銀行総務特命 (講談社文庫)

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  • 講談社
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751537

感想・レビュー・書評

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  • 「下町ロケット」で一躍有名になった
    池井戸さんの銀行ミステリー。

    総務に所属する主人公が銀行で起こる様々な不祥事を
    秘密裏に解決していく短編ストーリー。
    それぞれのテーマは、
    個人情報漏洩、銀行員のAV出演、ストーカー事件、…等など、
    バラエティー豊かにそろっています。

    それぞれの短編ストーリーが短い中にも
    とてもよくまとまっていて、
    長編好きの僕でも充分すぎるくらいに楽しめました。
    できればそれぞれのストーリーが少しずつ繋がっていれば
    さらに良かったのですが、短編完結の物語でした。
    (途中まで、てっきり繋がるものだと思っていました…。)

    こうも銀行の中には悪いヤツがいるのか~と
    小説を読みながら楽しめる一冊です。
    (あくまでフィクションでしょうけれど。。)

  • 大手銀行で身内の不祥事を調査する任務を担当する指宿を主人公とした短編連作集。企業というか業界体質なのか、直接間接を問わず、出世レースに絡んだ事件が多い。テレビドラマの「特命係長只野仁」に似てるかもしれない。(アクションもエロスも無いけど)

  • 最近の池井戸作品とは少し違うテイスト。

    各エピソード、結論までは描かれていない。
    それもまた面白いのかもしれない。

  • やるせないお話ばかりです
    出世、地位、お金・・・これに固執する人々
    特に銀行は商品がお金なだけに周りをよく見て行動しないと狭い世界に入り込み・・・そして犯罪に手を染める・・・
    政治家にも共通するところがあるのか・・・
    こんなに嫌な業界ではないと思いますがこのお話の登場人物はうー・・やな奴多いですねー
    できるなら長編で読んでみたいお話が多くありましたねー
    http://momokeita.blog.fc2.com/blog-entry-126.htmlより

  • 帝都銀行を取り巻く事件、問題を解決するべく暗躍する総務部特命係 指宿修平の活躍を描く短編集。
    実際にこのような役割が銀行にあるかはさておいて、単純明快でスリリングな物語進行にページをめくる手は止まらない。
    池井戸潤の著書を読了したのはこれで4冊目だが、著者の新たな魅力を知った。

    • rinamiさん
      (*^_^*)こちらも面白そう。。。単純明快・スリリング、大好きです。
      (*^_^*)こちらも面白そう。。。単純明快・スリリング、大好きです。
      2011/12/30
  • 汚職、派閥、倫理。
    人が組織を腐らせるのか、組織が人を腐らせるのか。
    池井戸さんの本を読んでいると毎回それを思う。

    派閥は政治の世界だけでなく、人が集まる場所には必ず生まれるものなのだろうな。
    嫌い、だけではやっていけない。

  • 「池井戸潤」が銀行の特命担当の活躍を描いた連作集『銀行総務特命』を読みました。

    2年前に女優の「杏」主演でドラマ化された『花咲舞が黙ってない』の原作本のひとつです。

    -----story-------------
    ◆2015年7月スタート日本テレビ系ドラマ『花咲舞が黙ってない』ドラマ化エピソード収録作! ◆
    花咲舞が黙ってない

    「指宿」、お前どうするよ。
    メガバンクの醜聞を隠し通せと言われたら。

    帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任された「指宿修平(いぶすき・しゅうへい)」。
    顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり……スキャンダルに事欠かない伏魔殿(メガバンク)を「指宿」は奔走する。
    腐敗した組織が、ある「罠」を用意しているとも知らずに――「総務特命担当者」の運命はいかに?
    意外な仕掛けに唸らされること間違いなし!
    ある事件をきっかけに「指宿」とコンビを組むことになる美貌のキャリア「唐木怜(からき・れい)」の活躍にも注目。
    -----------------------

    2001年(平成13年)に『週刊現代』に連載された作品で、銀行内のダーティーな懸案を処理する組織「総務特命担当者」の活躍を描いた連作集、、、

    スッキリするオチが用意されており、心地良い読後感があるものの… 金融機関不信に陥ってしまうようなネタの連発なので、胃が重たくなるような不安感が残ってしまう作品でもありますね。

    実際の金融機関にも、「指宿修平」や「唐木怜」のような正義感に溢れる人物がいてくれることを祈りたいと思います。

     ■漏洩
     ■煉瓦のよう
     ■官能銀行
     ■灰の数だけ
     ■ストーカー
     ■特命対特命
     ■遅延稟議
     ■ペイオフの罠
     ■解説 高任和夫


