文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)

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著者 : 京極夏彦
  • 講談社 (2006年9月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (1226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062754996

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文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  •  精神分析から哲学にまで話が及ぶ。――京極先生の造詣の深さを堪能できる一冊。伯爵/関口/伊庭の一人称視点が入れ替わり、各自の持つ瑕(ありふれた言い回しだが所謂トラウマや悔恨の念)に入っていく。しかし、……その独白部分が中々読むに骨の折れるところで、そこのところで評価が分かれそうな印象だった。えらく短い文章が淡々と続く辺りが、講談社ノベルスの小説といった感じ。メフィスト賞作家の作品を好む人が好みそう。正直、伯爵の独白パートが読むのにきつかった。彼は、薫子を護る自身と行為に酔っている感じで、具体的に護ることがどういうことか。護るためになにをすべきか、なにかしらの犠牲を払わなければならないことを理解していなかったのだと思う。教えてくれる人も居なかったのだろうけれども。自己犠牲とも無縁というか、そこのところを、彼自身が把握していないのが、一番の悲劇だと思う。

  • 恐縮ながら、シリーズもここまでくると京極堂の衒学的な演説も少々読み苦しくなってきたのは事実だし、また、他作に比べて割と早い段階から真相の予断が可能な作品ではあるが、それ以上に、これまでのシリーズの中でもっとも“感情を動かされた”ことが印象的だった一作。

    読み進めていくうちに、「ああ、そういうことなのかな」と段々と想像がついてきて、そして終幕は果たしてそのように展開していくんだけど、その最後の情景の途中で、なんだかとても物哀しく切ない気分になった。

    これまでの京極堂シリーズにも、悲哀、といった類のテーマは込められていたこともあったとは思うが、正直私はそれを剥き出しの心根で感じたことは、今までなかった。
    しかし今作に至って、作中人物のあまりの哀しさをリアルに読み取ってしまった、というのは、私の内面に変化が起こったからなのだろうか?

  • 京極堂シリーズの中では一番先の展開が読めてしまったので辛口評価。「鳥の館」と呼ばれる白樺湖の湖辺に佇む巨大な屋敷。主人である伯爵の元に嫁いだ花嫁達のいずれもが、新婚初夜の明ける頃には何者かに殺されていた。5人目となる花嫁の婚礼が迫る中、謎の解決のため屋敷に招待されたのはあの榎木津礼次郎と関口巽。果たして犯人はだれなのか。そして黒鳥の妖、陰摩羅鬼の祟りは解けるのか。冗長な部分を削れば半分くらいの長さに出来たのではないか。でも募るものはあったのか、最後は少し泣けた。

  • 大好きなシリーズであるが、さすがにネタ切れを心配させるほど、今回はクオリティが落ちていた。『このミス』でもやはり評価はさほど高くないようである。もちろん、中禅寺秋彦や榎木津礼二郎など、お馴染のキャラクターが登場し、いつもどおり「憑物落とし」のシーンなどもあるため、そういった点で楽しさはあった。しかし、肝腎のミステリイとしての要素がどうにもいただけない。真犯人をあのような「特殊」な人物に設定してしまえば、それこそ「警察相手にウソを吐いてはいけないと知らなかった」とか「じつは日本語がよく理解できなかったので適当に頷いておいた」とか、そういった真相でも許されてしまう。そもそも、真犯人が容疑者から外されていた根拠じたい、「とうていウソを吐いているようには見えない」という、感情論に基くひじょうに薄弱なモノで、論理性の欠片もない。そんな貧弱なロジックが破られたところで、なんの驚きもなかった。それ以外の周りを固める小さなナゾにかんしても、由良公滋が覗き行為をしていたことは簡単に推測できるし、由良昂允がじつは屍姦しているのではないか――コレは真相とは異なるけど、まったく的外れでもない――のようなことも、想像の範囲内である。わざわざありえない世界観を築き上げた挙句、わりと妥当な線でまとめて来るのであるから、さすがにコレでは高く評価できないであろう。それでいて、いつもどおりの作品の長さ。このシリーズにかんしては、ペダンティックな部分も含めて評価すべきであろうから、たんに長いことだけを取り上げてことさら批判するつもりもないけれど、それにしてもやはりこの長さでこの結末では納得がゆくものではない。せっかくココまで辿り着いたので、今後もシリーズは読みつづけるとは思うが、それだけに余計にこの内容は残念に感じる。

  • まあ榎さんと関さんが2人で旅してるだけで最高だから……

  • だいぶ昔に読みました。

  • シリーズ八作目。魅力なし。

  • 相変わらずの千ページ超の大長編。ただ、今回は死生観や儒教、しっぺい太郎などのウンチク話が全体の大部分を占めていたり、やたらと改行の多いページが続いたりと、密度的なことでいえばちょっとボリュームあるかな?くらいの内容。

