砦なき者 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739641

感想・レビュー・書評

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  • 「破線のマリス」の続編。
    少し古い作品なんで、テレビの影響&怖さを語ってる。
    今は、ネット系に押されて、力はあるにしても劣勢に立たされてるけどね。
    テレビによってカリスマになり、テレビによって滅んでいく八尋。
    本人もそう自分の時代が続くとも思ってないやろうしね。
    結局、『ナイン・トゥ・テン』は一矢を報いたと言えるのか…?
    何かカルト宗教みたいで怖いけど、今でも起こりうる事、それがテレビから、ネットなどの別の手段に移るだけで。
    やな感じ Σ('◉⌓◉’)
    個人的には、「破線のマリス」より、こっちのが好き!

  • まあまあまあ…って感じ
    でも今後あるだろなこれ

  • 短編のあとに中編のある、テレビ関係者たちの作品。展開は面白いものの、テレビ関係者に接触し、殺人事件の情報を流したり、警察の許可なく勝手にロケを敢行するなど、ちょっと大丈夫かな?という展開が多い。ラストの祭り上げられた巨悪も、そこまで民衆を扇動できるのだろうかと疑問に思った。

  • テレビ局を巡る短編連続作品。後に若者のカリスマとなる青年が徐々に物語の中枢へ絡んでくる。このストーリーの進み方が、どんな人でも八尋になり得そうな感触があって不気味。所々、脳○ネウロ(こちらの方が出版はだいぶ後なので、この表現はNG)かよ的な演出はあったものの、意外にもテレビ局にまともな人物が多くて(意外にもという発想が八尋信者予備軍?)、安心して読めた作品。第一話の録音を繋ぎ合わせて編集する技法、メディアでも日常生活でも、故意でも他意でも使い用によっちゃ非常に恐ろしい。。

  • どちらかと言うと一作目の破線のマリスの方が好きだったかな。女性の主人公の方が感情移入しやすいという点で。
    それと、最後あと一歩のところで作戦が成功しなかったのが悔しい。やっぱり故人は悪く言えないし。
    でも各章の最後に謎の青年のシーンが入る、という本作の構成は好き。

    メディアそのものや1人のカリスマ以上に、視聴者の恐ろしさがよく描かれている。
    作中では『カリスマによっていびつな形にされた「大衆の総意」』と表現されている。
    テレビから媒体は変わっても、現代にも共通して言えることだよなぁ。

    若者をこれだけの暴力に走らせる程のカリスマとか団結感って想像できないなと思ったけど、たとえば同時代のドラマ、池袋ウエストゲートパークとかイメージすると分かりやすいのかな。

    首吊り自殺と絞殺の違いは初めて知った。ミステリー・サスペンス好きにとっては興味深い。

    妻夫木くんが八尋役でドラマ化されているのでそちらも見てみたい。

  • 大好きな『破線のマリス』の続編。

    作者が訴えたかったテーマは、よく伝わってくるものの・・・再読したこのタイミングとしては、もはやTVにそこまでの影響力はなく、ネットとの競争にどう生き残っていくのかーにスイッチしている状況なので、残念ながら題材そのものが古く感じられてしまいました。

    ただ、『破線のマリス』から脈々と受け継がれている「悪意のある切り取り」については、より深刻になってきているのではないでしょうか。

    テレビは 草創期から60年以上の年月をかけて、人権への配慮や誤報を出さないためのルールづくりなど、様々な指針を、少しずつ積み上げてきました。もちろん、そのこと自体が「テレビを面白くなくしている」という批判もあることは、重々承知していますが、それでもネットにおいては、ニュースに限らず事実関係そのものについても「裏を取る」ということ自体、かなり疎かにされています。

    野沢氏が訴えたかった テレビ業界が成長を続け、成熟し、やがて熟れて腐っていくことへの危機感は、いまのこの状況に、どのような答えを出すのかー読んでみたかった気もします。

  • 読み始めが2009/9 なのであしかけ9ヶ月かけて読んだのか。。。

    「近所のスポーツセンターに行き」且つ「エアロバイクをやった場合」しか読み進めていないので、こんなもんか。

    エアロバイクこぎながら読むにはまーいいかなぁ。

  • 報道番組の続き?と思ったらやはり主人公が替わってましたね。破線のマリスを読んでからこちらの本を読むことを是非ともお勧めしたい。それにしても野沢さんがこの本を書いたのはいつなんだろう。現在のSNSの使い方が絶妙に描かれていてびっくりする。インフルエンサーが持つ力、そして崇拝し実行してしまう影響された人々。本当に今でも起こりうりそうな事で、背筋に冷たいものが走った。長坂さんがあっけなく命を奪われたのがとても悔しい。そして火種が十分残った終わり方、今後の暗示なのかと疑ってしまいそうになる。

  •  江戸川乱歩賞受賞作『破線のマリス』の続編。前半2章は実質的に別個の通俗的な内容の短編で、表題作と言えるのは後半2章のみ。変則的な構成も含めて、小説としての完成度やリアリティは前作より劣るが、問題意識はより尖鋭的に表出されている。もはやマスメディアが対峙しているのは権力ではなく、疎外されルサンチマンを抱えた大衆であることを的確に表現している。

     本作が描く「橋下徹の頭脳を持った本村洋」とも言うべきニヒリストのカリスマが、メディアとITツールを駆使して、大衆の憎悪=歪んだ正義感を煽動していく姿は、犯罪容疑者や社会的弱者へのバッシングや「劇場型政治」、さらに「在特会」のような排外主義運動を戯画的に予見しており、すくぶる現在的である。本書が「拉致ヒステリー」や「郵政選挙」よりも前に執筆されたことを考えると、著者の嗅覚の鋭さに感嘆を禁じ得ない。

  • 野沢さんが死んでしまったのがわかったような気がした。
    嫌な世界を見尽くした人にしか描けない作品だと思う。

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