中大兄皇子伝 下 (講談社文庫 く 1-35)

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  • 講談社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062747714

感想・レビュー・書評

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  • (上巻から続く)黒岩はその冒険に成功したといえるだろう。もちろん現代人の黒岩が中大兄皇子の思考や心情を完全に把握することなどできるわけがない。しかしこれは歴史を題材にとった小説なのだ。小説であると思えば、読者は黒岩の創出した新しい中大兄皇子像に共感にせよ反発にせよ、その傑出した生涯に何かを感じられるはずだ。

    黒岩は、中大兄皇子の人物像について、「激情家である反面、冷静さと冷酷さを兼ね合わせに持つ人物で、ぼくは入鹿より凄いと思う」と述べている。本作でもその中大兄皇子観が反映されている。決めたことはそれがどんなに大胆で非難を浴びる行為だとしても断固としてやり抜く執着心。それは晩年に実弟の大海人皇子を廃し、我が子の大友皇子を即位させる決断にも表れている。後の悲劇を生んでしまったのではあるが。小説の鬼・黒岩が古代の傑物・天智天皇を見事に描き切った作品を楽しんでほしい。

  • 既得権益に淫する輩と国内で対峙し、外交では唐・新羅の侵略を畏れる。一体、真の敵は誰なのか?人望高まる弟に嫉妬し、妹に肉欲を覚える権力者の胸中には、孤独感と猜疑心が膨らんでいった。そして最大の理解者・中臣鎌足がこの世を去った後、改新の英雄の体にも異変が―。歴史巨編、ついに終末へ。

  • うーーん。軽皇子も石川麻呂も思慮が足りない人物として軽く書かれていて、それが何かひっかかってしまいました。この話だと、藤原不比等が天智の息子になってしまいますね。持統の母親も豪族とはいえ臣下だから、似たような身分の姉弟になっちゃいますね。ははは。

  • 下巻
    人物自体に魅力を感じてないせいか、どうも最後まで馴染めなかった。革新者という人物像は普通もっと魅力を感じるのだが
    通説通り実妹との姦通は問題となるのか。
    人間老いるとやはり目が曇ることのこれも典型か?

  • 中大兄皇子の一人称で書かれています。
    期待した萌えが得られなかった…わがままですが。

  •  上巻で大化の改新が終わってしまうので、少しトーンダウンしてしまうのはまあ、しかたないかな。でも、弟への嫉妬、憎しみというまた新しい見所があります。一人称で書かれているのがその効果を更に増しています。

  • 有間皇子が一番好きなんですけど、さっくり死んで悲しかったな・・・

  • 飛鳥
    中大兄皇子

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著者プロフィール

1924-2003年。大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。在学中に学徒動員で満洲に出征、ソ満国境で敗戦を迎える。日本へ帰国後、様々な職業を転々としたあと、59年に「近代説話」の同人となる。60年に『背徳のメス』で直木賞を受賞、金や権力に捉われた人間を描く社会派作家として活躍する。また古代史への関心も深く、80年には歴史小説の『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を受賞する。84年からは直木賞の選考委員も務めた。91年紫綬褒章受章、92年菊池寛賞受賞。他の著書に『飛田ホテル』(ちくま文庫)。

「2018年 『西成山王ホテル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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