NO.6 〔ナンバーシックス〕 ♯2 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756358

作品紹介・あらすじ

2017年。聖都市「NO.6」を追われた16歳の紫苑がはじめて目にする外の世界、そして現実。ぼくは今までいったい何を知っていたんだろう?何を見ていたんだろう?ネズミと暮らし始め、懸命に生きようとするが、「おれとNO.6、どちらを選ぶ?」と問われた紫苑は…。加速する運命が二人を襲う。

感想・レビュー・書評

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  • 12歳まで聖都市《NO.6》の中でも高知能の持ち主だけが住むことのできる、エリート地域でエリート教育を受けていた紫苑。
    しかし、弱肉強食ですべてのものが不足している外の世界に、紫苑はそれほど拒絶感を持っていない。
    それどころか、《NO.6》の世界は間違えているとすら考えている。

    これはちょっと特異なことなのではないだろうか。
    普通は何不自由なく過ごせるほうがありがたいと思うだろうに。

    エリート時代の紫苑の友人・沙布(さふ)が治安局に強制連行される。
    特権階級の座を捨てて、紫苑のもとへ行こうとした矢先に。
    これはもしかして、エリート教育という名目で洗脳するとともに、洗脳しきれない有能な人材を監視しているということなのかもしれない。
    だから紫苑がネズミを助けたこともすぐに当局にばれたし、沙布の思惑もバレたのでは。

    紫苑は西ブロックでの世界のありようを学び、居場所を作りつつあるけれど、謎はまだまだてんこ盛り。
    まだ、物語が動き出したとは言えない。

  • No.6の内側で育った紫苑や、良くも悪くも疑うことをしない。ネズミは、そんな紫苑に苛立っている。
    紫苑の母と知り合いだった力河や、イヌカシとの出会いで、紫苑は何を見ていくのか。

    No.6を憎むネズミ。寄生蜂からNo.6の人々と助けたい紫苑。
    相反しながら、友情とも愛情とも言えない結びつきの二人の関係にドキドキします。

  •  どんどん面白くなってきた。

     ネズミと紫苑

     すべてを失いながら生きてきた者と
     与えられて生きてきた者。

     疑わなければ生きてこれなかった者と
     疑わずとも生きてこれた者。


     確かに、あの小さな姉弟を部屋に
     招いた時の紫苑のやさしさは、
     その場しのぎだ。
     本人にそのつもりはないのだろうけれど。

     ネズミは、自分の一挙一動に責任を
     持とうとしている。
     (気を遣っている?)
     ものすごく慎重な人だ。

     きっと、悲しいことをたくさん見たり
     感じたりしてきたから。
     だから、人との距離に敏感。
     どうすべきか、知っている。
     
     でも、だからと言ってそれが正しいか
     どうかはまた別の話。

     もちろん大半はそれでいいのだと思う。
     ただ、時には紫苑のような変化球が
     あってもいいんじゃないかなって。

     本気のバカが、世界を変えることも
     あるんじゃないかって。

     そのわずかな可能性に、きっとネズミも
     引き込まれていく。
     …もう半分は引き込まれている。

  • ネズミの方が頑なすぎる印象で、紫苑は確かに能天気すぎる。歩み寄らない感じが非常にもどかしい。
    テーマがテーマだけに簡単に歩み寄ったり妥協するとなると嘘くさいけどね。
    ここから沙布や力河さんがどう関わり話が動いていくか楽しみ。
    二人が同じ方向を向いて走り出すことができるのか。

  • 次巻に何かが起こりそうな予感を漂わせる2巻。
    ネズミの過去が物凄く気になる。
    そしてお互いの存在によって2人はどう変わっていくのか。
    この巻で一番印象に残ってるのが紫苑がリコとカランに本を読んであげる所。
    優しさはいつも正解だとは限らない。

