- Amazon.co.jp ・本 (1088ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062738590
感想・レビュー・書評
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『絡新婦の理』が静なら、こっちは動。
占い師、霊感少年、気功道場、漢方薬局、風水経営指南、自己啓発講習、私設研究団体、新興宗教と怪しい面々が、住民の消えた「へびと村」を目指して、狂騒を繰り広げ、ついに乱闘騒ぎになっていく。霊感少年は京極堂に「出てくるな」という伝言を寄越す。
京極堂が動かないのは、これが彼と関わりのある事件、旧陸軍研究所にかかわった事件だからである。そんな京極堂をプッシュするのは、その特殊な能力によって真相に到達している探偵・榎木津である。結局、京極堂も「へびと村」に乗り込んでいくのだが、今回、ケンカも強い榎木津の活躍は著しいので、榎木津ファンは喝采されよ。
キーワードは本末転倒。塗仏はじめ「宴の支度」でタイトルに挙げられた妖怪は、名称と図像しか残っておらず、その内実がわからないものばかりである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
事件らしい事件が起こっているのかも分からず、物語は収縮して行き、最後は京極堂の語りで閉じられる。だが、首謀者である堂島に制裁を加えられるでもなくてすっきりとはしない。綺麗にたたんでいるが、こんなに風呂敷をでかくしなくても良かったのにとは思う。長すぎて、考えることを止める効果のある催眠にかかっているようだった。
関口は、刑事になじられるだけなじられて、最後まで出てこないという、らしいと言えばらしい展開。普通になって戻って来れるのだろうか。そこが心配。
刑事部屋や村で、ずっと堂島が見ていたのだが、堂島は刑事たちに対しても効きの早い催眠術を使えるのだろうか。ある意味、無敵の存在だ。会いたくはない。この先にも出ては来ないだろう。一回限りのボスと見た。
記憶から消えると歴史から存在しなくなる。正しいのは何なのだろうか。記憶なんて曖昧なものだが、体は存在している。それだけで良いのかも。
塗仏の宴とは何だったのだろうか。塗仏がよく分からないので、何もわかってない奴らの宴なのか。妖怪研究家の多田克己は、塗仏は目が出ていて尻尾があるから、目出度いとかけているのかもと書いてあったので、洒落なのかもしれない。佐伯家の面々の名称も洒落だったし。或いは、塗仏の絵は仏壇の前でふざけている人でもあり、仏壇で目出度いというのも不謹慎を表していて、人でゲームをする堂島のことになるのかな。無理矢理な気もする考えだけど。
結局は不老不死を探す過程で消された家族が、インチキ商売をやって競わされていたという話。長いだけあって読んだままに終わったのでそこはスッキリしている。 -
この人、どの作品の誰だっけ?というのも含む、主要な人物まで誰だっけ?となりそうなほど登場人物が多かった。
今回は京極堂の事件と誰かが表していたが、まさにそんな内容だった。
ゲームの謎解きはオマケのようなもので、それよりも、時折覗く中善寺の内面と、昔からの付き合いの友人達との関係の深さが際立つ話だった。
それ故に、憑き物落としの方は前作以前と比べると地味なので、あっと驚くような最後を期待して読むと、ボリュームも相まって残念な気分になるかもしれない。
私は面白く読めた方だが。 -
★3.5
再読。前編「宴の支度」で広げた大風呂敷を、言葉と暴力で畳んでいく後編「宴の始末」。関口を除くお馴染みのメンバーに加え、過去作のキーとなる人物、怪し気な複数の民間団体等々、とにかく登場人物が多い、多すぎる!それでも、個々の役割を見誤らせないのは、やっぱり京極夏彦の筆力の成せる技かと。最終的に、悪趣味な宴は終わったようで終わっていなく、過去作に比べるとすっきりしない感は強め。が、お気に入りな榎木津の暴走が楽しく、終盤の木場との一幕(=こんにちは喧嘩)が本当に楽しかった(笑)。そして、朱美さんが素敵! -
メモリの少ない私の頭にはたくさんの登場人物がごちゃこちゃになってしまった。
と言っても面白さは変わらない。
今後堂島の出てくるお話は発表されるのかな? -
京極先生は実はここで止まってしまってるのだけど、基本的にはシンプルなエンタメだと思ってます。ボリュームが多いので覚悟しなければなかなか読めないけれどそろそろ再開したい。
レビューでこれをチョイスしたのはここの榎木津と京極堂のやり取りが大好きなので。察してくれる友人っていいですよね。 -
やっと読み終わった…。今回は中々に曲者だった。今までの事件を振り返るようにオールスター感謝祭と言わんばかりに人が出てくるし、新しく出てくる人も本当に多かった。脳味噌が飽和状態になりそうだった。京極堂、今回はやりずらそうだったなー。因縁対決、的な感じで。
京極堂シリーズを読むと、もう一回大学行けるなら、民俗学もやってみたいな、とか、妖怪学も良いかもしれない、と思ったりする。つくづく、お金にならないことが好きなのだと思う。
榎木津礼次郎が激しく好きなんだけれど、何だかんだで、榎さん、良いとこあるな。そんなことを言ったら、何を言ってるんだ君は!とか言われそうだけど。探偵の裁量は絶対らしいので(笑)
弁当箱並の本を持ち歩くってのもしんどいな。しかし、京極堂シリーズなら、そう簡単に読み終わっちゃう心配がないのである。