    そして本シリーズの真骨頂である憑き物落としが始まるまでが長い長い。全部で1200ページ近くあるのに、それが始まるのは1000ページを超えてから。ウンチク話が多少(個人的に)興味深かったので、何とかテンション落ち切らずに読み切りましたが、思い返すとストーリー的に起伏のない間は結構辛かったかもしれないです。

    だけどやっぱり憑き物落としが始まると、取り憑かれたように読みふけってしまう吸引力がありますな。おぼろげに犯人が誰かと想像できたとしても、その真相はいかに?といった部分で大いに楽しめました。

    まさにレンガなみの分厚さを読み切った達成感と、読了直前の憑き物落としによるアゲアゲテンション効果で、★の数が1つ2つ多くなってるかもしれませんが、現段階での正直な評価なんで…

  • 悪意など、何処にもなくて。
    悪人など一人も居なくても。
    それでもこんなに悲しいことは起きるのだ。

  • 榎さんが相変わらず頭おかしくて面白かった。
    宴の続きで、関口君どうなってしまったんだろうと、
    心配していたので、何とか復活していて安心した。
    ついでに横溝先生に会えて良かったね。
    関口君の奥さんが生活面で可哀そう…と、余計なお世話なのだけど思ってしまうので、
    なんとか小説が売れて楽な暮らしをさせてあげて欲しいと思ってしまう。毎回思う。

    今回は、悲しいけれど、久々に清々しい終わり方だなぁと感じた。

  • 優しいお話で、哀しくも良かったです。
    榎さん関口くんコンビで少しいつもと違った雰囲気。
    ラストといいとにかく関口くんへの愛が深まった。

  •  関口先生がどうなったか気になったので短編集すっ飛ばして長編を読むことにしたんですが、やっぱり早まったかな? まあ致命的なレベルではなかったので結果オーライ。
     珍しく高評価されてる関口先生に姑獲鳥以来のスポットライト。というかこれはシリーズが1周した(二度目の夏が来た)という示唆なのだろうか。フーワイダニットの内、個人的に最も気になるWhoは序章で暗示され、Whyも大体推測可能。ただしWhyを形成した土壌が不明という構成。ばらばらに見えた話が一気に収束する様はいつもながらに見事。
     犯行は未然に防げたはずだった。その機会は幾度もあった。けれど、誰もその誤謬に気づくことも、正すこともできなかった。京極堂の「彼以外の全員が犯人」というのも、その視点で考えれば解となりうる。嫌っていたはずの彼を皆が庇ったように、これからは皆がその重荷を背負うのだろう。
     しかし、薫子さん素敵だったのになぁ……絡新婦で大概打ち止めかと思ったけど、京極堂シリーズの女性キャラの使い切りっぷりはもう罪深い域。なんでこうも素敵な女性を次々描いては使い捨てられるのか。こうまでくると秋彦さんと千鶴子さんの馴れ初め話は千鶴子さんの死亡フラグに直結しそうな予感がひしひしとするのであきらめます。関口先生と雪絵さんの馴れ初め話もあきらめます。だから末永く仲良く幸せに暮らさせてやってくださいお願いします。
     関口先生が珍しく明るく事件を終えられたので、これは恢復か成長フラグなのかなあと期待。生きづらい人格なのではあるけどね。雪絵さんのために長生きしてほしいな。

  • ★3.5
    再読。「亡くなる」ことと「無くなる」こと、冒頭で繰り広げられる関口と伯爵の会話だけで概ねの展開が分かってしまうけれど、それでも最後まで読ませる筆力はさすがの一言。そして、関口、伯爵、伊庭の3人が語り部となり、それぞれの瑕に焦点が当てられているものの、誰よりも瑕が広く深いのは執事・山形な気がしてならない。勿論、伯爵が此方側に来た時の絶望も計り知れないけれど。それはそうと、横溝正史との邂逅に浮かれていたらしい関口が何だか可愛い(笑)。あと、解説で紹介されていたミステリ小説が気になるので読んでみたい。

  • 『絡新婦の理』まではいくつかの並行する事件がやがて絡み合うという性質上、その長さ・分厚さにも必然性か感じられたが、どうも本書はいたずらに厚いというだけな気がする。
    無駄な語りが多いわりにたいした事件も起きず、存在や死に対するいくらか哲学的な対話はあまりに露骨に結末を暗示している。
    『魍魎の匣』を読んだときの衝撃をもう一度味わいたいなぁ、などと思う。

