スイス時計の謎 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.54
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本棚登録 : 2509
感想 : 185
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062753876

作品紹介・あらすじ

二年に一度開かれていた"同窓会"の当日、メンバーの一人が殺され、被害者のはめていた腕時計が消失!いったいなぜか…。火村の示した間然するところのない推理に「犯人」が最後に明かした「動機」とは。表題作ほか謎解きの醍醐味が堪能できる超絶の全4篇。ご存じ国名シリーズ第7弾。

感想・レビュー・書評

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  • ロジックを重視した謎解きの短編集。表題が謎は単純だが本格派としてはいい出来かも。スイス時計のことに頭を集中させればいい。まあ、結構分かってしまったんだけど。ただ、物語を読む楽しさがなあ。はっきり言って、ストーリーテラーとしての面白さは薄い。有栖川有栖はそういう感じかな。

  • 作家アリス国名シリーズ短編3+中編2。トリックは手堅いが今回は全体的に印象が軽いのはこの形式で収録されているせいか。初めから読んでいる身としては以前にさらっと語られてた2人の出会いのエピソード「あるトリックの蹉跌」は嬉しい。原稿途中で犯人を当てる火村先生の組み上げ方が面白い。表題作は倒叙物で犯人視点が新鮮。「船長が死んだ夜」「トロッコの行方」は安定して綺麗に纏め上げられていて好み。最後に新たな視点が示される前者とある意味暴走の果てな後者。ある意味真逆なんだけど。

    • 111108さん
      おじょーさんさん、はじめまして。
      いつもレビュー楽しく拝見してます。
      これから読みたいミステリーの参考にさせてもらってます!

      フォローして...
      おじょーさんさん、はじめまして。
      いつもレビュー楽しく拝見してます。
      これから読みたいミステリーの参考にさせてもらってます!

      フォローしてる人のしかタイムラインで読めなくなったみたい?なので、今更ながらフォローさせていただきますね。
      よろしくおねがいします♪
      2021/08/07
    • おじょーさん
      初めまして。フォローありがとうございます。
      最近他の人のレビュー、見にくくなりましたよね。
      こちらこそ今更になりましたがフォローさせてい...
      初めまして。フォローありがとうございます。
      最近他の人のレビュー、見にくくなりましたよね。
      こちらこそ今更になりましたがフォローさせていただきました。
      よろしくお願いします。
      2021/08/07
  • 短・中編の4作品が収録。
    全て面白かった!
    特にスイス時計の謎はロジックを聞いてなるほど…!となる。
    理詰めで解決する火村先生が凄い。
    その裏ではアリスが過去を思い出して感傷的だったのが対照的。
    そんな過去があったとは…

    他のお話も面白く、本格ミステリ揃いの一冊だった。

  • '22年6月21日、Amazon audibleにて。紙の本で数回、読んでましたが…audibleのレパートリーにあったので、敢えてまた。

    結末は全て知っている、でも…色々な意味で、楽しみました。

    まずは、語り手…アリスさんのキャラには、語りの調子も声も、すごく合っていた、と思います。しかし、火村は…僕のイメージでは、なかったな(ここで一つ、気づきましたが…普段の読書では、僕は、登場人物達の「声色」は、全く意識していませんでした。全ての人物が、ある意味、プレーン?というか…高い、低い、など…何も感じてなかったんたな…涙!)。
    でも、やはり「慣れ」って恐ろしい…最後には、「これはこれで」って思えました。これは、語り手さんの、技術?魔力?

    次に、「編集」…と、言うのかな?
    4つの短編からなる作品集ですが…作品と作品の間が、短すぎ!と感じました。特に、「シャイロック〜」から表題作にいく、その間が…「余韻もヘッタクレも、ねーじゃんよ」なんて感じました。あまりにも、短すぎ!僕は、「シャイロック〜」のラストの、火村の「氷のような、怒り」…とでも言うのかな、あれが大好きなので、不満に思いました。でも、既読作品ならでは?不満に感じている自分をかえりみて、改めて…「有栖川愛、あるいは火村愛」みたいなのを意識…ハハハ(ب_ب)

    次に、作品について…これはもう、改めて語ることもなく、やはり大好きです!特に、表題作の、火村が展開するロジカルな推理…最高です!「あんた、どんだけクイーンを愛してる?」と、作家有栖川さんにツッコミをいれたくなります。で、ここまで至る間に、火村の「声色」にも、すっかり慣れているオノレに気付かされ…

    などなど、色々と、audibleでの有栖体験は有意義でした。いやぁ、楽しかった!また、次も!

