分冊文庫版 姑獲鳥の夏 下 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 131
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062750462

作品紹介・あらすじ

「私を-たすけてください」。古本屋京極堂にして陰陽師の中禅寺秋彦が刑事の木場、探偵である榎木津を前にして解き明かす久遠寺家の「血」。呪われた真相は卑劣漢・内藤を恐怖のどん底へと叩き込み、文士・関口の自我を根底から揺るがす。そして京極堂はいう。「この世には不思議なことなど何もないのだよ」。

感想・レビュー・書評

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  • 京極氏が活動を始めた当時、90年代中盤だったので、ドストライク世代のはず。
    が、中二病だった私は、雑誌「ダ・ヴィンチ」に度々特集される氏の姿に、作家ってゲーノー人じゃねえんだよと嫌悪感を抱き、以来侮っていた。
    実相寺昭雄監督の映画をWOWOWで見たはずだが、なにせ侮っていたので閑却していた。
    後、ニコニコ動画でラジオ音声を漁る際、京極・平山夢明のトーク「東京ガベージコレクション」や、水木しげる界隈で気になり始め、作品を読む前から尊敬するようになった。
    水木しげるを盛り立てる人は尊敬に値するのだと。
    初・夏彦は東雅夫・編「平成怪奇小説傑作集3」の「成人」。4年前だ。
    最新作「鵼の碑」が活況を呈している今更、齢四十にして(当時話題に上がっていた分厚い文庫ではなく、分冊文庫版にて、)四半世紀を経て、入門したわけだが、
    当時申し訳ございませんでしたと土下座したいくらい、o mo shi ree!!!
    「成人」は同時流行りの実話怪談を、「正面から脱構築」したものだが、この「姑獲鳥の夏」もまた、おそらく当時の新本格ミステリ潮流の、渦中に別文脈を流し込んで脱構築するという荒業を行ったものなのではないか。
    ミステリ界隈にも、妖怪界隈にも、先鞭をつけたり継承したりズラしたり肯定したり否定したりという、重層的な意義を持つ作品を投入したのだろう。
    「姑獲鳥の夏」ロシア語版のカバーには、宣伝文として島田荘司の「だまされる脳が作りだす、まったく新しい型のミステリー」という言葉が引用されているというが、個人的には島田荘司の諸作を強烈に連想した。
    ……といろいろ書いたのは周辺情報ばかりで、内容への感想を精緻に書くと数日かかってしまうので諦めるが、とにかく面白かった。
    「妖怪どうたらこうたらぶち上げ」ではなく、「憑き物落とし」なのだよ、探偵というか強制終了させるギミックなのだ、おまえの好きな叙述トリック路線なのだよ、後に興味を持つアレコレの源になるはずだよ、つべこべいわずとにかく読めや馬鹿>中学生当時の私。
    とタイムマシンで遡って押しつけたいくらいだ。
    不明を恥じるばかりである。
    いや、のちに奥泉光がミステリを純文学界隈からズラして、謎周辺での「話し合い」こそが面白いのだと提示してくれた、それを経たからこそ面白みが判ったのであって、当時読んだらやっぱり怒って侮ったままだったかもしれん、自らの度量の狭さと知能の低さにほとほと呆れるよ。

    • 土瓶さん
      そうです。傍らに珈琲を。さんのおっしゃるとおりです^^

      「百鬼夜行シリーズ」も
      「巷説百物語シリーズ」も
      「嗤う伊右衛門」などの「...
      そうです。傍らに珈琲を。さんのおっしゃるとおりです^^

      「百鬼夜行シリーズ」も
      「巷説百物語シリーズ」も
      「嗤う伊右衛門」などの「江戸の怪談シリーズ」も

      最高です。
      2023/09/26
    • 傍らに珈琲を。さん
      この文章、土瓶ちゃんみたいだな~と思ったら
      土瓶ちゃんじゃん 笑笑
      この文章、土瓶ちゃんみたいだな~と思ったら
      土瓶ちゃんじゃん 笑笑
      2023/09/26
    • knkt09222さん
      傍らに珈琲を。さん、
      土瓶さんへ。

      初心者としてはおふたりの熱量の高さに驚くばかりです。笑
      まずは百鬼夜行シリーズを順番に追いなが...
      傍らに珈琲を。さん、
      土瓶さんへ。

      初心者としてはおふたりの熱量の高さに驚くばかりです。笑
      まずは百鬼夜行シリーズを順番に追いながら、スピンオフや他のシリーズにもぼちぼち手を伸ばしてみます。
      「鵼の碑」に辿り着けるのは何年後になるかわかりませんが……。

      ところで「ルー=ガルー 忌避すべき狼」はProduction I.G.でアニメ化されているんですね。
      日本のポップカルチャー界への影響すごいんだなと驚きました。
      2023/09/26
  • 再読で随分理解できたと思う。
    一回目は、京極夏彦先生の紡ぐ文章に圧倒されてしまい、物語を楽しむ余裕が無く、単に文字を追いかけていた。
    あれから何年経ったのか、久々に読み返すと、語彙力、文章力は勿論のこと、キャラクターの個性の面白さ、単なる密室殺人事件に終わることなく、色々な事件が絡みあい真相が解き明かされる。
    京極堂の憑き物落としは、必ず読み手の憑き物も落とされ、他の本ではなかなか得られないカタルシスを十分に感じることができる。
    京極堂シリーズ、やっぱり全巻再読かなぁ(*^^*)最高だ!!

  • 再読だと思えない程楽しめた。
    まず、どの登場人物もキャラが濃すぎる。
    自分の推しを見つけられればこの先さらに楽しめること間違いなし。
    私は関口が好き。

    こちらが恥ずかしくなるくらいの自尊心の低さが堪らない。
    実際に身近にいたら嫌なのだが。

    オチは分かってしまえばそう難しいものではないのだけれど、あそこまで話を掘り下げて1つの物語を作ってしまう作者はさすが。

    十数年前に読んだ作品だけれど、ここまで内容がうろ覚えだとは…。
    私の記憶も信用出来ないなぁ。

  • 読了 20220709

  • うーん、ミステリとしてはそんなのアリなの?という感想。京極堂さんのキャラクターはかなり好きなので魍魎の匣も読んでみようかな。

  • 17年ぶりに新刊が出るので、10年以上ぶりに読み直し。大筋は覚えていたけど細かい部分をかなり忘れてた。学生の時と大人になってからでなんとなく自分の中での感じ方が変わってる気がする。
    関口くんは本当にいい友人持ったなと思う。大人になってからいつまでもいてくれたって構わないなんて言ってくれるような友人なんてなかなかいない。

  • ☆4.4

  • 前から気になっていたが、あまりの分厚さに読んでいなかった作品。
    20ヶ月も身籠ったままの妊婦、密室から消えた旦那、妊婦の生家の産院では生まれたばかりの赤子が3人も消えている…

    ホラーではなく、人間の思いによって生まれる「呪い」(この辺は呪術廻戦に通じるものがありそう)、行き違いから生まれた悲しい事件…進むにつれてどんどん真相がわかってきて、一気に読んでしまった。

  • 巻末の解説だけ、シリーズを俯瞰した内容がやや含まれている様に感じたので読んでいない。シリーズを一通り読んだ後で、いつか目を通したい。

  • 因習好きだし最後めちゃくちゃ胸糞も後味も悪くて良かった。主人公も実は最低だった(誘いに乗ってあんなことして都合よく記憶喪失になるなという意味で)。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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