深紅 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739177

作品紹介・あらすじ

高橋克彦氏激賞!
これは奇跡的傑作である。

犯罪被害者の深き闇を描く衝撃のミステリー
吉川英治文学新人賞受賞作

父と母、幼い2人の弟の遺体は顔を砕かれていた。秋葉家を襲った一家惨殺事件。修学旅行でひとり生き残った奏子は、癒しがたい傷を負ったまま大学生に成長する。父に恨みを抱きハンマーを振るった加害者にも同じ年の娘がいたことを知る。正体を隠し、奏子は彼女に会うが!?
吉川英治文学新人賞受賞の衝撃作。

感想・レビュー・書評

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  • 前半の殺戮シーンは壮絶やけど、本来は、その後の話がメインなんやろな。

    家族が殺人事件に巻き込まれ、1人残った娘さんを中心とした話…
    しかも、被害者側だけでなく、加害者側にも1人…

    両者立場が正反対かもしれけど、本人らには何の罪もない…
    とはいえ、精神的には、かなりの痛手を被って…
    事件は、小学生の頃、時は流れ、多少の復帰はしたものの…

    生きてていいの?殺されて当然…
    色んな葛藤があって、徐々に、両者が近づいていく…まぁ、被害者側が近づいていくんやけど。

    これは、酷い…死刑宣告されても、自身の中は納得出来んものがある…それは、被害者側の娘も、加害者側の娘も…

    絶対、連帯保証人にはならんとこ!
    人を騙すとかもダメ!
    後先考えんと、こんな事するから…
    自分の子供が、こんな風な生き方になってしまったらと思うと…(T . T)

  • 修学旅行中に、家族全員を惨殺され、ひとり残された少女奏子。加害者の娘で、同じ年の未歩と会い、ある事件に加担していく。頭では理解していても、心の底から燻る思いに駆り立てられ、ブレーキをかける事なんて出来ない奏子の心情が、とても伝わってきた。これから先は、拓巳に心の黒い芯を溶かしてもらい、幸せになってもらいたい。

  • 人気脚本家で、人気作家だった作者が突然自殺により、この世を去ったのは衝撃的だった。
    当時、ドラマ化もされた今作を読んだ記憶があるのだが、最近本屋でよく平積みされているのを見かけるので、再読してみることに…
    が、実際に読んでみたら、多分初読み。
    両親、幼い弟2人を修学旅行中に殺された奏子。恐ろしい事件の被害者遺族として、健気に生きているような奏子だったが、彼女は心の中に黒い意識を溜め込んで来た。
    そんな奏子が大学2年生の時に、犯人の死刑判決が結審したことにより、犯人には奏子と同い年の娘・未歩がいることを知る。
    その未歩を探し出し、彼女の運命を操ろうと試みるが…
    ドラマにもなっていたし、内容を知っていたので、読んだ気になっていたのだろう。
    被害者遺族なのに、奏子には嫌悪感しか抱けないし、奏子が結局何を成し遂げたかったのか分からないまま、奏子は満足した様子でラストを迎え、モヤモヤ感が残る。
    解説にもあるが、前半が絶妙な展開なので、大学生になった奏子の話がかなり霞んで見える。
    それでも、圧倒的な展開力で時間を忘れて一気読みさせてしまうのは、さすが。
    やはり若くして、命を絶ってしまったのが悔やまれる。

  • 両親と弟2人を殺害されて生き残った長女は心の中に暗い闇を持ちながら生きていかざるを得ない。その彼女が加害者の娘を探し出した時に沸き起こる気持ちは復讐の気持ちなのか。ただ憎悪にまみれるだけでない、迷いや戸惑いはあるだろうという感じが見えながらのストーリー展開はスリリングで面白かった。ちょっと加害者側には甘いかなという感じも小説としてはよかったかもしれない。

  • 殺人事件の被害者家族と加害者家族の交錯する人生。
    結末がどうなるのかを考察しながら、最後まで楽しく読めました。

  • 被害者家族と加害者家族。
    それぞれに事件のせいで人生が狂ってしまった2人。
    同じ年の2人。出会うべきではない2人。
    憎しみとか恨みとか、そんな言葉では言い表せない複雑な感情。
    一生接点なしに生きていけたのならよかったのに、と思いつつ、どこかで交わらなければ先に進めなかったのかもしれない、とも。
    この先、2人がそれぞれに自分の人生を自分の足で歩いて行って欲しい、と思わずにいられない。

  • 結構感情移入できるし、心理描写もすごくよくてさすが野沢さんだなと思いました。
    すらすら読めるのにしっかり情景が浮かぶ。いい作品でした。

  • 惨殺事件の被害者の家族として一人残された奏子の苦しみ、痛み、悲しみ、憎しみが、本当に辛かった。加害者の一人残された未歩と出会ってしまった奏子の負の感情がどこまで落ちていってしまうのか、胸が苦しくなりながら先を急いで読んだ

  • 被害者、被害者遺族
    加害者
    加害者親族の存在

  • 前半はすごくヘビー。
    修学旅行から急遽タクシーで地元に戻り、これから向かい来る困難に備えようと心の準備をするシーンなんか、心の動きが手に取るように分かって素晴らしい描写と思う。

    被害者遺族と加害者遺族、実際に会ったらどういう感情になるんでしょうね。

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