    • 111108さん
      お返事ありがとうございました!

      関西弁だったんですね。書いてある様に読むからそりゃそうですよね。

      そうですね〜短編集の場合の間は大事です...
      お返事ありがとうございました!

      関西弁だったんですね。書いてある様に読むからそりゃそうですよね。

      そうですね〜短編集の場合の間は大事ですよね。おいおい、もうそっち行くの?みたいな感じなんですね。もうちょっと思いをくみとらなくちゃ‥というまーちゃんさんの火村愛かんじたレビューでした(´∀`*)
      2022/06/21
    • まーちゃんさん
      アハハ…ありがとうございます。

      「アーニャ」、忘れないように登録?しました!トライしてみます!

      ありがとうございました༼ つ ◕‿◕ ༽...
      アハハ…ありがとうございます。

      「アーニャ」、忘れないように登録?しました!トライしてみます!

      ありがとうございました༼ つ ◕‿◕ ༽つ
      2022/06/21
    • 111108さん
      お返事ありがとうございました〜♪
      お返事ありがとうございました〜♪
      2022/06/21
  • 作家アリスと火村の国名シリーズ。
    短中編4編収録。

    この短編集の中では、やはり表題の「スイス時計の謎」が一番好き。
    推理物としてよくできているのはもちろん、アリスの高校時代が垣間見えて楽しい。美少女ネタは他でも読んだけれど、なんだったっけ。
    時間の流れ・人生のいろいろが切なさを感じさせるけれど、近頃すっかり火村センセイからアリスファンにシフトしたわたしにはアリスの失恋の思い出のほうが切なかったり。

    「あるYの悲劇」のYは何かというのは割とすぐにわかる。
    ただ、なぜその人物を指すのかは全くわからなかった。
    こういう雑学(というのも違う?ネタバレにならない表現が難しい…)は面白い!

    「女彫刻家の首」と「シャイロックの密室」。
    こちらの2編はあまり好みではないが、倒叙ものはたまに読むと新鮮。

    • takanatsuさん
      九月猫さん、こんにちは。
      先日は私の拙いレビュにコメント頂きありがとうございました!
      出来たら有栖川有栖さんの本をたくさん読まれている九...
      九月猫さん、こんにちは。
      先日は私の拙いレビュにコメント頂きありがとうございました!
      出来たら有栖川有栖さんの本をたくさん読まれている九月猫さんにお聞きしたいことがあるのです…。
      有栖川有栖さんの本はシリーズものが多いことを知って今少し困っています。
      これは作家アリスシリーズの1つですよね?それとは別に学生アリスシリーズなるものがあるようですが、続きものなのでしょうか?
      (学生アリスが作家アリスになった?)
      私はソラシリーズしか読んだことがないのですが、他のも読みたいなと思っていて、九月猫さんの1番好きな本やシリーズがあったら教えて頂けないでしょうか?
      2013/02/23
    • 九月猫さん
      takanatsuさん、こんばんはー♪

      有栖川有栖さん大好きなので、興味を持っていただいてすごく嬉しいです(^-^)

      >学生アリ...
      takanatsuさん、こんばんはー♪

      有栖川有栖さん大好きなので、興味を持っていただいてすごく嬉しいです(^-^)

      >学生アリスが作家アリスになった?

      …って思いますよね(^-^;)
      でも、作家アリスと学生アリスは別設定=別人物です。

      探偵役も違っていて
      作家シリーズ→大学時代からの友人で今は母校の准教授・火村
      学生シリーズ→大学の先輩でミス研の部長の江神

      それぞれのアリスを別人物にしたのは、学生アリスが作家アリスになったとすると、アリスが探偵役を乗り換えた節操無しに見えるからだとか。

      たくさん作品が出ていて、短編集もあってバラエティに富んでいるのは作家アリスのほうです。
      がっ、個人的にはやっぱり氏のデビュー作である学生アリスの一作目から、できれば三作目まで読むのを推します。
      今読むと一作目は「…若いな」って感じなのですが(←エラそうですね。笑)。
      作家シリーズはどれからでも気軽に読めると思います。短編集は一冊の中にいろんなタイプの作品を収録したバラエティに富んだ作りになっているものが多いです。

