- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062750172
作品紹介・あらすじ
200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。不世出のミステリー作家・岡嶋二人の最終作かつ超名作。
感想・レビュー・書評
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3.0
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本当に1989年に書かれたもの?想像力が凄すぎる。
どれが現実で、何がゲームの中の話なのか、読んでて混乱。
迷宮に迷い込んだようで、楽しかった。これぞ読書の醍醐味。 -
王道SFミステリ。
ラストはありがちかと思いましたが、作品発表当時にこのVRの世界を表現しているのがすごいと思う。 -
図書館でタイトルを見て、ああ懐かしいなと思い、思わず借りてしまった。
当時は面白くて夢中で読んだ。タイトルも記憶に深く刻まれている。
今回は展開を知っていた(覚えていた)ので、ワクワク感はなかったがそれでも面白かったし、今となってはメタバースへの警告に思える。 -
クラインの壺。引き込まれる。仮想空間?夢?に入り込む最新ゲーム「クライン2」。これがドラクエⅢ、ファミコン時代に書かれた作品とは思えない。全く色褪せない作品。ネタは使い古されている感はあるけど、最後まで良くもって楽しませてくれた。
本当に1989年にかかれたとは思えない! -
今でこそありがちなバーチャルリアリティネタだけど、90年代以前にここまで題材として昇華してるのは流石。プロットも読み易くキレイにまとまっていてバシバシ読み進められる。解散前最後の作品で、殆ど井上夢人氏の手によるもらしい。
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岡嶋二人の作品は『99%の誘拐』『チョコレートゲーム』を読んで、本書『クラインの壺』を読んだ。事前知識など何も入れず、どんなミステリなんだろうと思って読み進めていった。衝撃だった。なんという世界観。これが1989年に出版されたというのだから、さらに驚き。SFの最前線を突っ走っている。2023年の今読んでも色褪せることがない。小説の中のこんな世界が現実になる日も近いかもしれないと、携帯電話すらない当時からスマートフォンが当たり前の時代になった今は思える。まるで大作映画を観た気分にも近い。『マトリックス』を初めて観た衝撃にも近い。映像でなく、文字のみだからこそこの無限の創造力を引き出したのかもしれない。読んでいる最中は本当に脳がバグっている感覚になった。最後に自分に問いたい。今生きている現実は本物か?そこまで考えさせられた本作は傑作。
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コンビ作家・岡嶋二人の最終長編。1989年に書かれたバーチャルリアリティものの傑作。今だからこそ面白い。
仮想空間を扱った作品は古くから多数あり、物語のモチーフとしては珍しくはない。VRやAIといったテクノロジーの進化を目の当たりにしている2023年現在の私たちにとってさらに身近な存在にもなりつつある。そんな中で、今さらタイトルだけでオチが見えてしまいそうなバーチャルリアリティものは興ざめではないか?実際に読んでみて、そんな心配はまったく無用だった。今読んでも古くさくない。それにわかりやすい。SFとミステリーを混ぜ込んだストーリーの筋運びは見事。結末のあの感覚は、既視感はあるけど意外と他ではなかなか味わえないもので、この小説の上質さがあそこに極まっている。仮想空間の世界が間近に迫っている今だからこそ、あの感覚を再検討してみる時期なのだろう。使い古されている題材をあざやかにまとめ上げた、分厚いけど一気に読める傑作。