アフターダーク (講談社文庫)

  • 11762人登録
  • 3.15評価
    • (378)
    • (953)
    • (2698)
    • (624)
    • (180)
  • 1040レビュー
著者 : 村上春樹
  • 講談社 (2006年9月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062755191

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印

アフターダーク (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 真夜中に視点をあてて描かれているところが面白かった。
    全体に暗い印象だけど、マリがコオロギや高橋と出会い、会話を交わすうちに、物語に光が射してくる。次第に夜が明けてゆく。
    そしてまた次の夜がやってくる。
    深海を彷徨っているような感じの、不思議な小説。

  • 相変わらず、村上春樹さんの小説は、よくわからない世界観なのに読みやすい。どんどん読んでしまう―。不思議だ。

    私は夜が怖い。
    とっても楽しい1日を過ごしても、ハワイのような楽園にいても、家族みんなが1つ屋根の下にいても、夜が来て1人で寝るときは怖くなる。
    この小説を読むときは、そういった夜の怖さを即座に思い出した。
    それぐらい夜の静けさ、孤独、怖さがリアルに描写されている―。
    そして、朝が来る頃にはそんな影は全くなくなってしまうところまで。

    私にとって、この小説の内容はどうでもよかった。
    ただ、闇が訪れる時間帯の空気感が伝わってくる。それがやたらリアルで、感動した。

  • 23:56から6:52までの話。

    昏々と眠り続ける姉と、一晩中目覚め続ける妹。
    そして彼女たちに関わる人々と、世界を見渡す「私たち」という視点。
    語り手と登場人物の構造が、とても面白い。

    妹が一晩を過ごす間、彼女は夜を生きる人たちと接触する。そして見出した小さな手がかりを元に、ラストシーンへと夜は明けてゆく。

    この姉妹と関わりのあるトロンボーンの男「高橋」は、バンドを辞めて司法試験を受けることを妹に告げる。
    そこで挿入される、死刑という巨大な司法の力について考えさせられた。

    我々は社会に存在する限り、安心と引き換えに束縛を受け入れなければならない。
    受け入れるとは積極的受容ではなく、生まれた瞬間からそう約束されているようなものだ。
    そして一旦システムに違反してしまったならば、私たちは次の生を受けるまで「逃げ」続けなければならない。
    見えない力に捕まった瞬間、生きることは意志と関係なく奪われてしまう。

    逃げなくてはならなかったコオロギと、逃げたいと望んだ姉と、逃げることを許されていない白川。
    この三者の在り方と司法に例えられる「目に見えない力」の働きが、まだ上手く掴みきれないけれど、イイ。

    姉妹を取り巻くコンプレックスと自立のテーマなど、読み返せばどんどんと魅力が溢れてくるであろう一冊。
    それから映画「いちばんきれいな水」との関わりも本当は述べたい(が長いので省略)。

    眠れない夜にもう一度味わいたい一冊。再読前提。

    20130808再読。

    やっぱり、この作品が好き。
    初読の時より、マリが幼く感じた。

    村上春樹に触れるようになってからも、私の中でこの作品は特別な意味を持っている。

    女性が主人公だからだろうか?
    彼女が他の人々を、独特の引力でもって惹きつけていく流れはとても好きだ。

    そうして、夜明けと共に自分の中にある何かも浄化されてゆく、そんな予感に満ちている終わり方も好きだ。

  • 何がおもしろいだとかそういうことではなく、すごく共感した。そしてその共感がわたしの感覚と共鳴して、ただただのめり込んだ。
    村上春樹の世界観が理解できる、共感する、といった人にはものすごく共感できておもしろいし、理解できない人には結局何なのかわからない作品だと思う。

  • 深夜のファミレスで一人、コーヒーを飲みながら、時間をつぶすのが割と好きだ。
    本読んだり、アイデア練ったり。
    多くの人々が寝静まった後、少ない人たちだけで引き受けた夜。小さな優越感に浸りながら、そんな貴重なひとときを味わうのだ。

    この物語も深夜のファミレスから始まる。
    都会の闇とファミレス店内の人工的な明るさ。
    近くにありたいと思う心と対照的に、遠く離れてしまった気持ち。
    心を求める登場人物たちの切実な願いが胸を打つ。

    クライマックスは夜明け。
    何故か、少し前にコーヒーのCMで使われていた谷川俊太郎の「朝のリレー」を思い出した。
    漆黒の闇に現れる一筋の光。
    とてもクリアな気持ち。
    心が洗われる。

    新しい一日は、誰にも平等に訪れるんだよね?