      シリーズもの以外では、主人公が幽霊という設定が気にならなければ「幽霊刑事」あたりがとっつきがいいかも。
      わたしは「幻想運河」という作品も好きなのですが、コレ悲しいことにあまりファンの間では人気がないのですよねー。

      少しでもお役に立てればよいのですけれど…
      不人気作が好きだったり、まだ「ソラ」シリーズを読んでいなかったり、なので、takanatsuさんへのおススメが的をハズしたものになっていたらごめんなさいm(_ _;)m
      2013/02/23
    • takanatsuさん
      わぁ!ありがとうございます!
      学生アリスシリーズから読んでみます♪
      幽霊刑事も気になります!

      本当にありがとうございます!
      図々...
      わぁ!ありがとうございます!
      学生アリスシリーズから読んでみます♪
      幽霊刑事も気になります!

      本当にありがとうございます!
      図々しいお願いになってしまったかも…と心配だったので、こんなに早くお返事頂けてとても嬉しいです!
      2013/02/23
  • 表題作を含め、『あるYの悲劇』『女彫刻家の首』『シャイロックの密室』の全4篇が収録されています。

    『あるYの悲劇』
    「あっ」と言いたくなる一文があります。
    作中のロックに対する語りが面白かったです。悲劇といえば悲劇なのですが、ユーモアのある作品でした。被害者の父親が書いた『消えない蒙古斑を持つ地母神の偉大な臀部が一発の放屁とともに覚醒する朝』という芝居、一体どんな芝居なんでしょう。

    『女彫刻家の首』
    なぜ犯人は遺体の首を彫刻の首にすげかえたのか?
    犯人は、最初の方で当たりがついたのですが・・・
    最後の火村のセリフが印象的でした。『天の裁きだって? 神の御手のなせる業か。勝手なことをしてくれるじゃねぇか。裁いていいと、誰がてめ
    ぇに言ったんだ』

    『シャイロックの密室』
    倒叙ミステリー。密室にした方法は?

    『スイス時計の謎』
    作家アリスの高校生時代の同級生が登場する作品。アリスの過去のトラウマになりそうな出来事が描写されています。シリーズ作品を読んだ方が、もっとよく理解できるようです。

  • 4つの短編集。それぞれ本格推理で楽しめる作品である。二番煎じ感は否めないが、有栖川有栖らしい作品である。

    あるYの悲劇:有栖川有栖の小説を書き始めた理由が垣間見える。ダイイングメッセージもの。想像しやすい。

    女彫刻家の首:題名通り首の無い死体の謎、なぜ首が無いのか?動機と機会と共に明らかにされていく。火村が神に対していった言葉が印象深い。この点は奥行きが深く考えさせられた。

    シャイロックの密室:火村視点ではない作品。題名通り密室だ。シャイロックはベニスの商人に出てくる金貸しの名前で、職業は合致する。犯人の視点で新鮮だった。

    スイス時計の謎:2年に一度の同窓会で事件は起こる。社会思想研究会のメンバーの証であるスイス製の時計が遺体から消えている。なぜ持ち去ったのか?犯人に行きつくまでの論理的思考の展開は面白い。青春時代の勘違い野郎の集いに思えてしまう。自分の高校時代を思い出してしまった。

  • 作家アリスの国名シリーズ7作目。
    4編の短編からなる物語。
    結構本格派が多かった。
    動機は何であれ殺人は良くないよって話。

  • 表題作「スイス時計の謎」が一番好き。
    やっぱり国名シリーズは時間を置いて再度読みたくなる。

  • 何度目かの再読。
    うっすら記憶のある中読んだ。概ね忘れてたけど。
    4作の短編・中編集。
    あとがきで作者の言う通り本格ミステリ揃い踏み。
    どの話も面白かった。
    ダイイングメッセージの「あるYの悲劇」、死体の首が消える「女彫刻家の首」、倒叙ものの「シャイロックの密室」、そしてゴリゴリのロジックで攻めてくる表題作。
    特に好きなのは次の2作。
    「あるYの悲劇」は途中でダイイングメッセージの意味は分かるんだけど、被害者の口走った言葉がわからず、終盤にアリスと一緒にびっくりすること請け合い。そしてそこかしこに伏線のような、話の要素が散りばめられてて面白い。

