は囁く。「知り――たいです」。答えた男女は己を失い、昏(くら)き界(さかい)へと連れ去られた。非常時下、大量殺戮の果てに伊豆山中の集落が消えたとの奇怪な噂。敗戦後、簇出(そうしゅつ)した東洋風の胡乱(うろん)な集団6つ。15年を経て宴の支度は整い、京極堂を誘い出す計は成る。シリーズ第6弾。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和13年伊豆韮山の山村の集落で起きたと思われる村ごと殺人事件。その昔の姿を失った戸人村。
    各章ごとに、記憶を操作されたと思われる人達が、怪しげな集団に導かれながら、その場所にたどり着いて行く、と予測しています。

    ぬっぺっぽう
    今回の主軸となると思われる、伊豆韮山にかつて存在したらしい“戸人村”。戦前、駐在したという元警察官、郷土史家と巻き込まれる関口は、地図にもない村へ。そうそうと、トラブルに巻き込まれる関口。
    うわん
    静岡沼津の海辺。自殺志願の男を助ける一柳朱美。
    言動の定まらぬ男に「成仙道」という新興宗教が、
    見えてくる。
    ひょううすべ
    祖父との思い出が揺らぐ麻美子。その記憶に不信を抱き始める。彼女は、華仙姑処女という占い師に心酔していた。
    わいら
    中禅寺敦子が、韓流気道会の記事を書いた事から、襲撃を受ける。その時、華仙姑処女と名乗る、佐伯布由と関わる。
    しょうけら
    木場修太郎登場。京極堂の庚申講の蘊蓄がね!
    私もね、庚申はわかるけど。それ以上は、深掘りされますとね、読書が進まないので、わかったふりで。
    潜在意識を操作された女性。
    おとろし
    なんと織作家生き残りの茜さん登場。財産の処分を織作伊兵衛の弟、羽田隆三へ頼む事に。羽田は、丹後出身、徐福の子孫だという。そこで徐福研究会を立ち上げていた。そして、風水師興安丸にコンサルを頼んでいた。この羽田の秘書津村は、研師の息子で、戸人村と関わりがある。

    まだ、宴が始まってないから、忘れてしまいそうで、心配です。
    記憶というものの不安定さ、不確実さが混迷を深めていき、数々の怪しげな組織が徐々に韮山に向かう。

    • おびのりさん
      反射炉あるよね。
      お土産は、フクヤのロールケーキで。
      反射炉あるよね。
      お土産は、フクヤのロールケーキで。
      2023/11/23
    • 土瓶さん
      この男は人を呑む。

      関口は巻き込まれ上手だよね。
      この男は人を呑む。

      関口は巻き込まれ上手だよね。
      2023/11/23
    • みんみんさん
      中禅寺が関口のこと「友人です」って言った時は泣きそうになった。゚(゚´Д`゚)゚。
      中禅寺が関口のこと「友人です」って言った時は泣きそうになった。゚(゚´Д`゚)゚。
      2023/11/23
  • すごい長旅に出る覚悟で挑んだ一冊。

    読んでも減らない。でもやっぱり面白い。

    これから何が待ち受けているのか、長旅への荷造りのような感覚で楽しかった。

    存在したはずの村の消失という不可解な案件から始まり、いつだって危ういイメージの関口さんが今回は本当に危うい。
    大丈夫だろうか。

    そして懐かしの朱美さんが目にした怪しい術。

    謎のハンチング帽薬売りの尾国はかなり不気味で手強そう。

    待ち侘びていた榎木津さん、木場さんも登場してうれしい。
    そして絡新婦のあの女性がまさか…。

    この先を知りたい。それしか言葉が出ないから下巻へ。

  • これからどんな宴が始まるのか、期待せずにはいられない。
    騙す側、騙される側全てが怪しく感じる、怪しい人物こそ怪しくないと感じるのだ。
    操られているのか、本当に偶然なのかも判断できないまま謎が積み上がっていった本作。
    「宴の始末」を読むのも勇足になってしまいそうだ。

    ちなみに講談社文庫のオリジナルしおりが上下巻で繋がるのも、嬉しいポイント。

  • 今作は6つの妖怪を絡めた連作短編集のような感じで全ての短編の謎が絡み合ってるのか関係あるのかわからないまま終わっていくのにめちゃくちゃ面白い!今作でばら撒きまくってる伏線やら謎やらが続編で綺麗に解決していくと思うと早く読みたくて仕方なくなる。

    前作でてなかった?でてた??関口さんが前作出ていない鬱憤を晴らすほどの怒涛の目立ちっぷり!!