  • いろんな意味で微妙なバランスの上に立っている感じがドキドキハラハラ。

    あとがきにあったように、NO.6 : 西ブロック=先進国 : 途上国 という図式は否めない部分も多く、一所に集中した富はその狡猾で傲慢な振る舞いによる搾取の産物だという人間のひどい部分に目を背けたくなる。
    対して、2人が正面から真剣にぶつかり合って血の通った人間同士の関係を築いていくさまは、美も醜もすべて合わせた上でやっぱり美しいと思う。

  • この作者の書きたかった世界観が何となく分かった気がする。で、私は今no.6の住人側ってのも実感。アニメに追いつかれない程度の速度で読めればいいかなぁとか思ってたんだけど入り込んじゃいますね。ネズミと紫苑のやりとりが好きです。

  • 遂にNO.6の外に出た紫苑。イヌカシといった西ブロックの住人達も出てきて物語が一気に加速する。

    閉鎖状態のNO.6に住んでいた紫苑にとっては過酷な現実が次々と襲ってくるが、それでも人に優しい紫苑。そんな紫苑に対し複雑な感情を持ち始めたネズミ・・・ツンデレですね、わかります。

    巻の最後にはさらに急速展開が待っていたわけだが、ネズミしかしらないその真実を紫苑に対し言うのか・・・次巻も気になった。

  • 2010/04/27再読
    紫苑が世間知らずなのは、別に紫苑のせいじゃないのではとおもう。そういうふうに強制されてきたからだ。自我の確立していない時期から統制された環境にいて、違和感を感じ続けるほうがよっぽど難しい。それでも何か感じていた紫苑だからこそ、ネズミの辛辣なことばにも向き合えるのだろう。
    正直とっくに大人と呼ばれるようになった今より、十代の頃に読んでいたほうが共感して読めたかもしれない。誤魔化すことを覚えたいまのほうがかなりきつい。罪悪感が刺激されてる。(わたしにとって)それを自覚するためのNO.6の世界なのかも。

  • あさのあつこって、「本の雑誌」で北上次郎が文庫化された『バッテリー』に注目!としたところからブレイクしたように思うのだけど、その時、一緒に絶賛していたのがこの『No.6』。
    昨年10月に待望の文庫化で、5ヶ月たって、これが第2巻。
    今回は、城砦都市No.6の外にある西ブロックの苛烈な環境の中での「知よりも情を、約束された将来より己の意志で掴みとる未来を優先」させた紫苑の成長の物語。
    僅かに繋がり続ける火藍の希望、拉致された沙布の行方、もちろん紫苑とネズミのそれぞれの戦いと運命は…。
    一気に読めて、息子なんかは次が待てずに単行本のほうを買おうかという始末。
    待て、次巻!(いつ出るの?)

  • 面白いです!

  • 天真爛漫な紫苑とNo.6の外の厳しい世界を知り尽くしているネズミのどこまでも冷静な感じが対照的で、それぞれのキャラクターがはっきりしていて面白いです‼︎2人がまるで陰と陽のような対極の存在なのに、なんだかんだで気が合っていそうな感じが微笑ましく思えます笑 No.6に対する立場の違い故に「おれたちは、いずれ敵になる」と突き放した言い方をするネズミに対して、「ぼくはきみの敵にならない」と自信を持って言い切る紫苑の言葉からも、2人の関係の深さが窺えます‼︎

  • ブロマンスと勧められて読んだけど、
    どことなくBLっぽく感じるのは私だけ?笑

    ともかく先が気になる!

  • 2023/02/01

  • 紫苑とねずみの関係がどうなるか? 心配。 沙布が捕まり、これからどうなるか?

