バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 827
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739863

感想・レビュー・書評

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  • ◆バロウズ『麻薬書簡』を読み終えたとき、本読み友に薦められて読む。続けて読んでよかった。◆『麻薬書簡』と『バンド・オブ・ザ・ナイト』は、似ているようで反転している。バロウズはゴミのような世界を嫌悪し、自分の才を信じて〈自由〉へと手を伸ばしていた。一方、らもは自分をゴミのように感じ、かなしみに手を伸ばしているようだ。世界を恋し、…しかし自らは臭くて才すらあざとくてその資格がないもの、と絶望しているようだ。息がつけない。苦しい。◆苦しみから逃れるためのドラッグによる酩酊。この言葉の波・言葉のオーバードーズは、ドラッグの作用か。ドラッグでとろけた自分は、自分でないのか、それとも剥き出しの自分なのか。◆トランスに入り、言葉が降り注ぐ節には、日常から切りとられた描写と、嘘と、コピーと、詩と……。形而下と脳内がゲシュタルト崩壊してその中に本質の砂金がキラキラ乱反射している感じ。
過去も現在も西も東も嘘も冗談も孤独も自己矛盾も入っている。嘘っぱちに見えて、純粋でほんとうが混在している。◆松本人志の映像に感じる感傷と同じ寂しさ・哀しみを感じた。人と世界が恋しくてたまらないんだ。ナイーブで優しい人は、苦しむ定めなのか。辛いよ。

  • ラリった文章に初めて触れた

  • 奇抜な言葉の羅列だけど、小説として完結しいて、なおかつ読みやすい。

  • ラリってるときの文章がしんどければ、読み飛ばしても問題ない。それだけでも小説として面白い。

    もちろん、しっかり読んでも、一見めちゃくちゃな言葉の羅列が実は主人公の心情とリンクしていることが見えてきて面白い。

    物好きな人は該当箇所だけをガクガクに酩酊して読んでもいい。らもの思考を疑似体験できて面白い。VR中島らも。

    らもエッセイの最高傑作がアマニタ・パンセリナなら、小説ではこれ。
    何度読んでも楽しめる、一人一冊バンド・オブ・ザ・ナイト!

    前半の広告代理店時代の話も、破天荒なお仕事モノとしてめちゃくちゃ面白いんだよな〜。

  • ラリっている時にひしめく百万言の羅列が圧巻だった。全然入ってはこなかったけど、おもしろい言葉をたくさん見た。

  • バロウズやアレンギンズバーグを彷彿させるようなビートニク。しかし、そんな厭世的な世界観とも異なるタダのドラッグ私小説。ラリる事で、社会との関係性や認知バイアスをリセットする。常識なんてものは誰かのでっち上げだというアナーキズムがここにある。何度目だろう。読む度に、気持ちが楽になる。何にもしがみ付かずに生きて良いのだ。死にたい人、断捨離したい人、社会に疲れた人は、この世界に入り込むと良い。きっと全てが馬鹿馬鹿しくなる。

    スーツの下にブーツ、飼い猫と兎をラリらせて気付くと生首一つ、妻を含めたスワッピング、そうしたエピソードを包むヘルハウス。やがて、精神病送り、逮捕者、死亡、失踪と居候達は消えていく。このままで良いのか。偶発的に、本能に従い、いいかげんに生きる。社会との関係性のルールの枠内で生きるか、枠外で生きるか。時には、そんな風に生きてみても良いのではないか。

  • 薬やってこの文章が書けるなら薬やりてえだろ(やりません)

  • かなり好きな作品です
    傍から見ればドラッグ、セックスばかりの自堕落に見える日常の中で仲間内の様々な出来事、変化によって主人公である大島ラムとその妻'み'の心情やら何やらだんだん変化していきます。
    展開とかはそんなに派手ではないし、途中途中に眠剤でラリってるときの頭のなか
    を表現した言葉の羅列がでてきたりするので人によっては退屈に感じるかもしれません。
    個人的には笑えるところ、切ないところ、考えに共感できるところ様々で楽しく読めました。

  • らもさん大好きだったな!

  • らりった世界ってどんな世界?
    傑作「ガラダの豚」を書いた作家がジャンキーの日常を言葉にしたら・・内容は期待したほどではなかったものの、最近の芥川賞受賞作よりもずっとよかったです。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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