    ムズイ!前作は雑学少なめやったけど今作は雑学が深めで理解するのがけっこうムズイ!でもその分没入感は半端ない!

    主題とは関係ないかもしれないけども記憶は忘れて消えてしまうのではなく思い出せなくなるだけみたいなことを書いてるけど読んだそばから内容を忘れてる自分も内容が消えてるんじゃなくて思い出せないだけで残ってると思えばこれからもっと本を読むモチベーションになるような気がする

    いろんな聞いたことない妖怪たちの饗宴
    ★★★★★
    主要キャラ全部出しのまさに宴の支度
    ★★★★★
    宴の始末でどうなっていくのかさっぱり予想不可              ★★★★★

  • 京極堂を読み返している、と友人に話したとき。「塗仏は関口くんが酷い目にあうやつだよね」と言われたのだが、記憶が抜け落ちすぎていて曖昧な笑顔しか返せなかったのが悔やまれる……。このシリーズは間違いなく関口くんが酷い目にあうやつでした。
    これでもか、というくらい怪しい団体が次々と目の前に躍り出てくる。明らかにインチキ臭いものも、次の章では視点が移って印象ががらりと変化していく。章を越えて出てくる共通の人名が脳に引っかかって、何度もページを行き来してしまった。このひたすらに踊らされてる感じは読んでてゾクゾクしてくる。
    関口くんと木場修以外の視点者である3人の女性。それぞれ性格も思考経路も違うのだが、理性的だったりと、通ずる面もあってニュアンスが重なるところも。朱美に敦子に茜、全員「あ」からはじまる名前なのは偶然か。茜は………そうかあ、そうなるのかあ、としんみりとして支度を閉じた。

  • オールスターと聞いていただけあって、聞いたこともない6つの妖怪にちなんだ6つの短編には懐かしいあの人やこの人が。

    短編はそれぞれ少しずつ絡み合ってとっ散らかって、どう始末されるのか、後編の「宴の始末」が楽しみ過ぎます。

    ラストは衝撃的過ぎて今もショックが覚めやらないです。京極堂早く!!

  • 村がなくなったというキャッチーな導入の後、とんでもなく広がります。
    宗教というかマルチというか怪しげな団体とそのトップが例の村にどう繋がるのか。関口くんとあっちゃんは大丈夫なのか。気になりすぎます。
    宴の支度での最終章、前回のラスボスが出たときは興奮しましたが、まさかのオチでした。

  • 久しぶりの京極夏彦。
    相変わらずの「弁当箱」な上に上下巻組。しかも語部の視点が二転三転四転五転・・・時間がかかることこの上無し。かつ、仕事の忙しさも相まって、年末に読み始めた本作を読み終えたのが3月になってしまう始末。

    物語はまだまだ序盤という感じで、感想もへったくれも無いところではあるが、とりあえず・・・

    謎の薬売りの正体と目的
    謎の祈祷師?(伊豆の山中で織作茜が出会った男)
    謎の宗教団体
    謎の村
    関口くんの境遇

    ・・・やっぱり謎だらけ。

    ※前作を読んだ際にも思ったのだが、これだけ分厚い作品を5作も6作も重ねておいて、作中では一年とちょっとしか経過していないということに驚き。

    ※かつ、どうやらそれらのエピソードもなにやら繋がりがあるようなないような・・・

    ★4つ、7ポイント半。
    2022.03.14.古。

    ※今は下巻を読んでいる最中なのだが・・・(4分の1時点)なんだか「木場修」が死んでしまったかのような描写が散見している。レギュラーキャラなのでは?
    心がざわつく。

  • コロナの影響で家時間が長くなるので、超長編の小説が読みたいと思って気付いたのが京極さん。このシリーズは順番に読んでいて、この前読んだのが記憶にないくらい前なので端々に出てくる過去の物語を振り返る場面が、まあわからないこと。今度読みなおさなければ。
    本編は、いつもの京極さんの文章というか、妖怪や言葉についての講釈がまあ長いこと入っていまして、うっかり読み飛ばしたくなるんだけど、これが結構物語のキモになってきたりするので、そういったこともできず。
    一番のミスは宴の支度で話しが完了するつもりで最後まで読んでいたこと。終わりそうにないなぁと思ったのに読み終えるまでミスに気づきませんでした。
    しかも、宴の始末が手元に無い。。。はよBOOKOFFで買わねば。