    そして表題作。
    1つずつ疑う要素を消して言って、最後に残ったのが犯人、的な。考えたら辿り着けるかもと思ったけど、3回くらい犯人当て部分読み返してやっと理解した。

    ミステリーの中でも超合理的な犯人でないと追い詰められないロジック。
    だからこその舞台設定、そしてそこに付け加えられたアリスの過去話。不条理な出来事から逃避するために、合理的なロジックの世界で繭を作ったアリス少年。20年近く経ってもまだ傷が癒えないアリス。この話は、表は超合理的にロジックで犯人を攻め立てる火村の話で、裏は容疑者達と再会して不条理な出来事を未だ消化してないアリスの話のように感じた。
    最後、ちょっと救われて良かった。
    そして美少女騒動はきっと後ほど火村に問い詰められたのだと思う(笑)

  • 何回目かの再読。やっぱりこの中に収録されている話の中では表題作である「スイス時計の謎」が良いよなぁ。論理的な思考がたまらない。本書の解説でも書かれている「ロジックが世界を支配する本格ミステリ」は確かに人を救う可能性があると私も思う。

  • 火村助教授、国名シリーズ。
    表題作が、ガツンときました。なぜ登場人物の設定をそうしたのか、当時作者に何かあったのかしらんと気を回してしまいそうになりました。

  • 「美少女」発言に惹かれて表題作だけ先に。わかりやすい私。アリスのトラウマが軽く解消されつつ、プチ同窓会で楽しく読めた。トリックも今まで読んだ有栖川作品で一、二を争う上手さなんじゃないか。最後だけ、なんか中途半端な感じが残るなあ。自白もあったし、まああれ以上書くこともないんだろうけども、無理やり終わらせた感じが。

  • もうどうしたって火村さんの勝ちパターン的な感じで安心しきって読む。

  • ダイイングメッセージ、首なし死体、密室もの、犯人あて。実にバラエティに富んだ短編集で本格ミステリもので楽しめた。

  • ミステリーの王道ともいえる題材を扱った短篇・中篇が読める。
    表題作では火村の語る腕時計に纏わるロジックに感服した。
    被害者が遺したダイイングメッセージを解読したり、死体の頭部が彫刻の首とすげ替えられた理由を探るのも面白い。
    倒叙ミステリーもあり、盛り沢山な内容だった。

  • 結構前に出ているのに本なのにどうして読んでいなかったのか、と思いつつ開いて、納得。
    あるYの悲劇、女彫刻家の首の二作品を他のアンソロジーで買い求めていたために手元に置いていなかったんだ。
    でも、作家アリスファンとしては、本格ミステリとして以外のところでもスイス時計の謎は必読だった。

    アリスの創作の原点についてはシリーズの中で何度か言及されているけれど、初出のダリの繭に続いてこの作品はとても重要な触れられ方をしてると思う。
    アリス良かったね。泣きそうだよ。

  • 二年に一度開かれていた“同窓会”の当日、メンバーの一人が殺され、被害者のはめていた腕時計が消失!いったいなぜか…。火村の示した間然するところのない推理に「犯人」が最後に明かした「動機」とは。表題作ほか謎解きの醍醐味が堪能できる超絶の全4篇。ご存じ国名シリーズ第7弾。


    これはどうやら図書館で借りて一度読んだな、ていうことに、時計のロジックのところまできて気づいた。そして今回もそこだけ何回も読んだ。たぶん理解したと思う…
    火村のロジックで追いつめるスタイル大好き。

    この話のアリスはトラウマモードになってて、でもちょっとふにゃふにゃしすぎじゃない?と思ったけど、自分のトラウマってあれかな、と黒歴史を掘り起こしていたらぐずぐずになって、あーなるほど仕方ないかって思った。
    アリスのトラウマはここである程度昇華したんだろうなあ。だから「菩提樹荘」で火村にそのことを話せるようになったんじゃないか、と思う。

  • 表題作の論理的に考えて、犯人はあなたである、という論法。何だか分かったようなわからないような。
    反論できそうな気がするけど、うまい反論ができないから、論理的に正しいのでしょう。
    ペルロ社のディプテロスか。興味あるなー。

  • 「あるYの悲劇」
    インディーズバンドのメンバーが殺されて、壁に残ったYの字は誰を指しているのか、というダイイングメッセージを中心にした話。名前の読みの意外性と、きっかけの意外性が結構面白かったなー。ロックとエラリー・クイーンという作者の好きを詰め込んだ一作だなと笑

