仇敵 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752848

作品紹介・あらすじ

◆2015年7月スタート日本テレビ系ドラマ「花咲舞が黙ってない」ドラマ化エピソード収録作 主演:杏◆

元エリートの矜恃――男は再び立ち上がる!

幹部行員の裏金工作を追及した恋窪商太郎は、謂れなき罪を着せられメガバンクを辞職。エリートから地方銀行の庶務行員となるが、人生の豊かさを知る。だが、元ライバルからの電話が再び運命を揺るがす――。不正を知った男(ライバル)は謎の死を迎え、恋窪は“仇敵”への復讐を誓う。乱歩賞作家、渾身の連作ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 銀行ミステリーになるんやろな。
    普通のミステリーなら、現場にあるものから、事件解決のトリックを解明する。
    それが、手形とかに残されたモノから、解明する。
    その醍醐味は、池井戸さんは、筆力があるから分かるんやけど、金融商品なんかの知識はサッパリなんで、もっと、そん辺も知識入れたら、もっと面白いかも?
    庶務行員って、はじめて聞いたけど、用務員みたいなもんなんかな?

    都市銀行で、バリバリ働いていた恋窪さんやけど、不正を暴き損ねて、逆にやられて、退職…今は、地方銀行の庶務行員。
    でも、それはそれで、良かったみたいやな。出世競争とかドロドロないし、仕事以外で、楽しめるし。(私は、こっち派なんで共感〜)
    しかし、そうは問屋が卸さない!
    やはり、過去の因縁に決着つけないとアカンのか…
    今は、庶務行員と言っても、バリバリ総合職なだけに、意を結するとスゴい!
    現実、ここまで出来るかは知らんけど、楽しく読めた〜
    池井戸さんのは、最後は、ええ感じに終わるので、読後感スッキリ〜(^_^)v

  • 面白かったですね♪

  • 短編だけど大筋が有るので、ドラマ向けの作品だと思います。
    主人公は静かに燃えるタイプで、後輩の面倒見が良いので、上司に居たら良いな。
    終りかたが少しあっさりして物足りなさを感じたけど、リアルはこんなものかも。

  • 池井戸作品はやっぱり面白い。
    けど、最後の最後にガツンとやり込む感じが今作では少なかったような・・・その点が少し残念。

  • 恋窪の優しい人柄と松木の後輩感!
    もともとエリート銀行員だった恋窪は、罪を着せられ地方の庶務行員として働いている。
    銀行員の松木はそのことを知っていて、恋窪のことを信頼し、たびたび相談しにやってきた。

    庶務行員と銀行員の間柄の2人。同じ会社だが部署は違い、共通点は多くない。
    しかし松木は仕事で行き詰まると恋窪にアドバイスを求めてきた。それに恋窪は答え、時には共に問題を解決に導いてきたのであった。
    上司と部下のような掛け合いは、穏やかでとても面白い。

    『仇敵』には、ミステリー要素も大きく絡んで来る。

    人が死んだり、暴力表現があったりなど、こんなのすぐ警察沙汰になるだろうと思われる描写も少なくない。

    穏やかな掛け合いとダークな世界観のミスマッチング。この小説では良い味となっている。

  • 子どもの頃、大好きだった本。
    『わらしべ長者』、『長靴をはいた猫』、『小公女』。

    相手の求める物を提供することで、思ってもみなかったほどの見返りが与えられ自分も幸せになる。また、恩人である主人のことを思い、先回りして智恵と勇気で最良の結果を手に入れ、自分の目標も達成する。辛く苦しい毎日の中にも、理解者や支えてくれる人のおかげで自分を見失うことなく、最愛の父親が戻ってくるのを信じ、厳しい生活に耐えることができた。
    どれもハッピーエンドのサクセスストーリーで、平凡な日々を送っていた子どもの心をくすぐるものだった。
    そうそう、『セロ弾きのゴーシュ』も。
    思わぬ人のおかげで、思わぬことが自分の成長を促してくれるというのも、好きだった。