  • 最初に発売したころは、何が面白いのだか全く解らなかった作品。表紙、帯に惹かれたけど、結局図書室読みしました(当時高校生だったので)。


    しかしあの意味のわからなさがなんとなくクセになってる気がして、気になって気になって仕方がなかったので買いました。

    何気なく読み返したら、ものすごく気に入ってしまった。何が面白いのか今でもわからん。でも大好き。個人的に都会的な夜の細かい描写が、好きなんだと思いますけど。それにしてもなんだろう…何が面白いのだろう。登場人物の名言がやたら多い作品だと思う。コオロギといいタカハシといい。



    これが最初に読んだ村上春樹だったら、間違いないなく「インテリっぽいひとが書いた典型的なインテリ小説で意味がわからないし気に入らない」ってなってたろうなぁ、と。
    だっていちいち言い回しが難しい。
    色々とトリッキーな書き方をしているけれどわたしには全く解らなかった(ジョージ・オーウェン的チキンとか。なにそれ)。



    ストーリーの意味不明さは、メタファーだと作者は仰ってるらしいので気にしたことあまりなかったんですが、いつにもましてよく解らない。個人的には気に入ってる解釈もあるのだけれど、それもメタファーってことで。

  • 個人的に、夜を過ごすのはあまり好きじゃないけど、夜を考えるのは好きです。





    淡々と夜から朝に更けゆく時の流れを綴ったこの物語は、そんな僕にとっては心地良いものでした。





    デューク・エリントンやらフランシス・レイやら著名人の名前やレコードが出てくるあたりが更にワクワクさせます。





    今更ですけど、村上春樹の小説は音楽好きにはたまらないですね。

  • 「月のもの」が早く訪れたために生み落とされた憎悪は
    メッセージの誤配として、無関係な人々に不安を拡散していく
    一方、テレビの向こうの世界では
    興味をひかないニュースの裏で、浅井エリに個人的な危機が迫っている
    ありふれた夜だ
    高橋という青年は、おそらく
    世間一般に流布されている村上春樹作品のイメージに
    強く影響を与えた登場人物のひとりで
    非常にしゃべりのうざったいサブカル糞野郎だが
    じつは法律の仕事に進みたい野望を持つ真面目な男である
    だから気のない素振りを見せつつ、気を引く素振りも忘れない
    そんな浅井マリだった
    東京のありふれた夜である
    歯車は回らないが、観察する私たちの視点が空に浮いている

  • ここまで読んできたハルキ本とぜんぜん違ってたけど、面白かった( ´ ▽ ` )ノ
    きほん風俗小説で、同じ村上でもリュウの方に近い感じ( ´ ▽ ` )ノ
    (眠り姫は別として)すべての人物がリアルでイキイキしている( ´ ▽ ` )ノ
    「ノルウェイ」なんかより、こっちのほうがいいな( ´ ▽ ` )ノ
    パソコン屋さんの話は途中で終わった感( ´ ▽ ` )ノ
    楡周平なら、ここから血の報復劇が展開していくところだけど( ´ ▽ ` )ノ

    しかし、「一人称複数」視点の主観描写って珍しいね( ´ ▽ ` )ノ
    まるで脚本みたいな文体になるんだ( ´ ▽ ` )ノ
    筒井康隆「本の森の狩人」でこういう手法もあることは知っていたけど、実作でお目にかかったのは初めて( ´ ▽ ` )ノ


    ところで、157ページの「思惟」に振られたルビだけど、「しゆい」?……「しい」じゃないの?(;`・_・´)ン-
     ……と思って調べたら、
      『「思惟」は「しい」(漢音読み)とも「しゆい」(呉音読み)とも読むが、前者は「考えること。思考」、後者は「仏教語として、一つのことを思いつづけること。よく考えること」の意で使われることが多い。』
     ……ですってよ( ´ ▽ ` )ノ
    やっぱり、じっくり考えて言葉を選んでいるんだね( ´ ▽ ` )ノ

    2017/04/25

  • 劇的ななにかが起こる訳では無い、その劇的な何かの水面下で繰り広げられる世界にスポットライトを当てた話だと思った。
    物語を初めから全て読み切ることで、自然と「この話は夜から始まり、夜明けで終わる話なのだ」という認識が生まれてくる。
    暗い闇の中、触れられないまま冷たくなっていたものがやがて新しい温もりと共に変化の予兆を見せていく、そんな話だった。
    何日かに渡る話のはずなのに、ひとつの夜が始まり、そして明けていく印象を強く持った。

    考察サイトなど巡った後に、もう1度じっくり読みたい作品だと思う。

全1040件中 1 - 10件を表示

アフターダーク (講談社文庫)に関連する談話室の質問

アフターダーク (講談社文庫)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

アフターダーク (講談社文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

アフターダーク (講談社文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

アフターダーク (講談社文庫)の作品紹介

時計の針が深夜零時を指すほんの少し前、都会にあるファミレスで熱心に本を読んでいる女性がいた。フード付きパーカにブルージーンズという姿の彼女のもとに、ひとりの男性が近づいて声をかける。そして、同じ時刻、ある視線が、もう一人の若い女性をとらえる-。新しい小説世界に向かう、村上春樹の長編。

アフターダーク (講談社文庫)の単行本

アフターダーク (講談社文庫)のKindle版

ツイートする