  •  もう何度も何度も読みました。関口くんが大好きになるきっかけになった作品です。
     読了したときの率直の感想は「疲れた・・・。」です。
     とにかく疲れました。楽しかったですが、ぐったりです。 関口くんのことが心配でしたが、思ったよりいつも通りな感じがしました。細かな内容をかなり忘れていたので、面白かったです。
     茜さん、殺されたのは哀れだとは思いました。でも、それでも、前作を読んでいたからどうしても嫌だなこの人、と思ってしまいました。
     それにしても相変わらすこの作品の登場人物は魅力的な人ばかりです。十人十色という言葉のとおり、人の考え方はさまざまで、自分にとってなんでもないことが人にとっては違っていることがある。京極堂の話を聞くたびにそれを尊重することの大切さを認識します。

  • これでもか!と言うくらい
    風呂敷を広げてくる。
    視点が変わりながら進むため
    登場人物を整理していこう

  • 満を持してという感じで百鬼夜行シリーズ最長の作品にチャレンジ。話自体が上下に分かれている上に、一冊の長さはこれまでのシリーズとほぼ同じということで、めちゃくちゃ長い・・・。とりあえず前半である、宴の支度はなんとか読了。

    これまでの百鬼夜行シリーズの総決算という感じで、これまでの作品に出て来たキャラクターが登場してくるのが本作。数年間どころか、最初の作品からは10年以上たっているわけで、Wikipediaがないと登場人物に関する知識が全くないのと同じ状態になってしまっている。全作品を読んでいるはずなのに、これはかなり悲しい。


    また、これといった事件は起きずに「不可解な事」が積み重なっていくだけなのに、やたらと登場人物が増えてくるのも、途切れ途切れに読まざるを得ない人間には辛いものがある。
    この壮大にとっちらかった話が、宴の始末でどのように収束していくのか、楽しみだ。

  •  『姑獲鳥の夏』からどんどん厚くなって、この『塗仏の宴』に至ってついに1巻本にできず「宴の支度」「宴の始末」の2巻となった。以後、だいたい『絡新婦の理』と同じくらいの厚さなのは反省したのだな。
     前半の「宴の支度」は短編の連続の形態を取っていて、おぼろげに事件の大きさ、不可解さがみえてくるという仕組み。
     まず「ぬぺっぽう」。私、関口巽は昭和12年頃にはあったはずの伊豆の韮山の「へびと村」の取材に行く。そこには万病に効く薬となる「くんほう様」というのっぺらぼう、つまりぬぺっぽうのような生きた肉の塊があるという。へびと村は最初からそんな村はなかったかのように、別の住民が住んでいる。現場を訪ねた関口は「世の中に不思議でないものなどない」と言う謎の郷土史家・堂島静軒に出会ったあと、そこで殺人事件の犯人にされて逮捕されてしまう。
     「うわん」。『狂骨の夢』の朱美は事件後、焼津に引っ越している。朱美は自殺を図る村上兵吉という男を助ける。村上は熊野に生まれるが、昭和12年、家出して、数奇な人生を送るが、戦後、熊野に戻ってみると、実家はなくなっている。そして近隣の住人すべてが焼津に集落ごと移っているらしい証拠を得て、焼津に来たのだ。なぜか自殺を繰り返す村上。その村上を救いにやって来たという成仙道なる謎の宗教集団が、村上の自殺はみちの教え修身会の術によるのだという。そこに絡む怪しい薬売り・尾国誠一。
     「ひょうすべ」。逮捕された関口の回想。京極堂のもとに古書店の同業者からもたらされた相談。元編集者の加藤麻美子の祖父がみちの教え修身会にはいってしまい、幼時、ふたりで「ひょうすべ」を見たという記憶が祖父から消されているという相談。京極堂が謎を解くが、暗躍するのは女性霊媒師・華仙姑乙女とその手下・尾国誠一……。
     「わいら」。カルト集団・韓流気道会に追われる敦子、一緒に襲われるのは華仙姑乙女。どうやら彼女も被害者だ。そして榎木津が助けに乱入してくる。
     「しょうけら」。木場刑事にもたらされる相談。24時間監視されているという女工。関わってくるのは健康カルト・長寿延命講と霊感少年・藍童子様。
     「おとろし」。『絡新婦の理』の織作家の生き残りの登場。韮山の土地。不老不死の秘薬。郷土史家・堂島が登場し、彼女は何者かに殺されてしまう。それが関口の犯行とされる殺人事件である。
     マインドコントロールとカルト集団、背後に仄見える不老不死。そして自我と意志いう問題圏。

