マドンナ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.48
  • (232)
  • (722)
  • (1046)
  • (116)
  • (18)
本棚登録 : 5140
感想 : 615
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752633

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 自分の部署に異動してきた若い女性部下にちょっと(いや、かなり)心惹かれてしまう既婚男性を描いた表題作など、微妙なオトシゴロ?な男性のサラリーマン生活を描く短編集。

    「ガール」を先に読んでいたので、こちらもてっきり女性を主人公にした短編集と思い込んで読み始めたらみんなオジサンサラリーマンの悲哀話だった。
    これはこれでほろ苦い想いが沢山込められていて面白かったけど、私にとってリアル感が高かったのはやはり「ガール」の方かな。

    もっと言ってしまえば、主人公であるオジさんたちの心の機微よりも、その周囲を彩る女性たちの心の機微の方が私にはズンと伝わってきた。毎度思うのだけど、奥田英朗さんって実は女性なんじゃないか…?(笑)
    なお、酒井順子さんが文庫版の解説を書いているのだけど、これがまた私のこの思いを補強してくれるような秀逸な解説文だった。この解説を読んだ後は、私個人として特に補足することもなくなってしまうくらいの完成度。

  • 40代サラリーマンを描いた短編5作品。職場と家庭という二つの場を軸にふつうのおじさんの世界を描く。

    同じ40代サラリーマン、ふつうのおじさんとして楽しみにしていたのですが。

    「あー、奥田英朗が東野圭吾になっちゃった(なってほしくない)」

    っていう感じでした。

    軽すぎます、余韻がありません。「うんうん、あるある、あはは」という感じはあるんだけど、そこから先がない?短編ということで物語としても小粒ですし。個人的にはちょっと残念でした。

    でも、「読みやすさ」という点では思い切りサラサラ読めます。それをよしとする読者も多いようで、アマゾンのユーザー評価も低くは無いようです。

    でもなぁ。。。

    40代サラリーマンって確かにこんな感じに見えるけれど、そうでもない部分もあるんだけどね。

  • 日本のサラリーマンお父さんを題材にした短編5編が収録してあります。

    ★マドンナ 
     転属してきた女子社員に恋をしてしまったお父さん。休日も彼女のことが頭から離れないお父さんの状態をよく書き上げてるな~。でも、私がこの短編で惚れたのは、その奥さん。奥さんというのは、ほんと旦那さんのことを知り尽くしてるな~。手の上で転がしてる感じがよーく伝わってきて、最後はなんか心が温かくなった。

    ★ダンス
     職場で馴染まない同期を上から説得するように言われた主人公の葛藤。中間に挟まれるというのはほんと辛いよね~。上にはペコペコしないといけなし、ペコペコしたら自分の昇進は確実。で、同期を説得しても空振り。本当は、何事にも動じない同期がうらやましくって、いつの間にか上司にもあたってた。わかるな~。

    ★総務は女房
     昇進前の転属で、2年後の昇進を目の前に総務に配属された元営業の主人公が、総務の不正を発覚してしまい、自分で正そうと躍起になるが、昔からの流れを乱したくない周りの反発を買う。しかし、奥さんの一言で、実は自分の見栄やプライドのためにしてたと気づく。
    で、結局は不正に加担してしまうという結末は、なんか~?ちょっと。。。て感じだったけど、こういう上司は嫌だよね~。自分の権力を誇示する奴。それが何?って言いたくなる。

    ★ボス
     転属してきた女の上司をよく思わない主人公の話。海外帰りの女で課を新しく変えようと嫌でも自分を曲げない上司の素顔をみてみたい主人公。最後は、彼女が野球ファンだと知り、自分の奥さんと同じなんだと胸をなでおろす。なんか、これもわかるな~。自分がその立場だったら、やっぱり反抗すると思う。

    ★パティオ
     港パークにもっと人呼ぶよういろんな企画に携わってる主人公が、そこに毎日通ってくる老人を気になりはじめる話。これは、なんかしっとりした話。老人の心の内が素直に分かって、とっても微笑ましい話でした。

  • 40歳。中間管理職。上司の顔色を伺い、部下の陰口に怯え、十数年連れ添った妻とはもはや何もなく、反抗期の子供は口も聞いてくれない。それでも40年という歳月が、自分は正しいんだという自負を与える。だが言うまでもなく、それはときに対立を生む。人生の折り返し地点にたどり着いた男たちの小さな戦いを描いた作品。

    ……人ごとじゃねえ。

  • 代わり映えしない日常に潜むちょっとした事件がとりあげられ、その事件や出来事に遭遇した人々の心の動きが繊細に書き綴られている。タイプの違うさまざまな人の心理をここまで鮮やかに描ける奥田さんはすごいと改めて思った。

  • 面白かった。5つある話の中ではボスが一番面白かった。「あなたは、女が活躍するのが気に食わないんでしょ」というセリフには、僕も社会人となれば田島のように考えてしまうこともあるのかな、と思わされた。

  • サラリーマンって大変なんだな、と。

  • かなりドキドキしてしまった。セクハラだとか、いい年してとか色々言われるかも知れないが、”恋愛はしたいよね"。
    40才のオッさんの心理を突いたワクワク本だ。

  • 短編集。それぞれが対比構造をとり、話に厚みを持たせています。「ガール」とは打って変わって、男性にスポットを当てています。ここに出てくる女性社員は一様にして明るくおしゃべりなのは、著者の好みなのかも。5作品収録されているので、気が向いたときに読むにはもってこいです。

  • ガールが良かったので、続いてこちらを。
    オッサンたちの心の描写がリアルで面白かった。
    奥田英朗もっと読みたい!

全615件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奥田英朗の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×