時生 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 1523
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751667

感想・レビュー・書評

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  • 4.3

  • トキオ、花やしきで待ってるぞ。
    父と子の二人の旅。
    父が子と親友のような時間を過ごし、時には怒られ、頼りあいながら元恋人の失踪の謎解明の旅に出る。
    拓実がどうしようもない若者から、しっかりと現実を受け止め、嫌なことから逃げたりしないら大人になれたのはこの旅のおかげ。
    2/3までどうしようもない奴でしたが、大人になれて良かったです。
    あと、たけみさんがかっこよくて好きです。

  • 「明日だけが未来じゃない。それさえあれば人は幸せになれる」トキオの言葉は、記憶の中で生き、生き方を変えた。きっと思っていることが真実で、錯覚でもフィクションでも戯言でも何でもいいって思ってしまう。この瞬間、私は、トキオは時空を超えて拓実を麗子を助けたと信じる。生き方を変える力の存在を私は信じたい。

    千鶴との共依存の生き方も、普通にみれば、いつかどこかで終わりになるハズ。そして、俗にいう”苦い思い出”になっていく、よくある姿。きっと。でも、終わりが見えるから、故に悲しい。そして、トキオは、歴史を知っているから、この関係には干渉しない。これもまた、よくある話でしかないのでしょうね。二人とも、脱皮するきっかけが必要だったのね。きっと。

    高倉さんの話は、ちょっと飛躍し過ぎているけど、時代の先取りということで、愛嬌ですか? 拓実が自信を持って(足を洗って)立ち直るきっかけとしては、ちょうどよかったのかもしれない。もし、あの話がなければ、……。時生くんも生まれていなかったのかもしれない、と。

  • 時生(講談社文庫)
    著作者:東野圭吾
    発行者:講談社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    facecollabo home Booklog
    https://facecollabo.jimdofree.com/
    過去と未来でつながる、大切な人との運命を描く感動作。

  • 「東野圭吾」のファンタジー系サスペンス作品『時生』を読みました。

    『白銀ジャック』に続いて「東野圭吾」の長篇作品です。
    「東野圭吾」作品は8作品連続ですね。

    -----story-------------
    グレゴリウス症候群という不治の病を患う息子「時生」に最期のときが訪れつつあるとき、「宮本拓実」は妻に、二十年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。
    どうしようもない若者だった「拓実」は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人「千鶴」の行方を追った―。
    過去、現在、未来が交錯するベストセラー作家の集大成作品。
    -----------------------

    『ナミヤ雑貨店の奇蹟』との類似性を感じるファンタジー作品で、親子の絆について考えさせられ、しみじみとイイなぁ… と感じさせられる作品でした。

    主人公「時生」の父親「宮本拓実」の若い頃… 短気で血が上るとすぐに手を出し、定職を持たず、その日暮らしの堕落した生活、、、

    何の根拠もなく「でかいことをする、一発当てる」と虚勢を張り、失敗すると他人や出生を理由にする、深く考えず直感で行動してしまう… 正直、苛立ちを覚えながら読み進める感じですが、その分、「時生」の健気な態度に好感を覚え、出生の秘密を知って改心するシーンでは感動しちゃいましたね。

    「拓実」が病床の母親に謝るシーンでは、眼が潤んでしまいました。

    大好きな台詞を記しておきます、、、

    ≪「時生」→「拓実」≫

    「好きな人が生きていると確信できれば、死の直前まで夢を見られるってことなんだよ。
     あんたのお父さんにとっておかあさんは未来だったんだ。
     人間はどんな時でも未来を感じられるんだよ。
     どんなに短い人生でも、たとえほんの一瞬であっても。
     生きているという実感させあれば未来はあるんだよ。
     あんたにいっておく。
     明日だけが未来じゃないんだ、それは心の中にある。
     それさえあれば人は幸せになれる。
     それを教えられたから、あんたのおかささんはあんたを産んだんだ。
     それをなんだ。
     あんたはなんだ。 
     文句ばっかりいって、自分で何かを勝ち取ろうともしない。
     あんたが未来を感じられないのは誰のせいでもない。
     あんたのせいだ。
     あんたが馬鹿だからだ」


    ≪「拓実」→母親≫

    「あんたのせいじゃないよ。
     いろいろあったけど、あんたのせいじゃねえよ。
     俺の人生だから、俺が落とし前をつけなきゃならねえ。
     もうあんたのせいにはしない。
     それがいいたかった。
     ええと、それからもう一つ。
     俺を産んでくれたこと、感謝するよ。
     ありがとうな。」


    この二つの台詞で「拓実」の気持ちの変化がわかりますよね… とても印象に残りました。

    心地良い余韻を感じられる作品でしたね。



    備忘用に主な登場人物を記録しておきます。

    宮本拓実
     若い頃はどうしようもなくだらしなかったが・・・。

    宮本麗子
     拓実の妻。

    宮本時生
     拓実の息子。
     ある病気を患っている。

    早瀬千鶴
     拓実の元・恋人

    オカベ
     千鶴と共に失踪した男

    イシハラ
     失踪した千鶴の行方を捜している男

    タカクラ
     失踪した千鶴の行方を捜している男

    坂田竹美
     千鶴の友人。
     拓実とトキオをサポートする。

  • ろくでなしを絵に描いたような生き方をしていた拓実。
    彼の前に突然トキオと名乗る青年が現れつきまとうようになるが、なぜか突き放すことができずにいた。
    トキオの正体とは…。
    息子が最期の命を振り絞って、若かりし頃の父親をまっとうな道に導こうと未来からやってくる。
    トキオの正体が分かって読んでいるので、トキオの切迫した奮闘ぶりと拓実のろくでなしぶりの対比がもどかしい。
    ラストは、結末が決まっているはずなのに2人の出会いと絆が永遠に続くのだと思わせる。

  • 最後の一行に涙

  • 東野圭吾さんのややファンタジー寄りな長編作品。
    ナミヤ雑貨店が好きな人にはハマるんじゃないでしょうか。個人的にはリアル寄りのファンタジーはそこまで食指が動かないので、うーん…。とはいえ流石の東野さんで、話の筋はしっかりしていて読みやすかったです。

  • 過去で悶着が起こりすぎてイヤイヤ…(;^ω^)と思う部分も多いですが、家族愛にほっこりする一冊でした。
    個人的にはもっと過去と現在の伏線回収があったらもっと楽しめたかも。

    最後のひとことに感動。

  • ナミや雑貨店の奇蹟の後に読みました。時空を越えるお話。親子愛が、悲しく切なかったです。拓実のだらしなさが、滑稽に思えました。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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