    「女彫刻家の首」
    ある女性彫刻家の首なし死体が見つかって、首がないことに犯人のどんな意図があったのか、と言うのを推理する話。これは割と途中で、ああ、そういうことか!とトリックを見抜けたのですが、火村せんせの気づきのきっかけはさすがだななどと感心するのでした。

    「シャイロックの密室」
    ある金貸しが、貸した金を苦に自殺してしまった人の家族に復讐されて死ぬところから始まる密室ネタ。お手製の木の閂で閉まる扉に閂がかけられて完全なる密室の中での自殺を装わせたにもかかわらず、犯人が残したわずかな痕跡から推理するというもの。簡単な道具で密室を作り上げるその発想がいいですよね。いやまあ、拳銃は簡単には手に入りませんけど…。

    「スイス時計の謎」
    これが圧倒的に面白くてすごかった。
    アリスの同級生が殺される事件。殺されたのは当時スノッブな感じのグループを作っていたメンバーの一人で、そのメンバーでの同窓会の当日に殺された被害者。同窓会に参加するにあたって、みんな揃いの時計をしていくことにしてるんですが、現場からは被害者の時計がなくなっていて、これが事件解決の鍵になるんですよね。
    最後の火村せんせの論理的な追い詰め方が超クールでかっこいいんですよ!その論理を、考え抜いてあるのがまたすごくて、そこが本当に面白かった。。
    あと、そのメンバーのそれぞれの個性がまたよくてですね。犯人が追い詰められたあとの展開がまたとても熱かった。
    ところで、そのメンバーとアリスは直接仲が良かったわけではないけど、高校時代のことを知っている人たちなので、自分の高校時代のことを思い出したりとかしてね。初恋の話とミステリを書き始めたきっかけが出てくるストーリーでもありました。非論理的な世界から逃れるために、超論理的な推理小説の世界に没入するっていうのはなかなか面白いなと。文章を書くことということについてちょっと考えたりしてました。
    文調が明るいので、ちょっと意外な感じもしますけど、そういえば、人嫌いでしょう、みたいな指摘をされる話とかもあったなあ。

    解説は太田忠司さんでしたね。太田さんも読んだことあるなー。なんだっけな…。

  • 表題作は読む価値あり。時計を手掛かりに一気に容疑者を絞り込む推理に感心。ただ、そこから犯人を1人に絞るロジックに難があります。あと登場人物がやたらと論理的云々と発言していて不自然です。表題作以外の3作品はバラエティーに富んでますが、コメントは控えます。

  • 表題作だけで星5つにする価値あり。シンプルで非常に美しいロジックに脱帽でした。

  • スイス時計の純度100%ロジックに完敗

  • 有栖川有栖による国名シリーズの一作。
    表題作「スイス時計の謎」はほかに比較してボリュームがあり、中編くらいのイメージだが、基本的に短編でまとめられており、おおむねテンポよく読めるのが魅力。
    有栖川有栖は長編になると若干冗長感が出てくるのだが、表題作もややその傾向がある。夢に出てきた女性の話なども、ストーリーとしては幅を持たせたかったのかもしれないが、ほとんどなくても本筋に影響のないエピソードで、結果的に何だったんだろうと思ってしまう。謎の部分は論理で構築されており、隙がないだけに、ちょっともったいない。
    そのほかの作品もいわゆる正統派の本格ミステリといえる作品が収録されている。短編だけに、長編ほどのパズル構成とはいえないが、そのぶん4作とはいえ趣向を変えてあり、バラエティに富んでいる。

  • 作家アリス&火村先生シリーズ第13弾、国名シリーズ第7弾。4篇の短・中編集。いずれも毛色の違った、著者らしいトリックだけでないミステリー。表題作の最後の2行が本当に好きだ。著者の心からのことばにもきこえてしまう。

  • 有栖川有栖の国名シリーズの中でも特に人気があるのはうなずける。あとがきにもあるように、特に本格を意識して書かれている。例によって好きな順に数字をつけてみた。

    ②あるYの悲劇
    ④女性彫刻家の首
    ③シャイロックの密室
    ①スイス時計の謎

    つまらない作品はなかったように思う。
    地味な事件ではあるものの、ロジックで犯人を追い詰めていく火村、さすが。秀才たちが集まるので知的な会話が楽しい。登場実物の人柄がしっかり語られていて、読んでいてやはり印象に残る。

  • 久しぶりに時間が取れたので一気読みできた~!うれしい!

