新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739962

感想・レビュー・書評

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  • 下巻は謎解きなので満足感あり。
    ただ、薄っぺらい感想しかなく…登場人物が美男子揃いでBLっぽさを感じてしまった、程度。私には日本三大奇書はまだ早いな、と思う。

  • カラマーゾフの兄弟を読んだ時ぐらいには置いてけぼりにされた。
    考察読もう笑

  • 「事件が起きる前に、殺人を犯しそうな人物を予想する」まではまだ理解できたんですが、これが「起きるに違いない事件を小説に書き下ろしてみて、その犯人とトリックを推理する」までくると理解できるようなできないようなで、さらにそこから「叙述トリックがありました!」って、叙述も何もまだその殺人起きてないんだけど!?とまさにワンダランドの世界。 推理合戦で一度は否定された推理がやっぱり正しかったり、かと思わせておいて正しくなかったり、読み終わった時には”面白かった”以前にようやく迷宮を抜けた達成感がありました。

  • 読んでる時確かに退屈は感じたんだが、面白そうな映画をものすごく遠くから、目を凝らして見よう見ようとするのだけれども全く内容が入ってこないまま終わってしまう、といった種類の退屈さだった。

  • 下巻もなんだかよく分からないまま読了
    でもこの世界観はなんとなく楽しかった
    東京旅行のお供に読んでてそうとは知らずに池上本門寺へ行ったら、作中に名前が出てきた力道山のお墓があってビックリ

  • 「アンチ・ミステリー」ってどうかしら?
    ミステリーなんだけどミステリーを否定するって……ぞっとしちゃう想像しちゃったけど、なにかヘビが自分の尻尾を咥えて飲み込もうとしてるみたいな。

    でも作者はもともとミステリーを書こうと思ってペンを動かし始めたのよね。書いてる最中に変節したわけでもないし。じゃあもうそれは、ミステリーでよろしくなくて?

    たとえば、衒学趣味がかちすぎてミステリー部分を凌駕してしまっている。怪奇小説か探偵小説かを分かつ垣根があいまいになってしまっている。……本屋さんの立場になったら、どの棚に並べたらいいのか困りものかも知れないけど、読者からしたらそんなニッチなカテゴリー分け必要あるかしら。『メルカトル』も『邪馬台国』も趣向は違えど最高のミステリー、これでじゅうぶんいいのよ。

    もうひとついいかしら。あたしがいいたいのは逆にメステリー以外の文学のことなの。今そこそこ売れてる小説ってたいてい、ミステリー要素が入ってなくっちゃなりたたないみたくなってない? 今週のベストテンなんか覗いてごらんなさいよ、きっとそうなってるから。古くは『罪と罰』や『カラマーゾフ』なんかも今の感覚でいうと完全にミステリーだし、『万延元年』も『薔薇の名前』もそう。だからといってこれらをわざわざアンチ・純文学なんていうかしら。「純文学でありながら純文学を否定してミステリーの方に寄せてきている」なんて、おかしい話よね。日本人はこんなこまかな範疇をつくるのが好きだからしょうがないけど、自称ミステリーファンっていうのが、純文学だからという理由でドストエフスキーや大江健三郎に手を出さなくなってる。これがほんとにくやしいっていいたいのよ、あたしは。「アンチ・ミステリー」とか言ってる場合じゃないの。面白くって謎に満ち溢れている小説が、ミステリー以外にもいっぱいあるのよ、そこんとこわかって欲しいの!

    あらいやだ。あたしってまた喋りすぎちゃったみたい。ちょっとアリョーシャ、莨ちょうだい。こんな話したのもあたしまだあれから一冊も小説が書けてないからなの。うかうかしてたらヒヌマ・マーダーケースはよその作家に取られちゃったし、刺激的な殺人事件も大規模な海難事故も鳴りを潜めて長いことたつし……まぁ、こんなこと言ってたらまた蒼司に怒られるかもしんないけど――。

  • 【ネタバレあり】



    とりあえず読んだだけでいっぱいいっぱいだった初読時よりは内容を理解できた…と思う…けど、正直どこまでが事件の本筋だったのか、あやふやな感じです。
    紅司の殺害現場に意味ありげに洗濯機の中から出てきたゴム毬ですが、犯人いわく「なぜそんなことをしたのか、自分でも説明できないが、そうせずにはいられなかったから」という、力技にはちょっと笑った。なんじゃそりゃ。
    ミステリ的には疑問に思うところもいっぱいあったけど、この小説の暗くて妖しい雰囲気はとても好き。
    犯人は狂ってると思ったけど、一番恐ろしいのは牟礼田なんじゃないかという気がしました。

    読者として読んでいる分には素人探偵たちの推理合戦は面白いけど、事件当事者としたら実際の事件をオモチャにされて引っ掻き回されて、たまったもんじゃないだろう。この小説の時代から60年以上経った今読んでも、ラストの犯人の台詞にはどきりとさせられる。新聞やテレビで報道される事件を、推理小説を読むように、心のどこかで面白がってはいないだろうか。ステージをネット上に変えて、現代の「虚無」が生み出されていくのだろう。

  • ミステリの体裁を取りながらのアンチ・ミステリという意味がよくわかった。
    いくつもの(空論の)トリックや背景が語られ、それら1つ1つが普通のミステリならば十分に最終解となりうるレベルとなっていながらその全てが裏切られて終わるという結末。
    全体を通して幻想小説といってもよい。

    ただ、推理小説に求める所謂「解き明かした」という快感は得られない。
    読んでいて常に謎めいてモヤモヤしている感があるが、先を読み続けたいと思わせる筆力もあって「奇書」と呼ばれるのだろう。

  •  上巻はすっきりとまとまっていたのですが、下巻では次々に事件が起こって拡散していき、それらが解明されないままグダグダと続いてもう何が何やら分からない状態に。
     最後まで読んで一応謎が解明されたのですが、本当にこれで全て解明されたのか、良く分かりません。
     記憶が鮮明なうちに、もう一度再読して確認する作業が必要かも。
        
    少年少女・ネタバレ談話室(ネタばらし注意!)
     中井英夫『虚無への供物』ネタバレ感想会
      http://sfclub.sblo.jp/article/177292872.html

  • 疲れ果てた、というのが率直な感想。
    練りに練られた、事件の数々の幻惑。
    あったようでなかった様々な事象に惑わされるうち、犯人の告白によって、第三者であるはずの読者自身までえぐる内容になっていくのはお見事の一言。

    が、いかんせん、たどり着くまでが長い……
    「たどり着かない」ことすべてが「よくぞここまで」というくらい考え抜かれていたものだったけれど、正直、興をそがれる冗長さではあった。

    とはいえ、キャラクターの魅力は特筆もの。
    オシャレな久夫が魅力的。
    そして腐女子に人気があるというのがよく分かる登場人物たちではありました……

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著者プロフィール

中井英夫(なかい ひでお)
1922~1993年。小説家。また短歌雑誌の編集者として寺山修司、塚本邦雄らを見出した。代表作は日本推理小説の三大奇書の一つとも称される『虚無への供物』、ほかに『とらんぷ譚』『黒衣の短歌史』など。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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