  •  本書は上巻になる。1000P近くが提示編なので、この巻で話は進まない。
     6つのエピソードあり、その中で起こる事件が複雑に絡み合っている。それは関口が行った戸人村が全ての始まりのように思う。いくつかの怪しい講習会や、東洋医学を使う先生や、未来予知ができる女性、警察に協力する予知が出来る少年。誰がどのようにつながっているのかは分からない。全ては下巻で明かされるのだろう。
     ただ、それにしても長すぎる。話は全く進まなくて、不穏な空気と薄い関係性がわかるだけだ。早めに読まないと飽きる可能性もある。ただ読み終わった後には、すぐに下巻が見たくなっている。結局、著者の手の内か。

  • 長い。ひたすらに長いのだが、これが宴の「支度」なのだから驚き。
    「ぬっぺっぽう」「うわん」「ひょうすべ」「わいら」「しょうけら」「おとろし」と、マイナーで名前を聞いても分からない妖怪を主題にした短編集のような感じ。
    それぞれ微妙な繋がりは見て取れるのだが、次巻でどう始末をつけるのか、そもそもどう繋がるのかすらも予想できない。
    「始末」はこの本と同程度どころか、少し多いほどのボリューム。さてどうなるのか。

    そういえば、上にあげた妖怪の中で「ひょうすべ」だけはなぜか聞いたことがあった。
    「ああ、河童のことだっけ」とすぐに連想したのだけれど、どこで聞いたのかを思い出そうとしても靄がかかって思い出せない。
    中途半端に知っているというのも気持ち悪いものだ。どこで聞いたんだろうなあ……。

  • 中伊豆にあった村が、村ごとなくなっちゃう。
    帝国軍とか、その後のGHQとかも絡んでるっぽいし、中心にある佐伯家に何か秘密があったみたいなんだけど…。

    ……って、感じでいろんな宗教団体とか不老不死の妙薬を探しに中国から日本へやって来た徐福さんを研究する会とかが絡んできました。

    らじも熊野に行ったときに立ち寄った新宮で徐福さん伝説がある場所をちょこちょこ歩いたことがあるから、なんとなく親近感♪

    ただ、いろんな人が殺されちゃうのはねぇ…。
    今回関口さんは容疑者として早々に警察屋さんに持って行かれちゃったから、それほど出てきませんでした。

    人を心理的に操るとか、本当にどんな感じなんだろ。
    自分で自分に呪をかけるってのは、らじも知らず知らずにやっちゃってることなんだけど…。

  • 京極夏彦の百鬼夜行シリーズ第6,7弾は、「宴の支度」と「宴の始末」の全2巻で構成。総計2000頁を超える分厚さはシリーズ屈指です。

    そんな分厚さに比例するように、本作はとにかく登場人物が多いですね。特に、これまでの作品に登場した人物がちょこちょこ現れてきますが、年に1冊のペースで本シリーズを読む身からすると、「あれ?この人誰だっけ?」となるシーンが多かったです…まあ、過去のエピソードが直接本作の核心に絡む出来事はないので、あまり気にしなくてもよいところですが。
    登場人物の多さに加えて、場面の多さ、展開の切り替えの多さも目に付くところ。そのため、途中から、どの人物がどの場面に出ていたのか失念してしまうことも(笑)

    そんな混乱のなかで読み進めた本作。京極堂と榎木津が登場するシーンで安心してしまうのは、掴み難い物語のなかで、この二人ならば、確かなことを教えてくれると期待するからでしょう。しかし、榎木津は毎度おいしいキャラですねぇ。このシリーズで一番好きなキャラクターかも。本作では終盤、彼は京極堂の腰をあげさせる役目を担うわけですが、あのシーンの高揚感は素晴らしいものがあるかと。そして、そこからラストまで一気に突っ走る疾走感もこれまでの作品と同様、眼を見張るものがあるのです。

