蒼穹の昴(4) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748940

感想・レビュー・書評

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  • おすすめ度:90点

    一気に読んでしまった。皇帝派による戊戌の変はあまりにも急進的であったため、わずか100日間で終結する。
    その終結の仕方はあまりにも悲劇的だ。
    明治維新を範とした志士たちの末路。それはあまりにも過酷な運命の末路であった。

  • 国を動かすもの。国を守るもの。そして国を変えようとするもの。
    それぞれが自らの命と人生をかけて運命に挑む物語。

    前半、中国の地方都市の情景と暮らしが語られる。
    中でも科挙のインパクトがすごい。
    この過酷な試験の内容、膨大な知識と知恵を駆使して決められた形式に従いながら回答を作成する。このスタイルはいまでも中国という国の様々な部分に根付いている気がします。

    そして後半。
    若き改革派が国を変えようと動き出す。
    国の将来を憂う西太后を含む現勢力の少数が改革派の最終的な思い、つまり国を存続させることにおいて一致しているところに政治の皮肉を感じてします。
    目的はひとつでもその手段、手法、思想に微妙なズレがある。
    小さな世界に目を向ければこれは国だけの話ではない。
    国を会社という単語に置き換えればきっと同じことになるのだと思います。
    本気で国または会社の将来を考えることのできる人間だけが、それにふさわしい地位に就くべきなのでしょう。

    本音と建前、真実と嘘、多くの悲しみと苦しみが織りなすドラマに国を動かす、歴史を作ることがどれほど過酷なことかを知ることができる。
    フィクションではあるものの、中国という国の本質が描かれている本書は最高のエンターテイメントでありながら中国と付き合う上で核となるものを教えてくれる教科書でさえあると思えます。

  • 終わっちゃったなぁ。。続きが気になっていっきに読んでしまいました。
    文秀と春児が、お互い想い合っているのに、立場上対立してしまうのがすごく悲しかったけど、やっぱり2人の絆は強いんだって思ったラストでした。
    どの登場人物も魅力的で、本当に素敵なお話でした。

  • 薦めてもらい読み始めました。

    清朝を中心を担った官僚、皇帝、皇后たちのお話。

    4分冊ということでなかなかボリュームはありましたが全体を包み込む「緊張感」や「荘厳な感じ」のお蔭で読み切れました。

    国の中心を担う人の苦悩、希望、諦念、民との距離。

    国だとか組織だとか何かを構成する単位は日常的に意識しなければならないような気がしていますが、やはりそれは「人」以外の何物でもないのだなぁと思います。


    話の中に科挙や官位等、想像だけで書いては胡散臭くなってしまうものがあります。

    けど、正確に書き切るのも難しいのではないか、と思われる叙述がたくさんあります。

    そう思いながら参考文献を見てみると、それらの制度に関するものがびっしり。

    相当勉強しながらお書きになったんだなぁと感嘆しました。


    今まで何となく歴史を扱う小説は敬遠してきました。

    というのも歴史という「試験科目」が苦手、「覚える」のが苦手だからです。

    けど、だからと言って小説になってしまえばその苦手がそのままあてはまるでもなく。

    というわけで歴史物も今後読んでみたいと思ったのでした。

  • すべてを読み終えて

    なんと表せばいいのか…
    このとき程自分の文才のなさにもどかしいと感じることはありません。

    ですが、是非読んで欲しい作品の中で、一番だというのは確かです。

    春児、梁文秀、西太后と…魅力の多い人物ばかりで、濃く残ってます。
    特に西太后は、悪女(?)としての印象を持っていたので
    浅田次郎さんの西太后の姿にはかなり驚かされました。

    まだまだ一読じゃ表現しきれないので
    また繰り返し読もうかとおもいます。

    【引用】
    人間の力をもってしても変えられぬ宿命など、あってたまるものか
    ―紫禁城に渦巻く権力への野望、憂国の熱き想いはついに臨界点を超えた。
    天下を覆さんとする策謀が、春児を、文秀を、そして中華四億の命すべてを翻弄する。
    この道の行方を知るものは、天命のみしるし“龍玉”のみ。

    感動巨編ここに完結。

  • 日本で会津人が差別されていたなんて全然知らなかった。
    伊藤博文と言う人のことも、さほど知らなかったけれど、魅力的な人だったんだ。

    それにしても、中国って複雑だわ・・

    春児や秀文が白太太の予言通りに大きくなっていったことは凄い。
    しかし、変法を志した若い人たちの命が失われていったことは悲しいことだった。
    李将軍も栄禄のところに出てくるならもっと早く、みんなが殺される前に出てきてほしかったわ。

    春児が死に行こうとする文秀に抱きついて留めるところは、幼い頃の春児がそこにいて、胸が痛んだ。
    さらに、春児は白太太の予言が嘘のものであったことを知っていた。
    「お告げなんてそんなもんだ。運命なんて、頑張りゃいくらだって変えられるんだ。なあ、少爺、だから生きてくれよ。おいらがやったみてえに、白太太のお告げを、変えてみてくれよ」
    大きくなっても何も変わらない春児の素朴な心がなおさら悲しい・・

    日本に渡った秀文はどうなるんだろう・・
    載湉はどうなっていくんだろう・・・
    春児はどうなるのだろう・・

    次が気になるけど・・文庫本にならないかなぁ。

  • 後半完全に失速。登場人物増えすぎてまとめきれていない。クーデターの中心に主人公がほとんど関わっておらず、誰?っていう人物ばかりクローズアップされたりと。一巻がとても良かっただけに残念。非常に残念。

  • 中国・清、西太后と皇帝をめぐる戊戌の政変の頃のお話。
    科挙とか、宦官とか、政争とか、いろいろと恐ろしい。
    時代が近いだけに実感が伴って感じられます。

    中国の歴史の小説によく出てくる「天命」というものについても考えさせられました。
    一人一人の運命、天命があわさって歴史が作られていくどうしようもない大きさに心動かされるお話でした。

    でも、やっぱり
    「運命なんて頑張りゃいくらだって変えられるんだ。」
    ですよね。

    優しい心、自分のことより本当に世の中を良くしたいという心が報われる世界であって欲しいな。

  • ~23.05.04

  • 怒涛の最終巻だった。日本亡命の箇所はハラハラした。龍玉がどうなったかイマイチ分からず。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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