    「あるYの悲劇」
    怪しい人はなんとなくわかったけど、Yの意味が分からなかったので、種明かしのときはおお~ってなった。
    お父さんが書いたタイトルが衝撃的すぎてそれが一番記憶に残ってる(笑)
    絶対話が合ったのにね……。

    「女彫刻家の首」
    これが一番好きなので、やっぱり私は余韻が残る終わり方が好きみたい。首を切った訳も納得。
    最後の火村の悪態がとても心に残ってる。

    「シャイロックの密室」
    犯人視点だと火村の恐ろしさが分かるね。
    ちょっと間抜けな展開にそんなのあり~!?ってなっちゃった。

    「スイス時計の謎」
    インテリたちが鼻についてしょうがないですね。
    ロジックの展開は見事だけど、理解するのに一番時間がかかった。美少女って言われてたの笑った。
    最後のアリスの言葉が印象的。よかったね…!

  • 作家アリスシリーズの短編集の中でも、この作品は割と正統派のミステリだった。
    4話入ってるけど、表題作の「スイス時計の謎」がほぼ半分を占める中編。
    やっぱり当たり前のようにアリスにお誘いの電話を掛けてくる火村センセは謎。ほとんど精神安定剤なんじゃないか。

    有栖川さんの短編はいつも質が高いとは思うんだけど、短編として成立させるべくミステリの不可欠要素を最優先で残して構成されていて、でも省略したであろう一見無駄な描写(アリスと火村の下らないやりとりとか)が物語に豊穣をもたらすのだから、つまり、長編読みたい!(笑)

    ・あるYの悲劇…Yと読めるダイイングメッセージが鍵となった話。書き順と書かれた場所からの類推は非常に論理的で気持ち良かった。
    「山崎」で「ヤマモト」と読む名字は知らなかった。
    冒頭で、アリスが街で目にしたティッシュ配りの若者から事件を思い出した訳だけど、その思い出す要因となったエピソード(犯行時間浜本がティッシュ配りのバイトをしてたのにアリバイを立証できなかった)が薄すぎて笑った。

    ・女彫刻家の首…首無し死体は大抵、首に何か犯人を仄めかす証拠が残ってるから持ち去られたと考えるのがセオリーで、凶器や死因を探られないためじゃなければ何なのか、ってところが見どころ。
    あとがきにあるように、彫刻家でなければならない理由が弱いかも。
    あと、被害者がイマイチどんな素材の彫刻作ってたのかよく分からなかったけど、住宅地にアトリエを構えるのは近所への気遣いが足りないかなぁと思った。

    ・シャイロックの密室…倒叙モノ。強力な磁石は扱いが難しそう(昔指を挟んで痛い思いをしたことがある)。
    関係ないけど犯人の性別が最後まで分からなかった。

    ・スイス時計の謎…撲殺事件の現場に(火村に呼ばれて)駆けつけたアリスは、被害者が高校の同級生だったことに気付く。目立つ存在だった6人が卒業後も定期的に会っていて、被害者が殺されたのはそのプチ同窓会の催された日だった。
    事件解決の糸口は、例によって火村の重箱の隅をつつくような細かすぎる推理なんだけど、容疑者でもある彼ら同級生とアリスとが再会することで絡んでくる高校時代のエピソードの方を面白く読んだ。
    高校時代のアリスの想い人が恋文を渡したその日に自殺未遂を起こしたという話はここが初出じゃないけど、大人しくてパーソナルスペースの広い今のアリスの人格を形成した重要な挿話だと改めて思う。小説家になったアリスへの同級生の反応なんかもリアルだったし、アリスの小説家という仕事への思いも知れて、キャラ好きには楽しい作品だった。彼女が自分の小説を読んでたことが分かって、アリスの傷心もちょっとは癒やされたみたいで、良かった。

  • スイス時計のロジックが美しい。
    論理が通っているように思えるのに通っていることが不思議に思える。

  • 順番に借りたのにマレー鉄道より先に読んでしまった。

    中編ということで少し長めの4篇。
    表題作が一番長いが一番印象的なのは一番最初のyかなぁ。スイス時計は謎解きで少し???ってなってつまづいた

    2020.8.15
    75

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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