    ただ、本作で少し残念というか、拍子抜けだったのが、明かされた事実がなんともしょうもないことだったこと。手の込んだ大掛かりな仕掛けを黒幕は施していますが、なんというか、ただの暇人か!と突っ込みたくなるような気持ちに…(もちろん恐ろしい内容ではあるのですが)。さらに、黒幕はそのまま姿をくらませる始末。続巻以降で解決されるのかな?

    妖怪は上澄みであることの説明を踏まえると、結局、本作で登場する宗教家や占い師、気功師などは、すべて同じ根を持つ、名前を異とする妖怪であったわけで、そんな妖怪のひとつとされる塗仏が、紐解いてみても結局よく解らず、肩透かしを喰らう妖怪であるように、本作も謎を解き明かしたところで、拍子抜けしてしまう類いの作品なのかもしれません。

  • 私の読書速度と理解力だと、百鬼夜行シリーズは読んで没入しちゃうと、他のエンタメはほぼ死ぬ、でお馴染み(私的に)なんですが、本作も例に漏れずでした。
    なので、読み終わった時の達成感はひとしおです。
    いや、まだ支度が終わっただけなんどすが…

    関口君がどうなるか、続きが気になりますねぇ

  • 関口君、今までにない程卑屈になってる。心配です。

  • やっと読み終わりました宴の支度。
    今までと違って短編集になっていて、それぞれが別々の話として語られる。
    語られるんだけども流石というかあちこちにそれぞれの話に繋がる言葉があったり人物がいたり団体があったりで、確実に語られた話全てが繋がっている事は分かる。
    分かるんだけど、どこがどう繋がっていて繋がっているから何なのかがさっぱり分からない。
    最後の最後がかなり衝撃的な終わり方をしているものでひええっとなってしまった……この話どうやって京極堂は片をつけるの……。

    そうそう、久しぶりに読んでもやっぱり京極堂の語りは長かった。
    長かったと同時に「これこれ!やっぱ京極堂といえばこれだよね!」という気持ちにもなるから不思議。
    後半も心して読みます。

  • ぬっぺっぽう、うわん、ひょうすべ、わいら、しょうけら、おとろし。
    六匹の妖怪に付随する六つの事件。それぞれの事件は緩やかにつながり、そして宴の支度は完了するーーー。
    過去作の登場人物たちが惜しげもなく登場してくるシリーズ6作目。

    連作短編集っぽい作りとなっている今作。それぞれの話の中でとりあえず事件は解決する(?)ので、分厚いけど読みやすい。というか、このシリーズは読み始めたらずーっと読んでいたくなるので、読んでいる間とても楽しかった。主人公となる人物は毎回変わり(関口だけ2回出る。というか、彼はずっと→
    出ている?)それがまた良い。
    私は朱美さん回と敦子ちゃん回が好き。敦子ちゃんの回は中禅寺家の話や榎木津の話も聞けてすごく良かった。榎木津、今回もめちゃくちゃカッコいいしね。京極先生、なんてキャラクターを作ってくれたんだ……最高だよ……(笑)

    支度へと話は続くので、引き続き楽しむ!


    以下、リアルタイム感想。

    『塗仏の宴』は今「ひょうすべ」。
    「ぬっぺっぽう」が関口
    「うわん」が朱美さん
    で、今回はまた関口。
    (連作短編集っぽい)
    じわじわ繋がっている気配を感じてゾクゾクしてる。
    これはまさに『宴』!!

    ひょうすべ、読んだ……。
    うわぁぁぁあぁ!!
    毎回毎回怖いよッ!!京極センセー!!
    繋がって……ツナガッテルダケジャナイ……。
    残り三妖怪……怖い……支度が終わったとき何が起こるの……?

    榎木津ぅぅぅー!!!
    うっはー!!たまらーん!!カッコよすぎだろぉぉぉぉ!

    支度が……完了しちゃったんだが!!
    ここで終わるの?!マジで??ソッコーで始末読まなあかんやつやーん!!
    いやもう、いやいやもうね?すごいわ。
    絡新婦で満足してる場合やなかったね(笑)
    とりま『宴の始末』参ります!

