終戦のローレライ(2) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749718

作品紹介・あらすじ

この国に「あるべき終戦の形」をもたらすと言われる特殊兵器・ローレライを求めて出航した伊507。回収任務に抜擢された少年兵・折笠征人(おりかさゆきと)は、太平洋の魔女と恐れられたローレライの実像を知る。米軍潜水艦との息詰まる死闘のさなか、深海に響き渡る魔女の歌声がもたらすのは生か死か。命の凱歌、緊迫の第2巻! 【2005年3月公開 映画「ローレライ」原作】 (講談社文庫)

感想・レビュー・書評

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  • ローレライの回収に成功し、《彼女》の正体であるパウラとフリッツの関係、そして2人の過去が明かされます。そこは想像を絶する世界で、単一民族の歴史しか知らない日本人にとっては思いもよらないものでした。けれどそれを知ることによって、フリッツが何度となく口にする「恐怖が支配する世界で生きてゆくためには、自分自身が恐怖になるしかないんだ」との言葉の重みがひしひしと伝わってくることになりました。彼らが生き延びるための道はそれしかなかったのです。
    わたしには、単にフィクションの世界だと割り切れないのです。本当にこんなことがまかり通っていたとしてもおかしくない、戦争とは人間を狂気の沙汰に追い込んでいくものなんだと思うのです。
    そんな中、征人は大人たちの無力さ、脆さに戸惑い腹を立てます。大人たちは、軍人だから、戦争だからという理屈にしたがっているだけで、自分の行動に何ひとつ確信を持てずにいるのではないか。征人は考え、怖れずまっすぐに大人たちに伝え、自分の守るべきもののために行動を起こします。パウラという守るべきもの、自分の命と引き換えにしてもいいと思えるものが見つかった征人は、矛盾するかもしれませんが決して命を無駄にせずこれから必死で生きていくと思います。
    フリッツにあっても、パウラを人間として扱ってくれるこの艦の乗組員と言葉を交わし、戦いを乗り越えるうちに、人間的な感情が戻りはじめてくるようです。だけど、彼らの行く末は困難を極めこのまま平穏無事にラストを迎えることは出来ないでしょう。だから、余計にフリッツの彼らに対する気持ちの変化が嬉しいのに何だか切なくなってしまうのです。

  • まだ前半を読み終わったところだけど、登場人物それぞれがいい味を出していて、その男っぷりに惚れてしまう。
    最終兵器ローレライを回収後、しつこいアメリカ人に攻撃を受けつつも、絹見の思い切った戦略で、見事回避。
    後半も楽しみ。

  •  そもそもこの物語を読み始めたときには、「ローレライ」を回収するという物語かと思っていたが、この巻でそうそうにローレライは回収してしまった。そして追手の目をかいくぐりながらローレライを運んでゆく展開。登場人物のそれぞれの過去が丁寧に語られてゆく。

  • 物凄くいい‼️

    前巻で抱いた感想を撤回したくなるほど本巻に感動した。

    トリガーとの闘いの場面は本当に高揚したし、それぞれの登場人物たちのやり取り、心情の変化には心揺さぶられた。

    また、本巻で明らかになったローレライの正体とその悲しい過去、そして白い家の凄惨な実態、それら一つ一つがとても涙を誘う。

    ここまで素晴らしいと次巻にさらに期待してしまうが、無駄に期待しすぎず、まっさらな気持ちで楽しみたいと思う。

  •  想定していた戦争ものと違い、ファンタジーだった。映画化しているらしいが、どちらかというと映画よりアニメっぽい。エヴァンゲリオンみたい、と思ってしまったから、余計にそう感じるのかもしれないが。
     潜水艦についての詳細な描写は、あまり興味を持てない者には長くて辛かったが、敵艦との戦闘シーンはドキドキハラハラさせられ面白かった。楽しんで読めるのだが、もっと史実に沿った部分を読みたかったので、少し不完全燃焼の気がある。
     戦争ものが嫌いな普段本を読まない人でも読みやすいかもと一瞬思ったが、本を読み慣れていない人にこのボリュームは辛いか。

  •  本巻は第2章・第3章を収めている。
     私はこの小説が原作となった映画「ローレライ」を見ていないが、潜水艦の構造などはやはり映像で見たほうが分かりやすいかなと感じる。文章からは緊迫感や戦闘シーンなどは読み取れるのだが、いかんせん細かいところになるとイメージがわきにくい。挿絵でもあればまた少し違うのかもしれないが。
     本編を読むと、誰のための何のための戦争だったのだろうかと改めて思う。戦争責任とはそもそもどういったもので、誰が負うのか?それがただ巻き込まれた国民が負うべきものなのか?
     ただ、この第二次世界大戦の引き金になったナチスの台頭には、第一次大戦で莫大な賠償金を課した側にも遠因があるようにも思う。
     本巻は戦争責任について考えさせられた。

  • なかなか物語が進まない

  • 「ローレライ」の秘密とその“力”が明らかにされた、文庫第2巻。

    作中日時、1945年7月30日午前…。
    学校で習った“史実”を知っているだけに、物語がこのあとどういう方向に進むのか、非っ常~に気になるところ。

    ★4つ、9ポイント半。
    2014.10.12.了。

    フィクションである。
    “ローレライシステム”も、完全にファンタジーである。

    しかし……

    作中の“強制収容所”の描写にはそう大きな脚色が加えられているわけでもない、という程度の歴史認識はある。

    ならば……
    同じく作中の

    “生命の泉”は?
    “白い家”は?

    荒唐無稽ではあるが、ありえそうな気も……。
    実在するのか?しないのか?

    ……おそるおそる、調べてみよかな。

  • ナーバルの回収から戦闘シーンが多くなり読む速度が少し上がる

    ナチスの人体実験はニュルンベルクコードと呼ばれ実際に行われていたので、その中で子供たちを対象に実験が行われていたとしても不思議ではない

    その中から発見された超能力による索敵というチートな技術を使う
    でも、一度使うとしばらく使えないという設定はナイスと思いました
    自由に使えるとほぼ無敵になり話が単調になるので

    しつこいアメリカ人のキャスバル艦長は最後精神を病んで特攻したのでもったいないと思いました

    これからも駆け引きを行いながら戦いが続くのかと思っていたので
    2巻が479ページと中々のボリューム、続く3巻も同じ程のボリュームあるので読み応えあります

  • いよいよ出撃。
    緊迫感はあるが、ダラダラと長い文章がちょっと疲れる。
    だけど、ストーリーは面白い。
    漫画的だけどね。

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著者プロフィール

1968年東京都墨田区生まれ。98年『Twelve Y.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年刊行の2作目『亡国のイージス』で第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会大賞、第53回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2003年『終戦のローレライ』で第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞を受賞。05年には原作を手がけた映画『ローレライ(原作:終戦のローレライ)』『戦国自衛隊1549(原案:半村良氏)』 『亡国のイージス』が相次いで公開され話題になる。他著に『川の深さは』『小説・震災後』『Op.ローズダスト』『機動戦士ガンダムUC』などがある。

「2015年 『人類資金(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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