クラインの壺 (講談社文庫)

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著者 : 岡嶋二人
制作 : 菅 浩江 
  • 講談社 (2005年3月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062750172

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クラインの壺 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 怖っ。

    コンピュータの話だって事前情報だったから、とっつき辛そう……と読み始めたら、バーチャルリアリティーゲームの話だった。全然理解できる。
    体がすっぽり包まれて、五感全てが実際の感覚を疑似体験できるゲーム。ゲームの世界に体ごと入っちゃう感じの。
    主人公がそのモニターとしてゲームを体験して、終わって家に帰る場面を読みながら、「いやでも実はまだゲームの中かもしれなくね? 区別つかなくね?」と考えてしまって、とたんに恐怖に襲われた。
    そしたらこの物語もそっち方向に展開していって、主人公も最後には今置かれた状況が現実なのか仮想世界なのか区別がつかなくなる。
    ホントに怖い。
    まだコンピュータが一般化していない平成元年の作だってことが称賛されてる作品だけど、技術が進歩して実現化も夢じゃなくなった今の時代に読んだ方が確実に怖い。
    完璧なシュミレーションゲームは絶対に作っちゃいけないな。悪用されたら簡単にヒトが壊れる。世界が終わる。

    作品の完成度の高さは素晴らしい。
    岡嶋二人の、最後にして最高傑作だと素直に思う。

  • 読みやすい。
    あっと言う間に読了!

    主人公は仮想現実を体験するゲームに参加するのですが、
    あまりのリアリティに徐々に現実と仮想の区別があやふやになっていく。
    と言う、まぁよくある話なのですが、
    この本は現実もゲームの中のストーリーも面白く、
    スピーディで退屈感はありません。

    また構成がよいせいか、
    読んでるこっちまでどちらか判らなくなってくるのが凄いところ。

    これが1989年の作品っていうのが驚きです。
    今読んでも十分面白いです。

    ただ結局現実と仮想の区別がつかないまま、
    実はどうだったのかが解き明かされないまま終わってしまうので、
    私はそれがすっきりしないでもやもやし、読後感はいまひとつ。

    「クラインの壺」というタイトルを考えるとこのラストがいい気がしますけど、
    これは好みの問題で、私はもう少し謎を解明してすっきりしたかったので、
    ラストはやっぱり少し残念です(笑)。

    という訳で☆は3つですが、岡島さんはセンスがあっていいですね♪

  • ここは世界の内側か、それとも外側か―?

    初版は1989年。まだまだVR(バーチャルリアリティ)とはほど遠い年代に出版された作品であることにまず感動を覚えます。
    “VR元年”と呼ばれる今、この作品はさほど新鮮に映らないかもしれません。しかしVRの「よりリアルに」を追求した先にある世界を、この作品は覗かせてくれます。
    湧き上がる好奇心とスリル、その先は…?技術の進歩をネガティブに捉えるのも後ろ向きかもしれませんが、個人的には体験したくない世界でした。

    VRは今後ますます進化していくはずです。
    だからこそ“元年”のうちに読んでおいて良かったと思えた、SFミステリ。

  • 昔NHKでドラマ化されていた気がして読んでみた。

    題名のとおり、読んでいる此方も壺の中なのか外なのか判らなくなる。

    主人公が、最後に置かれた世界は外なのか中なのかと考えても仕方がない!
    主人公は最後それに悩まされ続けられるんだけど・・・

    まぁ私なりの解決方法としては、メビウスの輪もクラインの壺も観測者の視点から見れば裏なのか表なのか悩む事であって、当事者にとって実はそんな事は関係なく自分がいる場所こそが唯一の世界であると割り切るべき!

  • ◆ストーリー
    主人公上杉はゲームブックの公募に作品を応募。落選したがゲーム会社イプシロンのシナリオとして採用される。そのゲームは、K2という装置を使って、ユーザが現実世界と同様の五感を味わえる完全疑似世界を体験できる夢のような代物。シナリオ原作者としてテストに参加していたが、同様にテストに参加していた梨紗が失踪。梨紗の友人と名乗る七美と梨紗失踪の真実を探る内に、イプシロンがCIAと通じており、ゲームテストが秘密裏に進められているプロジェクトの危険を伴うテストであったことを突き止める。さらに、イプシロンはK2を使って疑似世界を現実と思わせることで、梨紗が犠牲になった事実を隠ぺいしていたことも発覚。イプシロン社に潜入し、証拠を手に入れることに成功したが、上杉と七美は社に捉えられる。しかし、目を覚ました上杉に待ち受けていたのは、それまで体験していた真相究明に奔走した日々がすべてテスト、即ち疑似世界の内容だったという事実。梨紗が存在して七美が存在しない世界を前に、上杉にはもはやそこが現実なのか疑似世界なのか見分けることはできず、壊れゆく精神状態の中で、どちらであろうとK2に入った瞬間から自分はこの堂々巡りから抜け出せなくなっていたことを悟るのであった。

