新装版 最後の伊賀者 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756464

作品紹介・あらすじ

驚異的技術と凄まじい職業意識を持つ怪人たち、伊賀忍者はいかにしてつくられどのように生きたか。城取り、後方撹乱、探索密偵等、戦国の武器として使いちらされた危険な傭兵、詐略と非情の上に成り立つ苛酷な働きが、歴史の動きに影響を与えた不思議な人間たちを、自在に描く短編等、魅力溢れる7編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 伊賀・甲賀の郷士から〝忍び武者〟を敵情視察に雇った戦国時代。 冬の情報あつめが十分でなかった武将は、雪解けの合戦はじめに惨めな敗者の位置に落ちねばならなかった・・・戦国の武器として使い散らされた危険な傭兵たち、その歴史の闇で暗躍した名もなき者の悲哀が描かれた、司馬遼太郎氏による7編の短編集。

  • 忍者の闇よ!一編一編、読み応えがありました!
    司馬遼太郎は情報整理がごく細やかなだけでなく、描写が美しい。この本は特に、人間の生の動きや感情がぬるぬる浮かび上がってくるような、表現そのものも楽しめる作品だったと思います!

  • 司馬遼太郎の短編七作品集。
    全部忍者モノの話かと思いきや、この中の3つだけで他は違う題材。
    総じて面白い。
    そもそも、忍者話を読もうと思って読み始めたけど
    なんやかんやでそこではない話(天明の絵師、けろりの道頓)が個人的にはとても良かった
    道頓堀って道頓が作ってた堀だから道頓堀とな…と
    また新たなことを学んだ。

  • 京都画壇四条派の呉春を題材にした短編(『天明の絵師』)が目当てで読みましたが、それよりも、長沢蘆雪が主人公の作品(『蘆雪を殺す』)が入ってたことにびっくりしました。
    何より、両作とも軽く四、五十年前の作品のはずなのに、つい最近「発見」されたはずの「奇想画の系譜」のイメージにぴったりの人物造形っていうのが凄いです。

    道頓堀の由来が「道頓さん」というのも初めて知って面白かった(『けろりの道頓』)。しかも、構想は太閤だけど、実現は完全に民間有志って、いかにも古き良き「大坂」って感じで素敵。
    前半三作の忍術活劇、夢枕獏かと思わる『外法仏』とバラエティ豊かで一粒で何度もおいしい一冊です。

  • 下請忍者、伊賀者、最後の伊賀者の三編が忍者もの。
    最後の「けろりの道頓」が魅力ある人物で、とても好き。

  • 久しぶりに司馬作品を読みました。とりわけ初期のものは無類の面白さですね。蘆雪や呉春、応挙など、流行りの江戸期の画人ものも司馬が書くと活き活きします。短編集で、7編収録されていますが、忍者の悲哀を描いた三編と外法仏という伝奇ものは好みでした。

  • 恐らくいずれも初期の(梟の城の頃の)作品でしょうね。当然ながら、再読(何回目でしょうか)です。
    名前のように最初の三篇がこの時代に流行った忍者物。いささか古臭さ(荒唐無稽さ)は感じさせますが、なかなかです。「外法仏」は密教の修法を題材にした作品で、ある意味忍者物に通じるものがあります。「天明の絵師」「蘆雪を殺す」「けろりの道頓」はいずれも実在の人物をベースにした歴史物です。
    何れにせよ、司馬史観などという物が入らない、純粋な物語としての面白さを目指した作品です。若さゆえの粗さもありますが、後期の長大な作品のような説教臭さがない分、読みやすい作品です。

  • 筒井順慶についてはもう少し勉強が必要か。長澤蘆雪、呉春(松村溪月)、表題とは関係なく絵師の話は面白かった。円山応挙の弟子。与謝蕪村その弟子。司馬遼太郎さんか、この分野もカバーしていたのを知らず。

  • 書名となっている「最後の伊賀者」の他に六篇の短編がおさめられている。
    始めからの三編は「伊賀者」がテーマであるが、むしろ「伊賀者」がテーマではない最後の三編「天明の絵師」、「盧雪を殺す」、「けろりの道頓」が私的には楽しめた。
    難しい表現も少なくて読みやすい短編集だ。

  • *いろんなテイストの短編集。忍者ものはファンタジーっぽいし、絵師ものは淡々と、平安ものはグロかったり。幅広いなあ。
    *忍者というとNARUTOが思い浮かぶ私ですが、人物名やら術やら制度やら、忍者ものの源流を見た思い。
    *半蔵門の半蔵は服部半蔵の半蔵。
    *けろりの道頓。これが読みたくてこの本を読んだのだ。道頓堀は町人が作った!というような話をよく聞くので、どこかの資産家が経済効果を見込んで計略的にぽーんと私財を投じて作ったのかな、と思っていたが、この物語においては、けろりとして野望も欲もない朴訥で人望の厚い久宝寺の道頓さんが、太閤さんに頼まれて、わりと軽いノリで作り始める(頼れる参謀はちゃんといる)。道頓さんは大坂の陣で豊臣側について死ぬ。徳川の世になって新・大坂城主が工事の続きをし、完成後、道頓堀と名付ける。徳川からしたら反乱軍に加わった男の名をつけたわけだから、大坂での人気取りのためか知らないが、英断と言えよう、という司馬さん考。
    *けろりの道頓で、信貴山に登って河内を見下ろすシーンがある。最近紅葉狩りにまさに同じことをしたので、ちょっと感激。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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