  • この後に「宴の始末」が控えているとわかって読むわけです。
    ひとつひとつの章ごとにちょっとした「解決編」があるわけですが、そこも含めてぜーんぶが「始末」につながっていくことがわかって読むわけです。
    うきうきせざるを得ないでしょうよ。

  • ついに一冊で収まらなくなりましたね…

    京極堂シリーズは楽しみたいのでなるべく事前情報を入れないようにしてる。
    この「宴の支度」と「宴の始末」があるのは知ってたけど、こんなあからさまな前後編だとは思ってなくて、珍しい、短編集なんだ、くらいな軽い気持ちで読み始めてしまった。

    実際、短編集のフリをした長編だった。

    一言で言うと、関口が虐められまくる一冊。
    驚かされっぱなしで、何も解決しない一冊(笑)。
    各短編には妖怪の名前が付いていて、話の中でその妖怪に関する民俗学的考察が披露されるので、これまで以上に民俗学寄りの作品だと思った。

    二話目で、『狂骨の夢』の朱美さんが出てきてびっくりした。
    シリーズ過去作品の登場人物があとあと出てくるのは京極夏彦の常套手段なのに、未だにびっくりする。
    さらに織作茜まで出てきて尚びっくり!
    でもやっぱり頭いいし、これは準レギュラーくらいに定着しそうだ…と思ってた矢先に殺されちゃって、ホントびっくり!!
    中禅寺と木場修の一対一の絡みは新鮮。
    京極堂、徹頭徹尾丁寧語で話してる…。
    詳しすぎる説明に、中禅寺やっぱり親切だなぁと思った。

    消えた村、薬売り、修身会、佐伯家、予言者…。各短編には、ほかの短編のエピソードを匂わせるところが散りばめられていて、ああ繋がるんだなあ…と予感させる。
    これは再読しよう…と思ったのに、読み終わったら続きが気になっちゃってすぐ『宴の始末』を手に取ってしまった。(多分シリーズ中最も再読されない一冊だ)
    つまり、掴みとしては申し分ない作品に仕上がってる。
    あとの感想は、後編を読み終わってから得られるだろう。


    戦前にはあったはずの伊豆のある村が、キレイさっぱり無かったことになってる、って話が関口にもたらされ、幻の村にフィールドワークに出掛ける関口。旧家佐伯家らしき家を確認するも、中で見たものは大量の遺体と、生きている肉塊…。
    しかし次の記憶は、裸体の人形(実は死体)が吊るされた現場を見る自分だった。
    逮捕され、サディスティックな刑事に事情聴取され、関口の精神は崩壊する。
    果たして溶け出した関口の実体は残るのか。(←違う)

  • 6つの中編が独立しているようで縦横に交差して約1,000頁の長編を構築するという構造はプログレ。ケイブン社の怪獣大百科を想起させる分厚いビジュアルも購入意欲をそそる。日ごろマシュマロ女子やちょいぽちゃなんていってただのデブを甘やかすんじゃあねぇ!と怒り心頭のおれも本については180度意見は変わる。#デブ歓迎!ただし本に限る。
    CDボックスも20枚超えとか物欲を刺激して嬉しい限りではあるのだけれど、こちらのサイズはディヴァイン級なので置き場所に困るのが難点。
    京極堂の薀蓄部分が難解で読み辛く忍耐が必要なのもプログレならでは。この苦行に耐えることで桃源郷への道が開かれるのかは妖怪のみぞ知る。
    時節がらか権力や体制を揶揄する表現にハッとしたりニャリとさせられたり、書かれた時期を超越してシンクロすることに驚いた。

  • 漫画の方が原作に追い付いてきたので、この辞書並にページ数が多い本を読み始めた。

    各章で主人公が違うのだが、すんなり読める章と、なかなか読み始められない章があり、特に最後の章は前作のあの人が唐突に登場し、この後どう始末がつくのか、全体像がボンヤリして終わってしまった。

