ネジ式ザゼツキー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 806
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062755320

作品紹介・あらすじ

奇妙な童話、異形の死体 御手洗シリーズ本格長編!

記憶に障害を持つ男エゴン・マッカートが書いた物語。そこには、蜜柑の樹の上の国、ネジ式の関節を持つ妖精、人工筋肉で羽ばたく飛行機などが描かれていた。御手洗潔がそのファンタジーを読んだ時、エゴンの過去と物語に隠された驚愕の真実が浮かびあがる! 圧倒的スケールと複合的な謎の傑作長編ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 個室にいるのに壮大なスケール!!

    こんな小説が好き!!!(‎ ♡Д♡)



    御手洗潔シリーズ第19弾!
    19(°д° )!!

    シリーズは約30作程あるらしいので、桁が違いますね…。
    さすがです。

    記憶がなくなる障害を持つエゴン。

    彼が書いた童話『タンジール蜜柑共和国への帰還』

    童話は、足が車輪の熊や右腕のない少女、妖精などが大きな木に住んでいる世界の話。

    奇妙な世界観の物語から、エゴンの記憶に纏わるヒントが隠されている。

    御手洗潔が真相を推理する——。


    御手洗潔の推理、とても丁寧だと感じました。(`•∀•´)✧

    友人のハインリッヒと共に、順序立てて考察を繰り広げ、あらゆる国で起きた事件や事故と照らし合わせ推理していく。

    知識量が半端ないです( °-° )

    作中でもハインリッヒが言っていましたが、一室にいるのに、世界中を旅した気分になります。

    エゴンの記憶の障害は、映画『メメント』を彷彿とさせる症状。
    ふとした瞬間〜翌日には記憶は消えてしまいます。

    ーーーーー

    人生とは記憶そのものなのです。友人も知人もできなければ、それは人生とはいえない(本文より)

    ーーーーー

    御手洗潔がエゴンに言った言葉です。
    本人に対してなかなか厳しい事言う(^▽^;)

    小林泰三の作品にも、記憶に纏わるSFが多々あり、ミステリ仕立てになっています。

    このような脳内壮大な作品、めちゃめちゃ好みです♡

    実は、シリーズ『占星術殺人事件』『斜め屋敷の犯罪』の2作のみの読了で、中を17作分すっ飛ばして『ネジ式ザゼツキー』を読みました。笑

    なので御手洗潔の印象がかなり変わっていて…。

    当初「空気の読めない自由気ままな探偵」なイメージでした。

    ですが今回、一気に(私の中で)成長した御手洗潔は『先生』と呼ばれていて、脳科学を研究しています。
    そしてなぜかスウェーデンに住んでいます(^▽^;)ナニガアッタ?笑

    ハインリッヒという相棒もいて……(だれ?笑)

    『ネジ式ザゼツキー』を読んで御手洗潔のイメージは一転!
    『ドグラ・マグラ』の正木博士になりましたヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆

    おかしい?全然違うか笑笑

    飛ばして読んでも、多少の細かな部分以外、本筋には全然問題ありません。

    後読みで追いつけば良いのです(`•∀•´)✧
    (開き直り)

    解説で「双子的関係」と紹介していた『異邦の騎士』も是非読んでみたい!!


    御手洗潔シリーズも追うぞ〜ヽ(´▽`)ノ!!

  • 17年ぶりの再読。
    面白い。作中の『タンジール蜜柑共和国への帰還』という小説はそれだけでファンタジー小説として読んでも面白い。
    そのファンタジーとしか思えない小説が現実に起きたことを綴ったものだと解き明かしするくだりは読んでいて感心してしまった。
    今回は石岡のポジションが研究者のハインリッヒだが、彼とのやり取りも微笑ましかった。
    海外での御手洗さんのほうが日本でいるより感情の吐露が素直な気がする。海外の水が合うんだなぁと思う。
    やっぱり御手洗さん、好きだなぁ。

  • 久々の御手洗物らしい小説を読んだという感じだ。
    『タンジール蜜柑共和国の帰還』という奇妙な内容の童話について解析をする趣向は過去の作品『眩暈』を想起させ、この作品が好きな私にとってなんともたまらないワクワク感があった。特にビートルズの歌が絡んでいるという件には驚かされた。これはビートルズ・フリークである島田氏にとって積年の願望をようやく果たしたのではないだろうか。

    他にも旧作を想起させる箇所があり、人の五体を解体してネジ式の関節をもつ義手・義足をつけ、ゴウレムを作り上げるというのが今回の作品世界を彩るもう1つのモチーフなのだが、これなんかはデビュー作『占星術殺人事件』のアゾートがすぐに浮かんだ。

