羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749121

感想・レビュー・書評

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  • この本の中にはずっと暗い陰鬱な、それでいてすっきりとした不思議な感じが漂っている。喪失感が離れず、でも心地よい雰囲気が伝わってくる。

  • この本を読んでわたしは村上春樹の長編小説世界はちっとも面白くないと思ってしまったのですが、中学生のわたし、なにをよんでいたの?って疑問になるくらい面白かった。風の歌〜ピンボール〜羊と改めて読んでみて、段々としかし着実に物語の土台ができてきて、どんどんきちんとしたものになっていくかんじ。代替可能性への絶望がほんとうにほんとうに涙が出るくらいにつらい。村上春樹の比喩表現の突拍子もなさがわたしはとてもすきだ。村上春樹の書く女のひともすきだし、そんな女のひとと一緒にいる男のひともすきだ。2人の閉鎖的な会話もすきだし、世界を正確な言葉で概観していくその姿勢もすきだ。なんかもう全部がほんとうに大切で困る。

  • 読んでいて楽しい、この言葉に尽きる。それだけで私にとっては価値ある読書時間になった。意味不明な喩えや一節があれば、急に心のど真ん中にぶっ刺さってくる言葉がある。そうとしか言えない状況、景色が浮かび上がってくる。それが本当におもしろい。

  • 空虚で、現実的なものに支配されてなくて、「彼女がいない」とか「お金がない」とか俗世的な層よりももっと深層の部分に存在しているような感覚を呼び起こすところが、村上春樹の小説の好きなところだ。

  • 村上春樹らしい抽象的な、でもなにか人の本質を突いているのでは…と思うような話だった。
    人が折り目正しく生活をしている描写が好きで、そうすることで困難に抗っているのだ、というのを何かで読んだ。

    後半の急展開はしばらく何が起こっているのか分からず取り残されたのが村上春樹の話だな〜という感じだった。
    弱い人間と強い人間についての語りは興味深く、強い人間がいればいるほど、弱い人間もいるものだよな。でも弱い人間は見えにくく、それも弱さに追い討ちをかけるのかもしれない。

    森の中を彷徨うシーンはどことなく海辺のカフカのようだなと思っていたら、かなり近しいものがあった。

  • 再読。感想は下巻で。

  • 「全体としてはお話にならないくらい馬鹿げているくせに、細かいところが実にくっきりとしていて、おまけにちゃんとかみあってるんだ。」


    村上春樹の作品の世界観に毎回
    のめり込まれてしまう。

  • 何回、読んだだろう。
    読むたびに20歳の自分を思い出す。

  • (2019.10.8 再読)
    ほぼ4年ぶり。あんまり覚えてないけど初回で読んだときよりもずっと深く物語に入り込めてるような気がする。いとみみず宇宙。

    「もちろん誰とでもいいってわけじゃないのよ。嫌だなって思う時もあるわ。でもね、結局のところ私はいろんな人を知りたいのかもしれない。あるいは、私にとっての世界の成り立ちかたのようなものをね」

    「あなたと寝てみたいわ」と彼女は言った。
    そして我々は寝た。

    たとえ何が起こるにせよ、まだ何も起こってないんだ。そして何かが起こったとすれば、それはもう起こってしまったことなのだ。

    「本当は何も変ってないとしても、そういう風には思えないのよ。思いたくないのね。そう思っちゃうと、もうどこにも行けないのよ。だから自分ではすっかり変っちゃったんだと思うようにしてるの」

    「若いうちに結婚してすぐに離婚するって結構つらいのよ」と彼女は言った。「簡単に言ってしまうと、とても平面的で非現実的なものを求めるようになるのね。でも非現実的なものって、そんなに長くはつづかない。そうじゃないかしら?」


    冬に読むのがおすすめと言われていたけど、どうしてももう読みたくなって読んでしまった。
    僕、大人になったなー。もう30歳か。
    ガールフレンドを高級レストランに連れて行ってワインを飲むシーンの凝縮された食費の味がした。って表現は本当にツボすぎて噴き出した。
    この淡々と真面目に冗談を言う感じがなんとも好みです。
    内容はちょっとミステリチックでとても面白かった。
    ただ会話の中に形而上学的な話やら互換性やら複雑な仮説やら、少し難解だった。
    冒険に出ようと決めてからのガールフレンドとのやりとりがとても印象に残った。
    彼女の行動力と決断力素敵。
    今が今だとはどうしても思えない感じ、わかるなあ。
    私も北海道行きたーい!

  • 青春三部作の完結編。
    だけど前作とちがって、謎解きのようなスリルも味わえて楽しい。
    下巻が楽しみ。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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