流星ワゴン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749985

感想・レビュー・書評

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  • 父親と息子の物語。
    30代後半男性(既婚、子持ち)なら、是非読むべし小説。

  • 生きていれば、後悔することが少なからずある。後悔を抱えたまま死を迎える人も。そんな人の前に現れるワインカラーのワゴン車、オデッセイ。吸い寄せられるようにその車に乗れば、もしかしたらあなたにとって、大切な場所に連れて行ってくれるかもしれないーー。

    子の心親知らず、親の心子知らずというか、親子間のコミュニケーションの大切さを実感する物語だった。現実は厳しく、やり直しはきかないかもしれないけれど、前を向いて歩く勇気をもらえる、素敵な話だった。

  • 現代の懊悩、闇と罪と病を抱えたバージョンの「クリスマス・キャロル」というところかなぁ。
    38歳、というタイミングも自らに置き換えてみると実に感慨深いものがある。

    数年前にこの世を去った自分の父が、もし38歳の時に今の自分と出会ったら、という設定を想像してみると世の男の子にとって、そして自分が父親になっている同年代の男性にとって、非常に複雑なシチュエーションだと思う。

    それは単にエディプスコンプレックス、とか心理学をかじった者はすぐ一般論にしてカテゴライズしたくなるんだけど、やはりこういう心の奥に抱えている大きな荷物ってのはひとりひとり違うんだよね、重さもその大きさも。

  • 4.2
    →家族の在り方や、両親の存在の大きさを考えさせられる話でした。様々な親子の形があり、私自身ももっと感謝の気持ちを伝えていかなければいけないと感じました。
    すごく心に残る作品です。オススメです‪☺︎‬

  • 最初から最後まで泣きっぱなしで読んだ。
    重松清さんは、自分の現実や目の前にあるものを受け入れることで新しい人生がまた始まっていくんだと言う考えをすごく大切にされているのかな、と「卒業」を読んだ時のことを思い出しながら感じた。
    わたしは3年前上京して一人暮らしになってから、自分の親を親としてだけでなく2人の大人として見るようになり、両親に対して抱く感情もかなり変わった。
    そうなってから新たに発見する両親の見え方と、この流星ワゴンのストーリーが時々重なって、不思議な気持ちになった。
    今はコロナでなかなか直接会うことはないけど、もっと電話やLINEをしてみようと思う。

  • 良かったー!!!
    この作家さんの話って家族がテーマなちょっと重い感じの本が多い印象あったけど、まったくそんな事なかった。
    スラスラ〜と読めてすぐに世界観にハマったわ。

    岡山出身という事もあり、地元の描写はこの辺やろな〜と身近に感じて個人的にはすごーく楽しめた!

    典型的なハッピーエンド!っていう終わり方じゃなくそれでも人生は続いていく〜、努力次第で上向きになるかも〜って感じもまた良し!

    親父は嫌いやけどチュウさんは好きってのすごく分かる!
    カズと親父とチュウさん、橋本さん親子、健太とチュウさんとすごく好きなコンビ(?)が多かった。

    人生に疲れたら赤ワインのオデッセイを探したい!

  • 11年ぶりの再読!
    死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳の秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして――自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか――?

    『たいせつな場所だったことに気づいても、なにもできないんだったら意味がないじゃないですか』
    『分かれ道は、たくさんあるんです。でも、そのときにはなにも気づかない。みんな、そうですよね。気づかないまま、結果だけが、不意に目の前に突きつけられるんです』
    過去に戻っても未来は変えられないのに、行く意味あるのかなって、私も最初は思った。
    以前はできなかったこと、、嫌いあっていた父と触れ合うことや、妻に本音で向き合うことができたから良かったんだよね。

    『長いドライブを終えて、家族を好きだという気持ちを取り戻した。幸せになってほしいと素直に願えるようになったことが、僕にとっての幸せなのだと思う。』
    いくら後悔していたことがなくなっても、サイテーでサイアクの現実に戻っていくなんて…私には無理だなぁ。(実際にその状況になったらまた違うのかな…)
    結局は、自分で頑張らないとダメなんだ。
    ファンタジーだけど、ただのファンタジーじゃない。

  • 感動させる系のハートフルな話なんでしょ?とわかっててもほろりと来た。
    もう死んでもいい、とまで思い詰めた主人公が、過去のたいせつな日に戻れる不思議なワゴン車に乗る親子と出会う。よくあるタイムリープものと違うのは、彼らはどれだけがんばっても「過去を変えることはできない」こと。つかの間のタイムリープが終わると、過去の人々からその間の記憶は消えてしまう。
    それでも、主人公たちは過去における人生の分岐点をやり直しながら、自分の中の後悔を一つづつ昇華させてゆく。
    最後に戻ってきた現実世界がやはり「死んでもいい」と思うほどの最悪なものでも、もう主人公は「死んでもいい」とは思わない。ここから変えることができると、前へ踏み出す。
    誰かの親になる日が来たら、また読み返したい一冊。

  • お子さんを持つ父親が読むにいい本です。
    人生の分かれ道で選択によって運命が変わることを思い出させてくれます。

  • 38歳の永田一雄は、長年断絶に近い状態だった父の永田忠雄の最期を看取ろうとしています。彼自身も、会社からリストラをいいわたされ、妻の美代子に離婚話を切り出され、中学受験に失敗した息子の広樹は暴力をふるうなどの出来事がかさなり、投げやりな気持ちになっていました。そんな彼のもとに、5年前に交通事故で死んだ橋本親子の乗る車が現われ、一雄自身が気づくことなくやりすごしてしまった運命の分岐点へと彼を連れていきます。

    しかし、過去をやりなおそうとする彼の思いとは裏腹に、運命は定められた方向へと進んでいき、一雄は無力感に苦しめられることになります。しかし、そうした必死の抵抗を通して、しだいに彼は自分自身が奇しくも現在立たされている場所を、あらためて自分自身の運命として受け止めなおしていくことになります。

    当代随一のストーリー・テラーである著者らしい話の運び方です。はじめは、登場人物たちの回し方に多少ギクシャクした印象を受けたのですが、単線的なストーリーとは異なる、登場人物たちの運命が奇しくも出会うことでそれぞれの生き方があらためて確認されるような読後感をいだきました。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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