    とまあ、ある種、永い眠りから覚めた御手洗シリーズの復活を宣言するような内容である本書。特に前半の『タンジール~』の解析の辺りはどんどん判明していく驚愕の事実にページを捲る手がもどかしいほどの面白さを感じたのだが、肝心の殺人事件の解明のあたりになるとどうも食指が鈍った。
    疲れから来る睡魔もあったのは事実だが、なんだか事件が複雑すぎるのだ。明かされた真相もものすごく作られた感じがして、心の底から同意できなかった。
    殺された遺体の首がネジのように回り、外れ、転がっていく、なんとも唖然とする事件ではないか。しかし、それを論理的に解明しようとするために、無理を生じているような感じがした。

    そして、やはり語り手が石岡以外では違和感があるのは否めない。御手洗がなんだか別人のように思えるのだ。エキセントリックさに欠け、すごく常識的な人物として立ち振る舞うその姿は消化不良感がどうしても残ってしまう。

    しかし、もっとも驚いたのは『タンジール~』の舞台がフィリピンだったという事。あと約1週間後に彼の地へ赴任する我が身(当時)にとってなんか因縁めいた物を感じた。
    こんなところにも出てきたのか、この国。ふぅ~・・・・。

  • 御手洗はストックホルム大の教授になっているが、非常に島田荘司らしい作品。
    現実とは思えない内容の物語を、血なまぐさい現実に落とし込む。解説では最大のカタルシスは「ビートルズの代表曲がベースになっている」と判明するところだと言っていたが、自分はやはりスペースコロニーの中だというところだと思う。
    スキップする大人たち、三メートル近いひまわり、南北方向にはなぜ直線道路がないのか、といった謎が一気に一つにつながる。まさしく"奇想"だ。
    そしてここまでが第一部といった感じだろうか。
    第二部は、切られた首にネジを組み込まれた死体。
    仰角45度で接射され、二つの穴を開けた三発の弾丸に関する推理が面白く、想像もつかないネジの理由に関してもこれしかないと思わされる。

    魅力的な謎に、グイグイ読ませる物語、そして謎を一つ残らず解明する大胆な解決。
    この頃の島田荘司の作品の中では一つ抜きん出ている。これは大満足。

  • よく練られたプロット!
    いきなりの難題があのような形で着地するとは。
    島田作品の特徴としてあげられる冒頭のありえない謎を
    解決するというスタイルの中でも私はこの作品が一番のお気に入り。
    人間の脳みそって不思議。

  • 食品模型の技術を使って死体を創作するトリック。記憶を失った男が書いた奇想天外な小説をヒントに、記憶を取り戻そうと御手洗の推理が冴える。
    京極夏彦の影響か、無駄に長い。

  • アトポス以来の御手洗潔シリーズ。
    電子書籍版で読了。

    ある手記から導かれる事件は「目眩」の再来のよう。
    事件自体は異常ではあるが、真相はそこまでビックリするようなものではなく。大掛かりなトリックというよりは、事件の異常性とそこに至った経緯にスポットライトが当てられている。

    久しぶりの御手洗潔を楽しめたが、うーん、やっぱり相棒は石岡くんの方が好きだった。

  • 記憶喪失の男、奇妙な童話、怪奇の事件、全部を合わせて解決に導く。分厚い本でもサクッとあっという間に読めました。御手洗シリーズをほぼ読んだことがなくても繋がりなく読める。
    トリックよりも、雲を掴むような童話から、特定の人と事件を結びつけた鮮やかさと、その事件の奇怪さの衝撃が強い作品。30年の年月とヨーロッパとアフリカとアジアを簡単に飛び越える発想のすごさで、読んでて面白かった。ネジ式ザゼツキーという題名がおどろおどろしくていいなぁー

  • 再読。
    記憶を失ったエゴン・マーカットが書いたファンタジー「タンジール蜜柑共和国への帰還」。LucyInTheSkyの世界。スウェーデンにて御手洗くんは記憶を失った時期と場所を推理する。記憶を失うのだから、そうとうなショックな出来事なはず。
    スウェーデン部分は横書き。ちょっと斬新よね。
    フィリピンで行われた殺人。ゴウレムを作り出そうと、人を人とも思わない所業。犯人として留置されているのはルネス。そして、ザゼツキーの死体の首にネジが埋められていた理由。
    最後はちょっぴりハッピーエンド。丸く収まるけど、長い年月がかかった。

  • 冒頭、横書きに面食らい、作中作に目を回し、語り手の分散に振り回されながら、それでも最後まで一息で読みきらす手腕は豪快。肉体損傷の描写は得意ではないので、薄目で読んだ。作中で言及している音楽を聴きたくなる作品は良作と相場が決まっている。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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