- Amazon.co.jp ・本 (770ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062754200
感想・レビュー・書評
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さすが我が道を行く妖怪研究家の多々良センセイ。
沼上くんとのある意味ナイスコンビの珍道中はとにかく肩の力を抜いて楽しめた。
噛み合わない会話も自分中心の世界も…イラッとクスッと、第三者的にはとても楽しめる人物だ。
何かに熱くなれる、熱く語る人って、なんだかうらやましくもある。
鋭い考察力を持つ二人のクッション的な存在の富美ちゃんが良かった。
最終話はかなりのピンチにもかかわらず、笑いしか出ないのもこの多々良センセイのキャラの成せる技か。
思いがけない人物の登場で最後はうれしさと共にピシっとひきしまった感じがして良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
や、やっと読破出来たー!!!
多々良先生クセが強過ぎるんだよ本当に!!!
京極堂シリーズスピンオフ、読破2つ目は多々良先生と沼上君を主人公に据えたお話。
いや多々良先生本編に出てきた時も登場シーンは少ないもののとにかくインパクト抜群だったのでこれはなかなかのキャラクターだなと思っていたのですが……これは想像以上だった……。
まず短編という気がしない。
4つの話が収録されている短編集のはずなのに最早長編を読んだかのような達成感(まぁこれは京極堂シリーズあるあるなのかもだけれど)。
そして多々良先生のキャラクターが強すぎて何だかこう続けて読んでると胸焼けがしてくるというかお腹がいっぱいになってくるというか……。
だってもう多々良先生本当にどうしてそれで生きていけるの!?今までどうやって生きてきたの!?!?と思わせるほどに凄いんだもの。
確かに行動力は凄いしあれだけの知識を頭の中に入れているのは賢い人なんだろうなぁと思うけども、その反動のようにそれ以外の部分が駄目すぎるよ……沼上君の苦労が察して余りありすぎるよ。
それだけに最後の話であの人が出てきた時に少しほっとしたのは彼なら多々良先生を上手く御せるだろうという信頼ですかね。
ただ2人とも生命力は半端じゃなく強いな、と。
悪運が強いとも言うのでしょうか、あれだけ毎回事件に首突っ込みまくって何やかんや無事に帰れてるなんてもうそれだけで凄すぎるでしょ。
関口先生とかこの前の「僕」とかは本当に巻き込まれ体質だなぁと思いながら読んでいたけれど、多々良先生の場合は事件に巻き込まれたと言うよりも「自ら事件に猪突猛進して飛び込んで行った」がしっくりくるなぁと思いました。
でもじゃあ榎木津タイプかと言われると榎木津とも違うんですよね……また違うパターンの面倒くささがあって……。
とりあえずこの2人出会っても絶対に会話が成り立たないだろうなぁとは思ったけど。
そしてこの2人と普通に会話する京極堂はなんなんだ……猛獣使いか何かなのか。
あと沼上君。
私本編で読んだ時に彼結構若いんだと勘違いしてたんだけど、思ったより年齢上だったんですね。
何か学生みたいなイメージがあったんだけど……。
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【2023年104冊目】
全身妖怪研究家の多々良先生と、同じく妖怪馬鹿と言える沼上さんの珍道中4遍。冒険小説と謳ってますが珍道中小説の方があっている気がする。
行く先々で事件に巻き込まれ、それを多々良先生が華麗に解決ーー!するわけではなく、なんやかんやの偶然が重なって真相が明らかになる建付け。
多々良先生のおかしな言動には沼上さんが逐一ツッコミを入れてくれるので、テンポよく、面白おかしく読めます。最後にはお馴染み黒衣のあの人も出てきたので嬉しかったです。 -
妖怪っておもしろい
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再読。昔読んだ時は「まぁこんなもんか」程度の感想しか持たなかったが今読んでみると普通に面白い。前はそんなに思わなかったのだが多々良先生のキャラがユーモアでとても良い。傍から眺めている分には面白い人物なのだろうが、いざ関わってみるとこんなにも腹が立つだろう人物はそうそういないだろう。今作は多々良先生をメインとしてその彼に振り回される沼上さん視点で物語は進む。百鬼夜行シリーズのキャラは最後の話にしか登場しないのでそこらへんはシリーズのファンからすれば少々物足りないかな。
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4-
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お気の毒な沼上さんが主人公。
多々良センセイに腹を立てたり呆れたり怒ったりしてるけど、ふっと流されてしまうところが、同好の士なのだなあ。
「塗仏の宴」ではセンセイが意外と大事な役回りを任されていたけど、沼上さんと一緒だと駄目ね。キキキっとかって笑うしね。
そしてやっぱり京極堂が出てくると、ぐっと締まる。
そしてそして、富美ちゃんが可愛い。
京極夏彦の女性観って、一度きちんと考えてみたい。馬鹿な女性って出てこないよねー。
全然内容に触れてないけど、読むと面白いですよ。 -
ひっさしぶりに、面白かった!京極夏彦の百鬼夜行シリーズは第一作「姑獲鳥の夏」に始まって、「女郎蜘蛛の理」までの五大長編で実質的に終わりなのかと思っていたけど。まさかあの地味なサブキャラ、多々良勝五郎先生をフィーチャーして、これほど密度のある妖怪風土ミステリーの作品集を編み上げることができるとは。
シリーズの第6長編「塗仏の宴」を読んで失望した人にこそ、この短編集は躊躇なくお薦めできます。いやむしろここにこそ、本来の京極夏彦の筆致があるといっていいと思う。いたずらに怖くない、しかし怖い。あらゆる局面に地域性や風土性の裏打ちがあって、じっとりと纏わり付き、迫ってくる。地に足の付いた、本物のミステリーホラー小説、なのです。 -
やだ。こんな我が儘にして偏屈なお調子者で、デブで器量も悪いセンセイと付き合いたくないし、ましてや一緒に旅行なんてゴメンだ。でもおもしろい。元来建築が専門で理工系に造詣深いのに、妖怪狂いの民族学者である多々良センセイ。そんな彼を疎ましいとぼやきながら、フィールドワークと称する行き当たりばったりの貧困旅行に付き添う沼上君。二人はセンセイのお宝本・鳥山石燕の『畫圖百鬼夜行』に登場する妖怪が現出したかと思わせる事件に重ねて遭遇する。そして、センセイの博学なれどピント外れでトンチンカンな推理が始まる。推理というより無責任な思いつきを口にしているんだけなんだけど、あたかも道理が通ったかのような偶然的解決を見てしまう。これが愉快。もっとも、京極堂との出会いとなった事件の妖怪「古庫裏婆」は本物だった。京極堂にしては淡白な救済劇だったけど、ここじゃ彼でさえワキ役だからね。
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(2015/05/30読了)
自称妖怪研究家の多々良勝五郎とその助手?との名コンビ二人による冒険譚、というか珍道中物語。センセイのぶっ飛び具合は榎木津に負けず劣らずいい勝負。語り手の沼上のツッコミや指摘がイチイチ面白い。本書の内容がミステリーとして面白いのは勿論、マイナーな妖怪をしっかり研究し、かつ本書ストーリーと合わせて解読しているところは本当に凄い。