  • No.6を追われ、西ブロックについた紫苑。
    ネズミは知れば情がわく、とつれない。でもふとした瞬間に優しい。ツンデレの元祖だろうなーと。紫苑は紫苑であまちゃんが垣間見えて読んでいるこちらとしてはやきもきするが、ネズミからしたら意表をつかれて、自分とは違う思いを持つ紫苑を大切にするのだろう。生まれた世界が違う二人がこうして打ち解けていくのが良い。
    そして最後紫苑の親友、さふが連れ去られたことを知るネズミ。これを知らせば紫苑は行ってしまう。さふは他人だし、関係ないと思いつつ…
    すでにネズミが紫苑に毒されつつあり、そこが微笑ましい…

  • あさのあつこ氏のSF『NO.6』第二巻。第一巻から4年後の2017年。ネズミを匿ったことで未来都市を追われた紫苑、ある事件をきっかけにネズミとの共同生活が始まる。

  • ラストのネズミの独白に息が詰まった。
    ネズミは紫苑に対して「余計なものを背負い込むな」と何度も言うのは、自分にも言い聞かせているということだったのか…。
    この時点で紫苑との繋がりはネズミの中にできてしまっていて、ネズミもそのことに幸か不幸か気がついている。
    光の中にいる紫苑は闇の中で生きてきたネズミにとって、まぶしすぎる。

    小学生以来の再読だが、ほぼまっさらな気持ちで楽しんでいる。
    相変わらずイヌカシが好き。頑張って虚勢張っているけれども、ネズミにははるかに及ばない感じが応援してしまう。
    意外だったのは、力河に対して嫌悪感を抱かなくなっていたこと。決して褒められた人物ではないが、人間くささを感じられるキャラクターだったことに気がついた。
    紫苑の天然っぷりには、もう笑うしかない。ある意味最強。

  • 2019/01/01 再読。

    2023年2月23日-24日再々読。

    ・いいっすね~やっぱ。NO.6読んでると落ち着く。実家。


    ・紫苑が西ブロックに初めて出るとこ、にぎやかでいいよなあ。物騒は物騒なんだけど。ネズミは紫苑のこと世間知らずのお坊ちゃんって言ってるけど、銃をかまえた人にとびかかるとか普通の世間知らずのお坊ちゃんはできないよ…… 

    ・この辺もそうだし、ネズミに売春を持ちかけた力河に怒りのままに飛びかかるとことかから、紫苑の内に秘める大胆さとか、衝動の強さが垣間見えはじめている。ネズミのことになると我を忘れちゃうの(程度は異なれど)何回もあるんだからたまったもんじゃないよな。どんだけ好きなの。


    ・「きみのことを知りたい」「きみに惹かれている」な…… 紫苑の愚直とも言えるくらいまっすぐな感情、ありがたい。私はこういうキャラクターが大好き。

    ・これに対してネズミが「そんな言葉簡単に使うな、大切なかけがえのない相手に言うもんだよ(意訳)」と返しているけど、紫苑にとってはもう大切なかけがえのない相手っていうのがネズミなんだからなんの間違いもないんだよな、だからこそ「じゃあどう言えばいい?愛してるって言うのか?」なんだよな。

    ・ネズミにとって紫苑はただの命の恩人にとどまらず、人が(または自分が)人に救われることを教えてくれたたったひとりの人間で、それはもう大事な人なんだよな。でもネズミからしたら自分が紫苑に助けられたことで及ぼした影響って、自分をかくまったことで特別待遇の全てを剥奪されて市当局に監視し続けられ挙げ句に殺人犯としてでっち上げられそうになった、という客観的に見ればまったく良いとは言えないことばっかだから「自分が知らないことを知っているという意味で気になってるだけ」「あんたは情報がほしいだけ」と言っちゃうネズミの気持ちもわかるよ。

    ・そう考えると、ほんとにネズミに一目惚れみたいになってんじゃんね…… しかもネズミを手当てして以降ふとした時につぶやいたりお母さんに指摘されてめちゃくちゃ慌ててたりしてたっていうのは……

    ・いやでも「おれとNO.6、どちらを選ぶ?」って聞くのはなんなんだよ。


    ・イヌカシも出てきてうれしいね。イヌカシもかなり好きだ。西ブロックで商売をしてしっかりと生きているけれども、本来の歳のあどけなさがふと見えるところがわりと多くある。それくらいまだこどもなんだよね。

    ・あと沙布が治安局に連れ去られるのってこんな序盤だったっけな!? でもそもそも春までのお話だから全然のんびりしてないよな…… 

  • 9巻にて

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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