    ◆総評
    ゲームブックの原作者が主人公ということで、ミステリゲーム舞台にしたサスペンスものかと思いきや、現実とゲームを行き来しながら、次第に募る開発会社(組織)への不信・疑念を通して、真実を探るサスペンスという感じ。ゲームという要素はどちらかというと話の舞台というよりは、展開の中で重要な鍵というか、トリックとして使われている印象。K2という非現実的な装置が登場することからSF的なノリもあるが、特に抵抗なく一気に読み進められる。個人的には好きな系統の話で面白かったが、K2でテストを始めた時点で、その後現実世界と混同させるのではという疑いは真っ先に湧いており、梨紗失踪の際の謎もすぐにカラクリは分かってしまった。その辺は正直肩すかしな感もあるが、筆者が一番読者にぶつけたかったのは、そんな謎解きではなく、K2という代物によってなし得た捉えようのない世界観というかループ感(作中では自分の尻尾を加えた蛇と表現されている)、さらにはそこに感じる無力であったと思うので、全体を通してきれいにまとまっていたと思う。その分、突き抜けた読後感は感じなかったのは致し方ないか。

  • 面白い!!考えながら読む人ほど、わからなくなる小説。

  • 面白かったー! 3分の1を越えたら もう一気読み。
    ケータイ電話のない時代を知らない子には、ピンとこない所もあるかもしれないけど。

  • 今年の一冊め。
    ミステリー、サスペンス、SFの要素が満載の作品。
    1989年の作品なのだが、今読んでも時代を感じさせずむしろ、先見の明がある。
    それは、設定が抜群で、元年と言われているVRやAIの要素がたっぷりだから。
    味覚、聴覚、視覚、触覚、嗅覚の全てを兼ね備えたゲームの開発に主人公のゲームライター上杉が携わるのだが、まぁ、色々なことが起こるわけで。。。

    色々と書きたいけどネタバレするので書きませんが、今後、仮想と現実はヤバイことになりそうです。
    夢なのか、現実なのか…


    展開も早く読みやすいのでオススメです!

  • シミュレーション仮説という言葉があります。これは、「人類が生活しているこの世界は、すべてシミュレーテッドリアリティ(コンピュータを使った現実と区別が付かないレベルでのシミュレートのこと)であるとする仮説」のことで、まさしく本書の主旨をあらわしており、また、タイトルであるクラインの壷(境界も表裏の区別も持たない曲面の一種)の意味するところでもあります。

    SFでは新鮮なネタではないのですが、この種の作品は知的好奇心をくすぐられる感じがしておもしろいですね。

  • 発売当時にこの発想が生み出されたことに感嘆するための作品。

  • バーチャルリアリティはすごいことだけど、ここまで来てしまうと恐怖でしかないな。
    この本は前々から積んでおいたがやっと読んだ。読んでビックリ、もっと早く読めばよかったー
    この本が書かれたのが10年以上前ということにも驚いた。
    想像出来ることは実現できると思うけど、ここまで実現されて欲しくないな

  • 「クラインの壺」
    200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。


    今年、いよいよプレイステーションVRが発売されます。でっかいサングラスみたいなものを装着することで仮想空間に入り込んでゲームをするというもの。凄そうだ。しかし、クライン2は、もっと凄い。体全体を包み込んだ装置により、完全に人間が仮想空間の中に入り込んでゲームをするのだ。


    ゲームの中で体感する感覚は、現実の世界と遜色なく、登場人物も建物も仮想とは思えない。そんなゲームの原本を提供することになった主人公。最初は、自分の作品がゲームになることを喜んでいたが、次第に様々な謎に巻き込まれていく。そんなミステリー。


    一番の驚きは、この小説が20年前に発行されているということ。パソコンも全然普及しておらず、VRという考え方なんてそもそもあったのかも不明。そんな時代でVRをコンセプトに持ってくるって、どんな経緯でそうなったのだろうか。それが非常に気になる。