    本書を読んでいて、思い出したいくつかのおはなし。
    妙にわくわくするのは、そのためか?
    信頼、成長、戦略、義憤。そして、復讐。
    サラリーマンのおとぎ話ともいえるエンターテイメント。

    恋窪商太郎は、メガバンクをわけあって辞職し、地方銀行の庶務行員となって毎日過ごしている。ふとしたきっかけから恋窪のもとへ、若手社員の松木が意見を求めてやって来るようになった。松木と恋窪の間には、本来の立場を越えて、師弟関係のようなものが形成されていく。
    やはり、能ある鷹は爪を隠してはおけないものなのかも・・・。
    松木も恋窪の助けを借りながら、融資の担当として見る目を養い成長していく。

    また、恋窪は以前勤めていた銀行で自分を追いやり、また、自分の派閥に属する恋窪のかつてのライバルを保身のために追い詰めた黒幕への反撃に転じる。

    この辺りは、池井戸さんが得意とするところ。
    企業のクレジットファイルの中の情報を読み解き、敵の企みを見抜く恋窪の視点や思考方法は興味深く、謎解きのおもしろさを堪能できる。

    以前勤めていたときの信頼できる部下や、取引企業の尊敬できる役員など、水戸黄門的な登場人物の配置も勤め人のロマンと思えば、うらやましいかも。

    恋窪さんと松木くん。
    なかなか魅力的なキャラクターだと思いますが、
    池井戸さん、シリーズ化はどうでしょう?
    (もしかして、シリーズ出てます?)

  • 池井戸潤さんは
    流石だと思います!
    読み出しからテンポよく
    先が気になって仕方がない。
    悪党な奴らは!!と天罰くらえ!
    です(笑)

  • 物足りない(笑)
    池井戸さん得意の金融ミステリー&鉄板の復讐モノ
    しかし、それが故に物足りないです。

    短編連作形式の長編金融ミステリー。短編それぞれでまとまりながらも、ストーリ全体で巨悪に挑んでいく物語。
    構成としては「7つの会議」と同じような構成です。

    ストーリとしては、エリート行員の恋窪は、いわれなき罪を着せられ、メガバンクを追われます。そして今では、武蔵小杉にある地方銀行の庶務行員となって静かに日々を送っています。
    ここで必殺仕事人よろしく、庶務行員として庶務作業をひょうひょうとこなす一方で、後輩の松木にはエリート銀行員のキレッキレのアドバイスをあたえ、さらには、前の職場の部下の河野と一緒に、自分自身を退職させたメガバンクの裏に潜む悪に挑んでいきます。
    悪人たちにどう対峙していくのか?
    ハードボイルドのシーンもあり、最後は安定の終わり方。

    物足りないのは、短編の完成度がイマイチで、全体の長編ミステリーがブチブチ切れる感じになってしまうところ。
    さらに、悪者たちを追いつめるところが、あまりにあっさりなところ。もっと、恋窪自信が追いつめられながらも、這い上がって這い上がって、最後はこれでもか!ってぐらいにコテンパンに悪者をやっつけて欲しかったのですが、あまりにあっさり終わってしまいます(笑)

    他の池井戸作品を知っている方は皆さんそう思うのでは?

    本作を通じて「庶務行員」という職位があるのをはじめて知りました。さらには、銀行の仕組みも勉強になります。

  • 初期池井戸作品。得意とする銀行ものを描く。メガバンクの不祥事を暴き損ねた主人公、恋窪がかつての怨敵に再び挑む、というのが本筋で「半沢直樹」をもっと硬派にした印象を受ける。経理の勉強をしていると固有名詞とかが分かって読んでいて面白かった。連作の短編ものとなっているのでさっくりしているのも特徴でテーマほど難しくないのも良い。恋窪を筆頭に見どころのあるキャラが多いが一番響いたのは、一瞬しか出てこなかったある会社の常務。志半ばで死んでいった部下を想い放つセリフが良かった。実に良かった。

  • 庶務行員による組織的犯罪へのリベンジという設定は面白かった。ただ、敵役の悪事性を考えると、主人公はとっくに殺されていないと不自然。そのあたりの矛盾が気になった。

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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