- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062749367
作品紹介・あらすじ
腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!故郷に戻った四郎を待つ血と暴力に彩られた凄絶なドラマ。破格の物語世界とスピード感あふれる文体で著者が衝撃デビューを飾った第19回メフィスト賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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密度の濃い文章で、スピード感ある展開。
タイトルは、祖母の死に際の言葉
「人間死んだら、煙か土か食い物や」から。
とても印象的で収まりの良いフレーズなので、どこか古典に出所があるのかと思いましたが、舞城さんの創作のようですね。
アメリカで働く腕利の外科医四郎。本人は、神の一人とまで言う。そこへ、日本の実家から母親が事件に巻き込まれた連絡が入る。急遽、帰国。
久しぶりの実家で、母親も含めた5人の女性の殴打生埋め事件の犯人探し。
事件解決への見事な推理を展開しつつも、振り切った暴力描写に何故か溢れる家族愛。
時折、ハイテンションな軽めの会話が入るけど、作者の頭の良さが滲んでいるから認めましょう。
細かいストーリーは、もう考慮しないで良いです。
全体的に面白いって感じで、どこへ向かうかわからなかったラストも不眠症も治りそうでハッピーエンドかな?
動物占いは、すぐ気がつきましたが、あれは、算命学の一術式からの発想らしいですよ。算命も占星術と言われれば、そうなのだけど。 -
暴力、性欲、狂気、生と死、そして家族愛! 疾走感とリズミカルな文章に浸れる傑作 #煙か土か食い物
海外で外科医をやっている主人公は、母が事件に巻き込まれたと連絡を受ける。急いで日本に戻って事件解決のために尽力するが、彼の家庭環境は壮絶だったことが明るみになっていく。猟奇的な殺人と家族のゆがんだ関係性は解決に至るのか…
猛烈なバイオレンス、スピード感で迫る本作。これがうわさの舞城節ですか。
改行がほとんどなく、文章が襲い掛かってくる感じ。まるでスラッシュメタルやメロコアパンクの音楽を聴いているような感覚に陥りますね。これは癖になる、読む手が止まらない。なんだこれは!
しかも猟奇性あるあふれる言葉、冗談めいた言葉、死に関する言葉が次々出てきても、嫌な気分にならない。不思議な感覚。
登場人物も強烈な人たちばかりで、気がふれた変態やおかしな人が次々登場。まともな人がいねーよ。
お話としては、なんとか起承転結が追えるという感じで、一応はエンタメ小説ですね。ミステリーとしても不可思議で、正直凡人には意味が分からないです。
本作の一番の魅力は、なによりテーマ性ですね。哲学や純文学に近い。
何が言いたいのか、分かるようで全然分からないのですが、ただ「愛」と「死」だけは強烈に伝わってきました。
日々つまんないなーとぼやいている人は、是非一度このドライブ感を体験してみてほしい。おすすめです!-
autumn522akiさん、こんばんは~^^
「煙か土か食い物」いいですよね。
なんていうかギリギリのスピード感で、なんとかストーリー...autumn522akiさん、こんばんは~^^
「煙か土か食い物」いいですよね。
なんていうかギリギリのスピード感で、なんとかストーリー上に踏みとどまってる感じで。
それでもおっしゃるとおり癖になってしまい、どんどん読まされてしまう。
不思議な快感でした。
この後、この作家さんの作品はどんどんキツくなっていきますが(ストーリーを理解するのがたいへん)「淵の王」は良作でした。
ご縁がありましたら手に取って見てください。
いきなりのコメント失礼しました。2022/07/18 -
土瓶さん、コメントありがとうございます。
読んでみたかった作品で、思った以上に度肝を抜かれました。
たぶんストーリーとか、二の次なん...土瓶さん、コメントありがとうございます。
読んでみたかった作品で、思った以上に度肝を抜かれました。
たぶんストーリーとか、二の次なんでしょうね。
本は読むんじゃない、感じろ!
という感じで純文学に近いと思いました。
「淵の王」おすすめありがとうございます、いつか読みたいです!