    VRで体感できることをメリットだけではなくデメリットの部分でも描いている点も、物語の展開をスリリングなものにする上で不可欠になっているし、そもそもメリット、デメリットにおいても、今の時代でも取り上げられているものと近しいと思いますし、作家の実力がもろに出ていると思いました。最後の展開も、現実と仮想世界が区別つかなくなり、主人公は孤独に落ちていくというもの。VRの面白さだけではなく、怖さも如実に描いていて、ここら辺の発想って、どうやって出したんだろう。


    ミステリーに属するとは思いますが、実はミステリーではない。そんな作品。岡崎二人の最高傑作と言われている理由はよくわかるなー。

  • バーチャルワールドものの元祖(?)。
    解説などにあるように、ここで描かれるゲームの世界というのは今をもって古びてはいない。意外とわかりやすめでもある。

  • 随分昔の作品でしたが、それなりに楽しめた。

  • 舌を出したり投げキッスをしたりといった描写は古いが、
    シミュレーテッド・リアリティをこんなに早く予見していた内容はすごい。
    またこの人数の少なさ、場所の少なさでここまでミステリアスに描けるのも、すごい技術だ。

  • こういうミステリーもあるのか、と思わせてくれた一冊。
    現実とバーチャル世界の混同
    面白かった。

  • 20年以上前に書かれたとは思えないほど、読んでいて違和感がないし、今でも近未来的な話。
    登場人物が携帯電話を持っていないことに、時代を感じるくらい。
    リアルな体験ができる開発中のゲームに、モニターとして参加した男女が体験する、現実認識の脆さ。みたいな話かな。
    途中まで進みが悪くてダレてたんだけど、後半が面白かった。

  • これは面白い。。
    平成元年の作品とは思えなかった。携帯が普及していたら物語も少し変わったかなとも思いつつ。
    七美のセリフ:「はじめのところからはじめて終わりに来たらやめればいいのよ」・・・現実と非現実どちらなのだろう??

  • SFサスペンス。途中から展開は予想できるような内容だったけど、中盤からおもしろくなり、一気に読めた。ただ、やはり予想したようなところに着地したというところで、★3つ。

  • まぁペタの世界に入りつつある現在だけど、それは置いておいて、面白い。結局どっちがどっちかわからないけど

  • 【死をしるもの、しらないもの】

    もしも、これが警鐘ならば。人は壺に入らなくなるのだろうか。人は最後になにを求めるのだろうか。時間さえもコントールされ、onもoffも奪われた時。人はその自由の中ですら、働いたり悲しんだりするのだろうか。

  • 先輩のオススメで読んでみました。

    クラインの壺と聞いて、正直内容は想像出来ました。
    実際読み進めていくうちに予想通りの展開でワクワクしました。
    主人公が現実とゲームが区別出来なくなっていることに気付いたところはやっとか!って感じになりました。

    ラストの今までの話が全部ゲームかもしれない、という終わり方が冒頭の状況に繋がった時に、そういうことかという感じになりましたね。

  • 面白かったです。バーチャルゲーム、本書のようなリアルなものが何時か本当に出来るのかもしれないと思います。“アバター”を連想しながら読みました。ラスト、私には予想外でしたが、素晴らしいですね。「えっ!?」と思いましたが、なるほど、それでこそ、この作品が活きるのだと納得。果たして、壺の内か外なのか、何が何だか分からなくなる…。丁度、夢から覚めた直後のように。 でもそんなことになったら怖いなぁ。いやはや、いろいろな意味で「やられた!!」と思う作品でした。

  • 近未来を描いたSFミステリ。もっと昔に読んでいたら、もっとドキドキできたかもしれない。疑心暗鬼に陥る主人公の気持ちが分かる。

  • こういう「メビウスの輪」みたいな話大好き!
    いや、「メビウスの輪」を超える「クラインの壷」だけどね。
    もちろん、若干の古臭さは否めない。
    そこはちょっと目をつぶっていただいて。
    誰を信じて良いのか、もう誰も信じられない!って状況にドキドキ。
    なんとなく東野圭吾さんの『パラレルワールド・ラブストーリー』を思い出した。
    あの理不尽さとかが嫌いな人には向かない作品。

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クラインの壺 (講談社文庫)の作品紹介

200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。不世出のミステリー作家・岡嶋二人の最終作かつ超名作。

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