スイス時計の謎 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062753876

感想・レビュー・書評

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  • 何回目かの再読。やっぱりこの中に収録されている話の中では表題作である「スイス時計の謎」が良いよなぁ。論理的な思考がたまらない。本書の解説でも書かれている「ロジックが世界を支配する本格ミステリ」は確かに人を救う可能性があると私も思う。

  • 火村助教授、国名シリーズ。
    表題作が、ガツンときました。なぜ登場人物の設定をそうしたのか、当時作者に何かあったのかしらんと気を回してしまいそうになりました。

  • 「美少女」発言に惹かれて表題作だけ先に。わかりやすい私。アリスのトラウマが軽く解消されつつ、プチ同窓会で楽しく読めた。トリックも今まで読んだ有栖川作品で一、二を争う上手さなんじゃないか。最後だけ、なんか中途半端な感じが残るなあ。自白もあったし、まああれ以上書くこともないんだろうけども、無理やり終わらせた感じが。

  • もうどうしたって火村さんの勝ちパターン的な感じで安心しきって読む。

  • ダイイングメッセージ、首なし死体、密室もの、犯人あて。実にバラエティに富んだ短編集で本格ミステリもので楽しめた。

  • ミステリーの王道ともいえる題材を扱った短篇・中篇が読める。
    表題作では火村の語る腕時計に纏わるロジックに感服した。
    被害者が遺したダイイングメッセージを解読したり、死体の頭部が彫刻の首とすげ替えられた理由を探るのも面白い。
    倒叙ミステリーもあり、盛り沢山な内容だった。

  • 結構前に出ているのに本なのにどうして読んでいなかったのか、と思いつつ開いて、納得。
    あるYの悲劇、女彫刻家の首の二作品を他のアンソロジーで買い求めていたために手元に置いていなかったんだ。
    でも、作家アリスファンとしては、本格ミステリとして以外のところでもスイス時計の謎は必読だった。

    アリスの創作の原点についてはシリーズの中で何度か言及されているけれど、初出のダリの繭に続いてこの作品はとても重要な触れられ方をしてると思う。
    アリス良かったね。泣きそうだよ。

  • 二年に一度開かれていた“同窓会”の当日、メンバーの一人が殺され、被害者のはめていた腕時計が消失!いったいなぜか…。火村の示した間然するところのない推理に「犯人」が最後に明かした「動機」とは。表題作ほか謎解きの醍醐味が堪能できる超絶の全4篇。ご存じ国名シリーズ第7弾。


    これはどうやら図書館で借りて一度読んだな、ていうことに、時計のロジックのところまできて気づいた。そして今回もそこだけ何回も読んだ。たぶん理解したと思う…
    火村のロジックで追いつめるスタイル大好き。

    この話のアリスはトラウマモードになってて、でもちょっとふにゃふにゃしすぎじゃない?と思ったけど、自分のトラウマってあれかな、と黒歴史を掘り起こしていたらぐずぐずになって、あーなるほど仕方ないかって思った。
    アリスのトラウマはここである程度昇華したんだろうなあ。だから「菩提樹荘」で火村にそのことを話せるようになったんじゃないか、と思う。

  • 表題作の論理的に考えて、犯人はあなたである、という論法。何だか分かったようなわからないような。
    反論できそうな気がするけど、うまい反論ができないから、論理的に正しいのでしょう。
    ペルロ社のディプテロスか。興味あるなー。

  • 「あるYの悲劇」
    インディーズバンドのメンバーが殺されて、壁に残ったYの字は誰を指しているのか、というダイイングメッセージを中心にした話。名前の読みの意外性と、きっかけの意外性が結構面白かったなー。ロックとエラリー・クイーンという作者の好きを詰め込んだ一作だなと笑

    「女彫刻家の首」
    ある女性彫刻家の首なし死体が見つかって、首がないことに犯人のどんな意図があったのか、と言うのを推理する話。これは割と途中で、ああ、そういうことか!とトリックを見抜けたのですが、火村せんせの気づきのきっかけはさすがだななどと感心するのでした。

    「シャイロックの密室」
    ある金貸しが、貸した金を苦に自殺してしまった人の家族に復讐されて死ぬところから始まる密室ネタ。お手製の木の閂で閉まる扉に閂がかけられて完全なる密室の中での自殺を装わせたにもかかわらず、犯人が残したわずかな痕跡から推理するというもの。簡単な道具で密室を作り上げるその発想がいいですよね。いやまあ、拳銃は簡単には手に入りませんけど…。

    「スイス時計の謎」
    これが圧倒的に面白くてすごかった。
    アリスの同級生が殺される事件。殺されたのは当時スノッブな感じのグループを作っていたメンバーの一人で、そのメンバーでの同窓会の当日に殺された被害者。同窓会に参加するにあたって、みんな揃いの時計をしていくことにしてるんですが、現場からは被害者の時計がなくなっていて、これが事件解決の鍵になるんですよね。
    最後の火村せんせの論理的な追い詰め方が超クールでかっこいいんですよ!その論理を、考え抜いてあるのがまたすごくて、そこが本当に面白かった。。
    あと、そのメンバーのそれぞれの個性がまたよくてですね。犯人が追い詰められたあとの展開がまたとても熱かった。
    ところで、そのメンバーとアリスは直接仲が良かったわけではないけど、高校時代のことを知っている人たちなので、自分の高校時代のことを思い出したりとかしてね。初恋の話とミステリを書き始めたきっかけが出てくるストーリーでもありました。非論理的な世界から逃れるために、超論理的な推理小説の世界に没入するっていうのはなかなか面白いなと。文章を書くことということについてちょっと考えたりしてました。
    文調が明るいので、ちょっと意外な感じもしますけど、そういえば、人嫌いでしょう、みたいな指摘をされる話とかもあったなあ。

    解説は太田忠司さんでしたね。太田さんも読んだことあるなー。なんだっけな…。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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