「ディスコ探偵水曜日」も気になってます~2022/07/18
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主人公は米国の救命外科医奈津川四郎。母が連続事件の被害者となり帰国、事件解決に向けて暴走する。物語の根幹となるのは親子の確執。バイオレンス強めのミステリー。
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男!男!男!男!男!暴力!暴力!暴力!暴力!暴力!疾走する文体に彩られためくるめくバイオレンス冒険譚。この作品の何がすごいかと聞かれればそのバランス感覚と言うことができるだろう。苛烈な暴力描写は軽快な文章によって緩和され、しかしその軽快な文章もまたライトノベルのような薄さや甘さを帯びることはなく独特のビートを刻み続ける。ミステリーとも冒険モノとしても読むことができるかもしれないが、この小説の根底にあるのはどうしようもない「愛」だと思う。そんな不器用なテーマを暴力でくるんで血で煮詰めてチャッチャッチャッチャッとミステリーをまぶしたような、そんな作品。4兄弟と父親を中心にしたキャラクターの個性もブッ飛んでいるし、絶え間なく登場する福井弁の響きも心地よい。早くも2019年度最強の良書に出会ってしまったかもしれない...
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面白いです!
文章が軽快なロックを聴いているみたいに、グイグイと入ってくるので、スラップスティック的な印象を与えるけど、内容はかなりヘヴィーでシリアス。
ちょっとグロい表現もあるので、そういうの苦手な人は避けた方がいいかも(映画化されたら間違いなくR指定されるだろうな)。
推理小説としては、「おいおい」と突っ込みを入れたくなる箇所も正直あるし、不安定な印象も受ける。
それと作者の個人的趣味嗜好を押し出している箇所(レイモンド・カーヴァや町田康に対する記述など)はやはり素人臭いというか、ちょっと遊び過ぎという気がしないでもない。
その点が少し残念だったので星4つなんだけど、一読の価値はある非常に面白い作品だとお勧めできます。 -
甘えと依存と逆恨み、あと逆恨みじゃない普通の恨みで
ぐっちゃぐっちゃドロッドロの家庭がまず存在し
それがなんだかよくわからない
連続主婦殴打事件にまき込まれるという
ミステリのようでミステリでない
ちょっとミステリ風の小説だ
次男はゆがんだ形の愛を父親に向けていて
父を殺したくもあり、父に殺されたくもあり
ひょっとしたら母を邪魔に思ってるかもしれない暴力的変態
つまりなんらかの承認、あるいは証明を欲しているが
主人公である四男は
そんなもんなくても愛によって人は自由だと直感しているらしい
それはだからファザコンとマザコンの戦争なんだな
とてもおもしろい
ただ、主人公のトラウマにあたる「煙か土か食い物」
ってやつの扱いがなんだか
とってつけたファッショントラウマみたいでアレだ
くるってる -
『淵の王』がなんかよく分からないけどすごく良かったので、他の作品も読んでみたくなった舞城王太郎。
奈津川四郎は、不眠症で腕のいい外科医だ。サンディエゴの病院で働いていて、女にはモテモテでセックスだってし放題。あるとき、日本にいる彼の母親が何者かに殴られ、土に埋められて意識不明の重体だという連絡が入る。四郎の地元では同じ手口の事件が続いていて、同一犯の仕業である可能性が濃厚だという。
日本に帰った四郎。彼はもちろん四男だ。一郎二郎三郎。名前が覚えやすくて親切だ。それにまずわたしは感動した。ちなみに二郎は失踪して行方知れず。
飛び切り冴えてる脳味噌を持つ四郎は、この事件の犯人を突き止めるべく動く。
バイオレンスに続くバイオレンス。果てしなく続く暴力の描写は色鮮やかで、やることはとことんえげつなく、傷は気が狂いそうに痛そうだ。ラストなんて本当に笑っちゃうくらいすごい。
こっちを先に読んでいたら『淵の王』は読まなかったかもしれない。これが面白くなかったというわけではない。むしろ面白かった。だけど暴力の描写が多過ぎる小説は、読むと魂が疲弊するのだ。
順番間違えなくてよかったと思った。
色んな顔を持つ作家なんだな、彼は。
俺は好きでなかったが評価は高いらしいので、気に入るかもですよ。
俺は好きでなかったが評価は高いらしいので、気に入るかもですよ。
食い物…!?怖っ!!
食い物…!?怖っ!!
ぼちぼち読ませていただきます。
ぼちぼち読ませていただきます。