牙: 江夏豊とその時代 (講談社文庫 こ 31-5)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749862

感想・レビュー・書評

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  • 1960年代、大阪。”タイガースは個人事業主の集まりだった”とは本書内の川藤幸三の言葉。選手や球団職員だけではなく、虎番記者やはたまた当時の大阪の雰囲気を醸し出す内容。昭和のノスタルジアに浸れる1冊。

  • 野球好きの父親が「最近のプロ野球選手は個性がない、みんな同じに見える」とよくぼやく気持ちがこの本を読むと納得できる。
    江夏豊の圧倒的な投球とアウトローな姿勢、ヒーローという言葉がよく似合う長島、王。登場するどの選手も人間味がありクセが強い。
    アスリート的な昨今の選手とは違う仕事人集団のような古きよきプロ野球を味わえる一冊。

  • P368
    江夏本来の姿を語った物語。

  • 先日、一時帰国した際、少しでも旅費を削ろうと年甲斐も無くカプセルホテルに三連泊した。その時の靴箱の番号は?「当然28番!」と言いたいが、一日だけ空いていなくて、その日は11番を選択した。客観的に見て江夏豊が史上最高の投手なのかはわからない。但、ONは別格としても、その名前を以て、いや背番号で時代を語れる選手がどれほどいるだろうか。著者の筆は私を幼き日に引き戻してくれる。本書で紹介されている江夏伝説の全てをテレビ、ラジオ、スポーツ紙等を通して同時代的に知り得たことが少し誇らしい。2013猛虎の遺伝子に期待!

    『入団一年目、開幕してまもない甲子園での巨人戦の試合前だった。ONが打撃練習をしている。その光景を見詰めていた村山は、隣にいた江夏に顎をしゃくってこういった。 「長嶋は俺、お前は王だ」 そのひと言ですべてを理解した。』φ(.. ) 実さん、カッコ良過ぎ!! 2013年02月24日


    江夏の読みは本来、コウカだったのを関西に移って来た時、読みにくいからとエナツに変えたとある。なんたるトリビア!!戸籍謄本に漢字の読み方が記載されていない為、このようなことが可能となる。 

    実は私にも似たような経験がある。高校生の頃、平素無口な父親が食事中に「実はうち(田嶋)はタジマではなくタシマだ。」とポツリと漏らした。兄と私だけでなく、20年近く連れ添った母まで驚いたようだ。兄は今さら変えられんとタジマを名乗り続け、当時は従順であった私だけがその日からタシマとなった。高校の時の担任は「お前の家は兄弟で姓が違うのか?」と不思議そうな顔をしていた。まあ、濁点のあるなしだけ、誤差の範囲なので大きな問題にはならなかった。


    四百勝投手のかねやんが「私こそ史上最強の投手!」と自画自賛したり、球界の古老の「沢村の三段ドロップは誰も打てなかった!」なんて話を聞くと、老人の戯言と思いがちであるが、その現役時代を直に知る江夏のこととなると他人事ではない。客観的事実は暫し措き、甘美な追憶の世界に遊ぶもまた善し。 2013年02月21日

  • 泣ける。 プロ野球が本当に熱かった時代か。 まさに真剣勝負。村山との数々のエピソード 泣ける。

    豊、ノートつけてるか。
    今年から、ボールはお前がえらんでええ
    村山さんには 借りっぱなしなんです。

    そして 本当に江夏は野球が好きなんだな。

  • 巨人のV9時代に弱小打線をバックに真っ向から立ちはだかったのが江夏豊。南海移籍後はリリーフエースという地位を誕生させ、広島・日ハムと優勝請負人とまで言われる大活躍。最後は西武だったが、退団後大リーグにチャレンジ。引退後は三面記事を賑わせたこともあったが、彼の野球評論は玄人の発言と感心させられるところがある。不器用な職人が若いうちからあまりにもまぶしいスポットに当てられてしまったが故の悲喜劇が満載の人生ドラマが描かれている。

  • 阪神タイガースファンとしては、涙がちょちょぎれるシーンが何ヶ所も出てきます。

  • 後藤 正治 / 講談社 (2005/02)

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著者プロフィール

1946年、京都市に生まれる。1972年、京都大学農学部を卒業。
ノンフィクション作家となり、医学、スポーツ、人物評伝などの分野で執筆を重ねる。
『空白の軌跡』(講談社文庫)で第四回潮ノンフィクション賞、『遠いリング』(岩波現代文庫)で第十二回講談社ノンフィクション賞、『リターンマッチ』(文春文庫)で第二十六回大宅壮一ノンフィクション賞、『清冽』(中央公論新社)で第十四回桑原武夫学芸賞、を受賞。

2016年、書き手として出発して以降、2010年までに刊行された主要作品のほとんどが収録されている「後藤正治ノンフィクション集(全10巻)」の刊行が完結。

他の著者に、『関西の新実力者たち』(ブレーンセンター.1990)、『刻まれたシーン』(ブレーンセンター.1995)、『秋の季節に』(ブレーンセンター.2003)、『節義のために』(ブレーンセンター.2012)、『探訪 名ノンフィクション』(中央公論新社.2013)、『天人 深代惇郎と新聞の時代』(講談社.2014)、『拗ね者たらん 本田靖春 人と作品』(講談社.2018)などがある。

「2021年 『拠るべなき時代に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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