魔笛 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748858

作品紹介・あらすじ

白昼、渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ!二千個の鋼鉄球が一瞬のうちに多くの人生を奪った。新興宗教の教祖に死刑判決が下された直後だった。妻が獄中にいる複雑な事情を抱えた刑事鳴尾良輔は実行犯の照屋礼子を突きとめるが、彼女はかつて公安が教団に送り込んだ人物だった。迫真の野沢サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • うわっ!映画してる!エンターテイメントしてる!
    クライマックスを映画館で観てる自分がある!って感じ。
    クライマックスは、3ヶ所同時!巧妙に仕掛けられた罠に対峙しながら!
    さぁ、それぞれ、活路を開けるか!
    カルト宗教、警察、公安とが、絡まって…なかなか面白いストーリー!
    この作者は、脚本家やねんな。どうりで、映像が目に浮かぶ感じがすると思った。なかなかでした。

    PS:
    読みやすいし、面白いんやけど、なかなかページが進まないのは何故?

  • 序盤のページは、会話文が少ないせいか、ほぼ文字で埋め尽くされていて、読むのに時間がかかった。爆弾の中身の説明や宗教の説明など難しいところはほぼ斜め読み(^^;
    半分くらい読んでからはスピードアップ!
    決戦の日に入ってからは面白かったけど、手記により結末が分かるのでハラハラ感はなかったかな…
    全体的に難しかった。なぜ鳴尾刑事はあの情報だけで目的地が分かったのか?難しすぎるよ。

  • 新興宗教の教祖に死刑判決が下された瞬間、白昼の渋谷は無差別爆弾テロに襲われた。
    その犯人は公安が教団に送り込んでいた女潜入捜査官照屋礼子だった。
    刑事の鳴尾が実行犯の照屋礼子を追い、礼子を送り込んだ公安は面子を保つために躍起となる。

    前半はかなり読みづらかったが、後半は何とかスピードアップで読み終えました。
    及第点。

    公安が送り込んだ潜入捜査官照屋礼子の冷静さと追う刑事の鳴尾の泥臭さは結構魅力的だが
    ストーリーとしてはイマイチ繋がらない部分が多数あるのが残念。

    第一に話は照屋礼子の刑務所収監後に書き記した文章で進むが、その設定にこだわる理由が不明だ。
    収監後の面会等でヒアリングをしたと書いているが、追う警察側の情報をしっかり書き込むのには不自然である。
    普通に第三者の俯瞰として書いた方が良いと感じた。
    また、そうすることで最後には礼子は死なずに逮捕される事が自明になるので、最後の追跡劇の部分が少々しらけ気味に感じた。

  • 登場人物がみんなぶっ飛んでいて誰ひとりとして共感できない
    一人称書き切りで読みづらい
    それでも読み終わった瞬間の圧倒的な満足感
    題名に納得

  • 公安の物語にしては人情味あふれた感じ。

  • 脚本家なだけあって描写が映画かドラマを見ているようでした。
    面白い。
    照屋礼子が鳴尾良輔を選んでおいて、最終的に自らの手で終わらせたことに脚本家としての嘆きを垣間見た気がした。

  • 10ページをすぎたところで爆弾テロのシーン。
    それから10ページにわたって、ここの死の様子を延々と読む羽目になり、これはつらいと思ったのだが。
    案に相違して、読む手が止まらなかった。

    信徒を使って爆弾テロを行った新興宗教。
    死刑を言い渡された教祖と、逮捕された幹部信者の他に、報道されてはいないが潜伏を続ける信者がいる。
    照屋礼子、彼女は公安のスパイだった。

    公安のスパイではあるが、潜伏するためには信者に成りすまさなければならない。
    一番つらい修行を積極的に受けることで、彼女は教団の疑いをはらしたものの、徐々に彼女の中で二つの顔が均衡を崩し始める。
    いや、過剰に均衡を取りはじめるといった方が良いか。

    「メシア神道」とは、教祖・坂上輪水の迷妄に世界中の宗教を切り張りしたものが、時代の閉塞感の中で居場所を求める人たちに圧倒的に支持されて急速に巨大化した新興宗教。
    それは、思うにまかせぬ世の中に対する恨みや苛立ちを糧として育ち、武装したことによる高揚感で過激な行動に踏み出してしまったことで有名になってしまったもの。

    ただ、彼女の行動のおぞましさは、教団に潜入したからというわけではないことが後半わかってくる。
    彼女の心の闇が、一体どこから生まれたものなのかはともかく、彼女はそんな自分を受け入れることも切り捨てることも出来なかった。
    だから賭けた。
    自分は生きのびていいのか、生きていてはいけないのかの判断を、鳴尾良輔という一人の刑事に。

    それと並行して鳴尾と妻である安住籐子の物語が紡がれる。
    400ページ強、膨大な情報量と重苦しい世界観。
    読み終えたとき、駆け抜けた満足感ったらなかったよ。

  • 絶品!!
    手記の独特な読みづらさがあり、とにかく読まされる。でも何故か読んでしまってページが進まない。が…面白い!
    ラストに向かう臨場感は他に無いくらい凄かった。
    正義って何を定義しているのか考える本であった。
    わたし的に「信じる者は救われる」って言葉は宗教的な観点であるっていうことが理解できた本。

  • 読み応えのある一冊。
    前半は某宗教団体の事件を思い出してしまうところもありましたが、後半は緊迫感が伝わってきてハラハラする場面もあり、映画を見ているかのような描写や展開が面白くて引き込まれました。

  • 宗教ものとかサイコパスものが好きなので興味があり。
    手記として話が進むのになぜ警察内部の状況とかもこんなに鮮明に描けるのかとか、獄中の妻が何でこんな冴え渡った隠れた名探偵的ポジションやねんとかちょっと突っ込みたくなるところはあったものの、ラストの逮捕までのくだりは映像ばえしそうな疾走感ある感じやったなーとおもう

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