新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)

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著者 : 中井英夫
  • 講談社 (2004年4月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739955

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新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 印象的な表題は『風立ちぬ』と同様、フランスの詩人/批評家であるポール・ヴァレリーの詩篇から。三大奇書のうち他の二冊が1930年代に出版されているのに対して、本書だけは60年代と時代に開きがあるのは意外だった。作品内でも同じく三大奇書である『黒死館殺人事件』やノックスの探偵小説十戒、他の有名な推理小説への言及が幾度となく登場してくるのは本書をこうした推理小説の系譜へ位置づけようとする確信犯的行為なのだろう。鼻につく推理合戦も含め上巻を読んだ限りでは典型的なミステリの枠内に収まっているが、さて下巻ではいかに。

  • 前回に読んだ時は上巻で「訳がわからない!!」と投げてしまったが、今回は読むことができた。

    上巻では、まだ「耽美小説」で「奇書」でしかない。
    下巻の最後まで読む終えると、まるで磨き終えた宝石のように価値をもつ、稀な小説だと、今しみじみと思っている。

    それにしても読み終わると「牟礼田め・・・」と思ってしまうのは、私が「とある登場人物」のファンだからなのか。アイツ良い思いしすぎだろう。

  • 1964年(昭和39年)。三大奇書、第三弾。
    中井英夫の代表作。小栗虫太郎「黒死館殺人事件」、夢野久作「ドグラ・マグラ」と共に、本邦ミステリの三大奇書と呼ばれている。推理小説であることを拒否するという意味で、アンチ・ミステリ(反推理小説)とも呼ばれているが、三大奇書の中では文体も内容も一番とっつきやすく、普通に推理小説として読み進められる作品である。

    かつて宝石商として栄えた氷沼家で、立て続けに不幸が起きる。すべて病死や事故死として処理されてしまったが、本当にそうだろうか? ミステリマニアの素人探偵たちが推理合戦を繰り広げる一方、事態はいっそう複雑な様相を呈してきて…。

    トリックも面白いが、犯人の動機がとても印象的。この作品の発表から既に約半世紀たっているが、それでもなお読者の胸にグサリと刺さる、耳の痛い告発である。日航飛行機墜落事故、薬害エイズ事件、福島第一原発事故…。犯人が嘆いた虚無の時代は、今日まで連綿と続いている。

    スパイスの効いたトリッキーな作品。「ブラックユーモアですよ」とおどけて、あくまでミステリの枠から出ようとしない所が、何とも憎い。

  • 随分人を食った話だけれども奇書というほどでもない、普通に面白い小説だった。時事ネタが多くて好き。

  • 三大奇書の一つ。
    密室殺人、推理合戦と、推理小説の王道を踏まえながらも、探偵たちの推理を否定するアンチ・ミステリーの傑作です。
    (情報通信系ライフエンジニアリングコース M1)

  • ミステリの体裁を取りながらのアンチ・ミステリという意味がよくわかった。
    いくつもの(空論の)トリックや背景が語られ、それら1つ1つが普通のミステリならば十分に最終解となりうるレベルとなっていながらその全てが裏切られて終わるという結末。
    全体を通して幻想小説といってもよい。

    ただ、推理小説に求める所謂「解き明かした」という快感は得られない。
    読んでいて常に謎めいてモヤモヤしている感があるが、先を読み続けたいと思わせる筆力もあって「奇書」と呼ばれるのだろう。

  • ミステリー成立の条件に対して懐疑を挟むことで、アンチミステリーになっている作品であると理解しました。
    ミステリとは死者が生じ、事件となり、探偵が介入し、読者が楽しむという体裁をとる。しかしこのアンチミステリは逆に、娯楽を求める読者がいるから推理(合戦)があり、事件や死者があることを主張する。読者の視線と欲望を作中に登場させ、全体として入れ子構造の作品となった。また、戦争による膨大な死に慣れてしまい、洞爺湖事故などをはじめ戦後の大小の事件事故に対し、人々の感性が麻痺しているのではないかという危機意識を読み取ることもできる。