    後半へ続く。

  • ★4.0
    再読。タイトルの通り、宴のための支度を着々と進める、全6話からなる短編集。関口、朱美、敦子、木場、織作茜、それぞれが記録と記憶、自分自身に翻弄される。中でも、短編の間に綴られる、元から鬱病を抱える関口の現状が痛々しい。そして、彼女の死があまりにも勿体無い!正直なところ、「こんなにも簡単に後催眠にかかるものなのか」と思ったりもするけれど、自身が取った行動の理由が分からず、何かが欠けているという感覚は、恐怖以外の何物でもない。いつものメンバーと彼らが関わった人たちがどうなるのか、宴の始末を見届ける。

  • ついに2冊に分かれて来ましたね〜
    宴の支度はまだ全体像がちらりと見えたところ。最後は本当にやきもきさせる終わり方!
    あと塗仏には以前登場した人たちも何人か登場しますが、このシリーズに出てくる女性は強くて美しい人(見た目だけでなく)が多いように思います、敦っちゃんを筆頭に憧れます。

  • 「知りたいですか」。そう怪しげな郷土史家の方に問われたら、私は思わず「し、知りたいですっ」と前屈み気味に答えることでしょう。

    塗仏、宴の支度。やっとこさ読了。
    相変わらず厚みのある物語で、深みのある内容で、難解な論理と主張で、低スペックな私の脳神経の回路では理解できないところが多く……少し悔やまれます。
    絡新婦をもう一度読み返して理解し直してから読み直さないと全部わかれなかったかなと思うところ多々あり。その点記憶があやふやなのが力量及ばずなところで、もう一度読み返すと決意をしました。

    個人的には狂骨に惹かれ本格的に百鬼夜行シリーズを手にとったクチなので、朱美さんが出てきてくれたことは嬉しかった。朱美さんの話し方が好きです。価値観も共感できるところが多いので、シリーズの中では結構好きな登場人物です。
    ですが、絡新婦の茜さんは薄い印象しかなくて苦手意識があったところで『おとろし』で再登場。彼女についてもっと理解し直したくなりました。

    待ちに待った堂島さんが登場して、鼻息荒くなるほど嬉しかったです。
    「不思議ではないことなどない」を初めて見た時、何だそれ対偶か何か?どういうことだ?と上手く理解できなかったけれど、京極堂の鏡合わせの言葉だと理解できたとき戦慄が走りました。
    それに明瞭に解決していく京極堂に惚れぼれする反面、どうしても引っかかりを感じていたところを代弁してくれていたので、待ってましたーということです。
    不思議なことなどないのだとするなら、現実にいておきながら不思議だと認識している人の奇妙さよ。不思議だと思うから不思議なのであって、それはそれで現実にそうなってしまうこともある。

    往々にして、主人公側は「強い」立場になるものですが、こうして真っ向から反対を行く怪しげな存在というのも等しく魅力があるものです。
    これが堂島さんか……!っと勝手に作り上げていたイメージを越えた彼の登場に嬉しい限りです。
    京極堂と違っていやらしいところもあるのも、なんだか堂に入っていて期待を高めます。
    お噂はかねがね聞いているので、これから彼が何をしてくれるのか楽しみなところ。

    ぬっぺらぼう、うわん、ひょうすべ、わいら、しょうけら、おとろし。
    数々の妖怪が登場しますが、共通しているのは、消えた村、記憶の交差、不老不死、詐欺まがいなことをしているのに詐欺じゃない宗教団体、予言と予知の本末転倒。
    今までの登場人物が全て引きずり出されて、巻き込まれて、噛みつかれているような物語の前哨戦といった感じが、読み進めていくうちにどんどん深まっていく。
    提示されていく謎と、続く謎。提示されている課題は、根源はひとつではないということ。
    ボトムアップとトップダウンの誤差の仕組み。頭の中身をひっくりかえしてぐるぐるとかき混ぜられたように全てが絡み合い混じり合ってひとつの宴の「支度」をしているのでしょう。
    ここまで混じり合わせた者同士をどう整理し「始末」していくのか、下巻への期待を膨らませる巻でした。

  • これまでのシリーズの登場人物が総出演。妖怪もいろいろな種類が出てくる。連作短編のような構成で一つ一つのエピソードは面白い。宴の始末でどんな結末が待っているのか。

  •  過去のシリーズででてきた登場人物がでるわでるわ。そして、意外な結末で後半へ続く。
     普通の本なら2冊、短い本なら三冊は読み終わるような分厚さで、展開される前半戦。京極堂成分はいささか足りませんが、後半に期待。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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