照柿(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752596

感想・レビュー・書評

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  • (上巻より)

    もっとも興味深かったのは、解説かな。
    「小説の土台になっているのは、スーパー・リアリズムとも呼んでみたい、徹底的にリアルな現実の描写」だそうだ。
    どうも、スーパー・リアリズムは好きではないらしい。
    工場や男心とか興味がないだけかも知れないが。

    それと、作者はミステリーを書いているつもりはなく、
    小説を、恋愛小説とか純文学とか私小説ではない小説を書いているともあった。
    良かった。
    これが警察小説というならジャンルごと拒否しそうだった。

    私小説でないのはわかっているが、
    心情をうだうだ語っているという意味では、
    同じジャンルに入れてほしい。

  • 苦痛だった。ドストエフスキーの「罪と罰」を思わせる緻密な描写。最後の解説に日本のドストエフスキーで罪と罰を意識してかかれた作品と書かれており納得した。

  • 昔、赤ちゃんの思っていることが吹き出しで出るというコメディ映画があったと思うのだけど、この小説の登場人物にそれを当てはめるとすごくホラー。また相対して話している人、袖擦り合う人の誰のことも考えず、自分の心情ばかりを追い求める主人公2人も、読んでいて陰鬱になるばかりである。照柿というより爛熟過ぎて腐った柿。
    タイトルをはじめ、炉、工場、絵など色の使い方はすごく上手いと思うが、表を取り繕う標準語、本性をむき出す関西弁というのはいただけない。
    こんな作品を書く作者は実はすごく陽性な人だったりするのかと思う。釣りこまれて自身の暗部を増大させる読者が居たら気の毒・・・。

  • 「マークスの山」に登場した合田刑事が主人公。
    推理とかサスペンスとかいうよりは、どろっとした人間ドラマ。
    重苦しくて狂気に満ちている。
    後味悪い。

  • 08.02.02〜08.02.05読了

  • 文学作品になりきれなかった、警察小説兼耽美小説・・・なのか?<BR>
    人間が生きとし生けるもの全てが持ち合わせる、生きるためもつ罪を真っ向から取り上げたといえば聞こえはいいのだけれども、その罪に共感できる余地が少ないため、読み終えるのに大変な労力を要する。<BR>
    狂気と日常が紙一重であることは、オレンジ色の光景と共にボディブローとして打ち込まれるけどね。

  • (上巻に同じ)

著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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