  • 三大奇書の類いを読んだことがないなと思い手に取ってみました。
    まずは一番読みやすそうなこの本から。
    殺人事件が起きて、探偵役に立候補したもの、または巻き込まれたものが推理合戦を繰り広げる今巻。
    時代を感じさせる古めかしく何処か洒落た雰囲気がたっぷりで大変楽しく読めました。登場人物のキャラクターが濃いです。色々推理を披露しますが、結局はまだまだ結論は出ておらず。みんな楽しそうに自分の案を口にします。
    連続殺人(?)にも関わらず人が死んで楽しんでるなあ、楽しそうだなあと思いました。
    上巻最後の殺人のほうが無意味な死ではない的な台詞に、ん?と思いつつ、では犯人は?トリックは?と不思議が増すばかりです。
    これでムレタが上巻最後で言った、いっそ殺人の方が意味がある死だみたいなことが伏線で、探偵役たちの推理は全部無意味で連続殺人事件はただの事故や病死だったみたいなオチだったらどうしようかなと思い始めました。どうなるのかな。
    ここまでは普通のミステリーといった感じなので、何をもって奇書というのかは下巻かなと思うので楽しみです。

  •  この上巻では、氷沼家の次男・紅司と叔父の橙二郎が密室で死亡します。
     その真相について、奈々村久生・光田亜利夫・氷沼藍司・藤木田誠の4人が推理合戦を展開。
     ミステリ・ファンとしては楽しい展開ですが、実際に被害者になった人やその関係者からすると、とんでもないことでしょうね。
     しかしこの4人の四通りの推理、どれももっともらしい。
     同じ事件でもこんな風に色々と解釈できるのかと興味深い。
    (ネット上では、馬鹿げた推理と書いてるミステリ上級者もいます。私は初心者なので、何を読んでもすごいと思うレベルです。)
        
     それで、ミステリマニアの藤木田翁の退場と入れ替わりに登場したのが、奈々村久生の婚約者・牟礼田俊夫。
     世界を駆け回る敏腕記者ということですが、あまりイメージ湧きません。
     この牟礼田俊夫が残る3人の探偵役を集めて、いよいよ真相が判明か……と思ったら、意外な展開に。
     牟礼田俊夫氏は思わせぶりなことを言いながら、結局は何事も言っていないのです。
     他の人の推理を上から目線でダメ出しして、全員間違っていたとは判明するのですが、では真相はといえば、何も明らかにされていない。
     聖母の園事件で焼死体が一つ多かった件についても、氷沼家と縁故のあるお年寄りでもう一人犠牲者がいて、誰か考えれば分かるはずだと言いながら明かさないし。
     思わせぶり・知ったかぶりはいいけど、ではあなたの推理はどうなんですか、真相はどうなんですか。
     テープに録音しておいたからもう一度聴いたら分かるとか言ってますが、そうなんでしょうか。
     これでは全然納得いきません。
     実は物語は前半が終わったところ。
     後半に続きます。
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20161015/p1

  • 時代感満載……
    嫌いじゃない、この空気。

    キャラがことごとく立ちまくっていて爽快。
    久夫がカワユイ。
    しかしこの話は、これから一体どうなるのか……

  • 読むのは三度目か。
    三大奇書のうちでは、最も整然としている。文章も読みやすい。もちろん骨董的な印象はあるが、発行した年月日を考えるととてもハイカラで現代的だと思う。
    そして、作風がなお一層現代的。
    社会風潮に動機を見出だし、アングラな流行を掘り下げ、古典的なガジェットを前衛的に散りばめる。加えてこの完成度だから、明日発行されても話題を集められる。
    長く読まれて然るべき作品。
    4-

  • 久生のキャラが苦手…
    最初から中盤にかけては、「この人たち、人が死んで楽しんでるだろ

  • 難解な話。再読必至。

  • 三大奇書。ドグラマグラが5分の1、黒死館が3行くらいで挫折した身としてはむちゃくちゃ読めました。しばらく、難しいのかなぁと思い後回しにしていた一作、普通にというか結構面白かったです^^アンチミステリとして有名ですが、今のところはTHEミステリ、贅沢三昧、とはいえ普通。事件について複数の人間が推理を述べる部分がほとんど。ですが、ミステリ好きでホームズかぶれした方や、ヘンリー卿を名乗ったりする方が現れ、なんか「遊んでいる感」が否めず…。この辺りが、アンチたる所以なのかなぁ。ということで下巻へ。

  • 素人探偵がそれぞれ解答を持ち寄るが、どれも奇妙なものばかり。真の探偵が登場と思いきや、よくわからない解決となる。下巻は、どう展開するのだろうか。

  • 日本三大奇書の一つと言うことで読み出して見たが、女探偵久夫の態度とそのわりにレベルの低い推理にイライラの連続だった。
    結局事件なの?事故なの?
    下巻に期待!!