    『漏洩』は、帝都銀行から流出した数万件の融資先名簿が業者に売り込まれた事件を解決する物語、、、

    「帝(ミカド)」と名乗る犯人は500万円でデータを買うようにと言う… 流出の経路は、名簿を売りつけようとしたものは誰なのか。

    疑惑は店内に向けられ、当時、融資を担当していた「藤枝」に、取引先からの接待等で融資が断られなくなったこと(オブリゲーション)が疑われる… 


    『煉瓦のよう』は、叩き上げで執行役員の肩書きを得たバンカー「田島」に200億円の損失に関与した疑惑が浮かんだ事件を解決する物語、、、

    取引先の蔵元建設が民事再生法を適用することになった… 乱脈経営が明らかになり、裏金が帝都銀行に流れているという噂が流れる。

    そして、「田島」は真実を語らないまま、銀行の名誉を守るため自ら死を選ぶ… うーん、ラストのスッキリ感がやや足りなかったかな、、、

    でも、きっと、この後「指宿」が真相を究明してくれたはず。


    『官能銀行』は、帝都銀行の女子校員がAVに出演したことが写真週刊誌にすっぱ抜かれた事件を解決する物語、、、

    ビデオを入手し確認するが顔は隠されており、人物を特定することはできない… AVに出演した人物は総務部の「川島奈津子」だと告げる怪文書が届き、「指宿」は人事部の「唐木怜」と組んでその女子行員を特定すべく調査に乗り出す。

    原因は、一般職から総合職へ変えてやると言って、彼女を弄んだ上司への復讐だったとは… 金融機関に限らず、企業内でリアルに、ありそうなことだけに怖い。


    『灰の数だけ』は、品川支店長の「堂島」の妻子が誘拐され、1億円の身代金が要求された事件を解決する物語、、、

    「唐木」が身代金運搬役を担当する一方で、かつて「堂島」が融資に関わった関係先のリストが当たられる… 回収を担当した倒産先の恨みか。

    『官能銀行』で組んだ「唐木怜」が人事異動で「指宿」の相棒となって活躍するサスペンス要素の強い作品でした。


    『ストーカー』は、渋谷支社の総合職の女子行員「前原美樹」がストーカー被害にあっている事件を解決する物語、、、

    ストーカーは、「美樹」の自宅に侵入しパソコンを触った形跡があるが、犯人と思われた同僚の男性行員「古橋洋一」には、パソコンが触られた時間にアリバイがあった… パソコンから削除されたデータから、不良債権先への不正資金流出との関連が浮上する。

    ストーカーに容疑の眼を向けた別な犯罪… こちらもサスペンス要素の強い作品でしたね。


    『特命対特命』は、債券部の「宮野」が不正な取引を繰り返し巨額の損失を出した事件を解決する物語、、、

    帝都銀行のスタートレーダーによる巨額資金損失… 彼の失敗を、かねてから煙たい存在だった「指宿」に押し付けようとする人事部と総務部の抗争。

    人事部は企画グループの「星川謙一」を中心に、総力を上げて「指宿」を叩き潰そうとするが、最後の最後でどんでん返し… スッキリする展開でした。


    『遅延稟議』は、川崎支社長の「水原」が飲み会の帰り道に刺されて大怪我を負った事件を解決する物語、、、

    犯行の際、犯人は「水原」に「ざまあみろ」と犯人はつぶやいたと言う… 警察に協力しながら独自の捜査を行う「指宿」。

    支社長の「水原」を恨んでいるのは誰か?保身だけの銀行員と誠実な銀行員… 融資絡みのトラブルと思われた事件の真相は行内に向かいます、、、

    法律では許されても、人として許されない行動があるんですよね。


    『ペイオフの罠』は、本書で唯一「指宿」ではなく「唐木」視点の物語で、過去に彼女が対応していた個人の顧客で、京浜銀行の「秋本」の得意先でもある老女「静枝」に関するトラブルを解決する物語、、、

    「秋本」は「静枝」を「おばあちゃん」と呼び日頃から親しくつきあっており、「秋本」を信用した「静枝」は他行の預金2,000万円を「秋本」の京浜銀行に預け替えるが、その矢先、京浜銀行が破綻… 個人的には、本書の中で最も許せない犯罪行為、善人を装い一般庶民を騙して、その人たちの貴重な貯蓄を使って私腹を肥やす行為は許せないですよね。



    「池井戸潤」作品… 愉しめました、、、

    次も「池井戸潤」作品を読んでみようかな。

  • 銀行総務特命 (講談社文庫)

  • エンディングに入る前までに小説が終わる。
    銀行内のでの順序づけがよく分からないなぁ。

  • 銀行員にはなれないけど、なりたくないなーと思ってしまう。
    想像を超える仕事だと思った、、、

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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