  • 独特な世界観に引き込まれます。

  • シリーズの中で1番好き!たぶん一番知識がいらんのだろう(笑)
    初めて読んだときは気にならなかった伯爵の言葉の不自然さは、前半から実は随所にちりばめられてたのね。
    しかし今作は榎さんの活躍があんまないのが唯一ちょっと不満。
    そして関口の語りはなんて感情移入しやすいんだろう…しやすいというか、してしまう。鬱仲間だから…。

  • 出場人物が大量すぎる

  • 犯人はなんとなくすぐにわかったが、動機がわからなかった。
    関口の鬱々した思考や伯爵の頭の中がキモい。でも彼の思っていることの中には自分でも思い当たる部分や同意できる部分もあってそれがまたなおさら嫌だった。

    雪絵さんはどうしてこんなエンガチョ盲導猿と結婚したんだろう?共依存?マゾ?それとも若い頃赤線にでもいて結婚相手を選べなかったんだろうか。
    サングラスかけてメイドを両脇に侍らせる榎木津デストロイヤーは是非コミックス版で見てみたい。

    由良公爵だけでなくその婚約者である奥貫薫子にもかなりの異常性を感じる。彼女が伯爵を褒めたたえるセリフを読んでいると、2人の結婚は身分と偏見を超えた美談のように感じるが、よくよく考えてみると50年以上屋敷から出たことがない男と結婚するなんて狂ってるよな。子供の頃からの知り合いとかならまだしもさ。
    狂人を理解できるのは大概狂人である。よって薫子も狂人、というか相当の変わり者だと思われる。小学校の教員だったとはいえあの時代の田舎で聡明で清楚で美人な彼女が24歳(昭和20年代の田舎ではもうオバさん)まで独身だったというのも周りから変わり者だと思われてたからなのかもね。校長夫妻や幼馴染の女性は良い子だ良い子だって褒めてたけど。

  •  伯爵の目から見た関口君がとても素敵な人に感じられたのが印象的というか、好きだとか好感だとかいう言葉をまあ偶には使うけどそれほど頻出させないでここまで「好意的な解釈」を表現、実践出来るのかと感心した。読んでてこちらが照れてしまう。書斎の対話がとても好き。

     面白くない事態になって、あいつらがちゃんと依頼すればちゃんと出来たんだって拗ねる榎さんが、見ていてとても可哀想に感じた。目も見えないし、分かることは多いけど何をしたらいいのか分からないし、振る舞いはいつも通りでも大変だったんだろうなあと思う。

     関口君がずっと言葉に出来なかったことを、みんなの前で言葉にさせてあげた京極堂の優しいとこ好き。

  • 死とはそれを認識できる生者の精神世界であって「人は生と重ね合わせることでしか死を認識できない。死後の世界は生きる者の中にしかないし、それは即ち生きること、生きたことに対する敬意」時間と経費を大いに費やし、多くの他人をも巻き込んで催す葬儀とて、死者のためと思い疑わぬものの、実際には生者が自らのためにするもので「人は、亡き人の生に対し篤き敬意を払うことで自らの生の尊厳を保証する」儒仏混合ともいうべきか、魂が依り付く位牌と、魄すなわち肉体が寄り付く墓の二つを別に祀る日本の簡易複葬の成り立ちなど、死生観を学ぶ。しかし、我が敬愛する榎木津よ、いくら体調が芳しくないとはいえ何たる体たらく。自分への依頼が明確でないとばかりに、存在価値を示さぬとは。京極堂曰く「この世には不思議なことなど何もないのです」否、君だけは不思議の権化でなくてはならん。

  • ミステリとしての意外性や衝撃はいつもよりかなり少ないかな。
    読者も読んでる最中に気付ける部分が多いと思います。
    でも京極堂の講義が自分の興味があるところどんぴしゃだったのと、関口が前回よりは行動的で元気になったかな…?という点がシリーズファンとして嬉しくて大満足です。

  • 2015年9月20日読了。
    2015年142冊目。

  • 陰摩羅鬼。
    おんもらき、で変換出てびっくり!(笑)
    難しいよー!読み仮名。(笑)

    相変わらず、面白かった。
    いっきに読みました。
    中盤の榎木津や、木場のかけあいが面白い。

  • 塗仏と同じでわるくは無い。
    でも、百鬼夜行シリーズの中では微妙。
    このシリーズ自体ミステリーではないので、犯人が誰かとか、トリックは何だとかいう時点で論点はズレるってことになるけど、これは分かり易すぎる。
    最初の自分の予想が覆らなかったのが残念だった。

    それでも、本としては十分面白い。

  • 長すぎて遅すぎて無理でした。

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