  • 他の方も書かれてますが、久生のドヤってる話を見てるだけで読む気が失せていっていたので、ラストの藍ちゃんの切り返しには拍手を送りたい。とにかく内容うんぬんより久生が気になってしまい読むのに時間がかかってしまった。10年後にまた読んでみたいとは思います。

  • 字が大きく、とても読みやすい!内容もセリフが多く読みやすい。「奇書」という言葉に警戒し過ぎていた。

    はじめは小説的な殺人事件以外認めないと言うメタ的な内容や、推理小説のわりにキャラがしっかり立った登場人物たちの会話が面白く、楽しい気持ちで読んでいたが、だんだんと氷沼家の人ばかり死んでいき、悲しい気持ちなっていった。

    物置の中が「びしょびしょに濡れて、いちめん血だらけ」だったというのは何だったのか
    蒼司が犯人なのか
    氷沼家の人は全滅するのか

    気になる。

    とりあえず、アクロイド殺しだけでも読んでおいてよかった。

  • 洞爺丸事故をモチーフにした推理小説。

    有栖も大好きです。と言っていたくらい有名な作品なので、読んでみた。

  • サザエさんのフネが嫌い。私はなんでもお見通しよというあの達観した感じ。久生にもそんな達観具合を感じて、なにこのエセホームズ?とやきもきしてたので、藍ちゃんが推理をバッサリ否定した時、ざまぁwって思いました。よくやった藍ちゃん!それにしても生きてる人、死んでる人、架空の人と登場人物が多い…。犯人の動機が登場人物減らして話を読みやすくするというのであれば、是非あと3,4人は殺って頂きたい。内容は火のないところにみんなで寄ってたかって煙を立たせまくってる感じでよく分からない。下巻で納得させてもらえるのだろうか?

  • 3度目の挑戦にして、ようやく上巻を読み切れた。やはりヤマは序盤の読みづらさ。ここの敷居の高さが出鼻を挫く要因だと思う。
    しかし中盤あたりから急に読みやすくなる。ちょうど四人が四様の推理を展開していくあたりから。そこからは展望が開けたように項をめくることが出来た。
    起こる事件はどれも密室がらみでごくありきたり。しかし、探偵役がそれぞれのバックグラウンドをもって他殺を前提に推理していくのが面白い。最後に牟礼田という探偵役が一人増えたことにより物語がどう集束していくのか?下巻につづく。

  • カーテンが開いて物語が始まる
     死と言う虚無へ美酒を与えんとするような行為。
     ギミックが魔術的であるほか、仏教的なガジェットも登場する。
     アイヌに関する黒歴史と、ホヤウカムイに関するものが何となく登場。

  • 昭和29年の洞爺丸沈没事故で両親を失った蒼司・紅司兄弟、従弟の藍司らのいる氷沼家に、さらなる不幸が襲う。密室状態の風呂場で紅司が死んだのだ。そして叔父の橙二郎もガスで絶命―殺人、事故?駆け出し歌手・奈々村久生らの推理合戦が始まった。「推理小説史上の大傑作」が大きい活字で読みやすく。 (「BOOK」データベースより)

    私が読んだのは、上下には分かれていませんでした。
    だから分厚くて、持つのが大変でした(苦笑)。

    面白く読みましたが、探偵役のみなさんの言動・行動が私には受け入れがたい部分が多く、また設定にも無理があるような気がしてなりませんでした。
    時代的な影響もあるとは思いますが。
    ヒヌママーダーとかのんきに言ってる場合?
    あまり好きになれる人物がいなかったのですが、藍ちゃんには幸せになってほしいなあ。

    最終的には悲しい運命を背負った一族だということでのまとめってことでしょうか。

  • 読み応えタップリな上、犯人が全くわからない。むしろ殺人なのかどうかさえ分からない。後から実は…という否定が続くのが少し不満だが、それ以外は満足。下巻も気になる。

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昭和29年の洞爺丸沈没事故で両親を失った蒼司・紅司兄弟、従弟の藍司らのいる氷沼家に、さらなる不幸が襲う。密室状態の風呂場で紅司が死んだのだ。そして叔父の橙二郎もガスで絶命-殺人、事故?駆け出し歌手・奈々村久生らの推理合戦が始まった。「推理小説史上の大傑作」が大きい活字で読みやすく。

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