子産(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738736

作品紹介・あらすじ

吉川英治文学賞受賞作

信義なき世をいかに生きるか
感動をよぶ歴史叙事詩

謀叛に巻きこまれ、子国は果てる。3年の長きにわたり喪に服した子産はその後、苛烈なる改革者にして情意あふれる恵人として、人を活かす礼とは何かを極め、鄭と運命をともにしていく。時代を超えることばをもった最初の人・子産とその時代を、比類なき風格と凛然たる文体で描く、宮城谷文学の傑作長編!

感想・レビュー・書評

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  • 全2巻

  • 上巻の前半は、ちょっと読みづらく感じてしまった。しかし子産という人を描くのに、父親の子国という存在は省略できないのだなと、読み進めていくうちに著者の思いをじっくりと味わうことができて、素晴らしい作品だった。もっと春秋時代の理解を深めて再読したい。日本の政治家にも読んでほしい。
    巻末の解説も良かった。

  • 下巻では、子産の父の子国が陰謀に巻き込まれて殺害され、それを収めて家を継ぐ。

    位も世代交代とともに執政まで上がり、子展・子皮といった宰相に仕えて軍事・外交・政治で成果を上げ、晋と楚に挟まれて右顧左眄していた鄭の政治に中興をもたらす。

    政治姿勢は、礼を重んじ、豊富な有職故実の知識を保ちつつ、前例に流されずに、状況に応じて適切な辞を繰り出す言葉の天才でもあり、孔子が尊敬する二人のうちの一人(もう一人は周公旦)であった。現代風に言えば、人を動かす言葉の達人、ナラティブの達人であったということか。また、子展の死後に、子皮から全権を任されて、農地・兵制改革に従事し、貴族でなく国・公室に一定の力が蓄えられるように制度を見直した改革者でもあった。

    同時代人として、斉の晏子、呉の季札がいる。また、孔子が30歳の頃に亡くなったが知己は無かったという。

    宮城谷さんが春秋左氏伝から読み解き、本書では一切の架空の人物は出していないという。その分、子産の歴史的意義を正確に伝えているとも言えるが、他の作品と比べて視点が少し引いた三人称的で、歴史小説としての面白さが少し割り引かれている印象を受けた(読み終わるのに時間がかかった)。

    しかし、こうした思想を持った人の影響を受けて孔子が登場したということを理解できたのは良かったと思う。

  • 上下巻合わせてのレビュー。

    子産。

    鄭國の執政で孔子に敬愛された人物でありながら、その功績のあり方は不遇であった。

    鄭國がのちに滅んだことも影響しているのか不明であるが、とにかく、子産は不遇であると感じていた。

    その人物を『春秋左氏伝』の記述からここまで描くとは凄まじいと感じた。

    歴史的な意義をもつ人間をもっと多くの人に知ってもらいたい。

    宮城谷さんの文章は読みやすく躍動感にあふれている。
    しかし、『晏子』を読んだあとであったからか、やや物足りないと感じてしまった。

    もう一度読めば印象は変わるだろうか。
    また読みたい。

  • 独裁者◆貴門の明暗◆大夫の時代◆仇敵◆政変◆廟堂の器◆草の思い◆和と争◆宰相の席◆礼の宇宙

    第35回吉川英治文学賞
    著者:宮城谷昌光(1945-、蒲郡市、小説家)
    解説:清原康正(1945-、中国遼寧省、文芸評論家)

  • 宮城谷昌光の文体がなかなか好みで、話の内容が難しくてもぐいぐいと引っ張られる

  • 父・子国が凶刃に倒れ、子産はその振る舞いでこの苦難を乗り越えてゆく。
    執政として改革を断行し、鄭国に安寧をもたらした子産は素晴らしいですね。
    上下巻通しての感想は、子産が素晴らしいのはもちろんのこと、彼を取り巻く人々に賢人が多くいたのも幸運かな、と。時代も彼に味方していたか。ともあれ、楽しく読みました。

  • [ 内容 ]
    <上>
    信義なき世をいかに生きるか―春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。
    戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。
    二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。
    吉川英治文学賞受賞作。

    <下>
    謀叛に巻きこまれ、子国は果てる。
    三年の長きにわたり喪に服した子産はその後、苛烈なる改革者にして情意あふれる恵人として、人を活かす礼とは何かを極め、鄭と運命をともにしていく。
    時代を超えることばをもった最初の人・子産とその時代を、比類なき風格と凛然たる文体で描く、宮城谷文学の傑作長編。

    [ 目次 ]
    <上>


    <下>


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 4062738732 378p 2003・10・15 1刷

  • 2013年07月 06/40
    「礼」をもった政治を行った春秋時代の鄭の宰相「子産」のお話。「湖底の城」を読んでいたら、もう少しあのあたりの時代が読みたくなってそのままの流れで読みました。家の本棚にまだ残っているので、しばらくは春秋戦国時代を攻めようと思います。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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