ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)

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著者 : 小川洋子
  • 講談社 (2007年4月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756938

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ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • ブラフマンかわええ。

  • このタイトルなら仕方ないんだけど
    そんな終わり方しなくてもいいのに。

    レース編みのお婆さん、最後は素敵な人だったな。

  • 各方面の芸術家が、一時の創作活動として利用する「創作者の家」で様々な芸術家を世話をする管理人と、傷を負った動物、「ブラフマン」と一緒に暮らす物語。主軸はブラフマンと管理人に当たっており、動物の正体は明かされていない。演奏家、碑文彫刻家、詩人・・その中で垣間見える、主人公の心境と動物の成長を綴ってあり、標題から分かる通り、最後にはブラフマンは死を迎える。結末は後味がよろしくないと感じるが、大きなカタルシスが残留し見事に昇華している。

  • 相変わらず象徴性は豊かなのだが、好きになる、嫌いになる、そのどちらも物語に感じなかった。報われぬ愛情がテーマか。人間とペットの関係性か。ああ、もうやめよう。ここにはブラフマンが確かにいたことを悼まなければ。

  • タイトルがとても好き。
    〈創作者の家〉を管理する僕の元にやってきたブラフマン。
    愛おしく穏やかに流れる二人の日々。それなのに、どうしてかそこにひっそりとした拭えぬ死の気配を感じてしまう。
    とにかく不穏なのだけれど、でもそれこそがこの小説のすべてだな、なんて思った。
    芸術家と僕によって粛々と淡々とすすめられる埋葬も、読み手には悲しむ余地を与えない。
    なにも創り出すことのできなかった僕だけが、ブラフマンの死を悼むことができるのかもしれない。

  • 題名から大体結末を予測できるから、ブラフマンが可愛らしくて、この先を見たくない気持ちで、なかなか読み進まなかった。描写や表現は素晴らしいけれど、物語自体の目指すところがよく分からないのと、好きじゃない種類のバッドエンドで気持ちが沈んだので星2つ。

  • じんわり沁みてとてもよかった。
    タイトルからしてわかっていたものの、悲しい最後。
    フランスの絵画のような繊細な描写とブラフマンを想う僕の心が美しく儚い。

  • 静かに進む物語。秋の夜に丁度良かった。

  • <創作者の家>は、三途の川を想起させる。さらに、ブラフマン(「謎」や「宇宙の根源」を意味するヒンディー語)からのヒンドゥー教の流れで、ガンジス川=死者を流す川を連想することもできる。

    主人公の"僕"は死者の国の番人を表していて、<創作者の家>に訪れる芸術家たちは死と生の境目をさまよっていると考えられそう。芸術家たちは夏になると死者の国を訪れて、秋になると生者の国(こちら側)に帰ってくるのだ。『ブラフマンの埋葬』の世界は、此岸から見た彼岸、もしくは此岸と彼岸の境目ということなのだ。序盤から意味ありげに語られる「石棺」は、死の隠喩だろう。雑貨屋の主人や娘、娘の恋人は、どちらかと言うと、こちら側の存在だ。

    では、ブラフマンとはなんなのか?

    ブラフマンが<創作者の家>にとって異質なものなのは間違いない。作中で、唯一名前が与えられていることからもわかる。死者の国にとって異質なものは「生」。つまり、ブラフマンは「生」そのものを表している。ブラフマンと最初に出会った時にオスということを確認していることから、「性」ともかかっているのがわかる。雑貨屋の娘とその恋人に、終始「性」のにおいが漂うのも同じ理由だ。

    死者の国で生き続けるブラフマンは、その矛盾した性質上、いずれ排除されなければならなかったということか。

    考察はまだ続く。

    それはそうと、文章の読みやすさに反してドスンと胸に響く良い読書だった。

  • 再読。前に読んだときはカワウソのイメージだったブラフマンですが、読んでてけっこうでかいよな...?と思った瞬間カピバラでしか想像できなくなってしまいました。カピバラが泳ぐのかどうかは知りませんが。

  • 静かで温かで切ない、ひと夏のお話。
    創作活動に勤しむ芸術家に仕事場を提供している"創作者の家"。
    そこの管理人である僕の前にブラフマンは現れた。
    傷だらけの彼は謎の小さな生き物だった。
    描写から読み取れる確かなものは何もない。
    登場人物はブラフマン以外、名前もない。
    だけどそれで十分だった。
    曖昧なようで鮮明な景色の中で僕とブラフマンの温かな生活が描かれている。
    外国の田舎の雰囲気で、創作者ではないけれど少しの間そこで過ごしてみたいと思った。

  • 2016年、43冊目です。
    奇妙な動物「ブラフマン」と私の生活ぶりが描かれている作品です。
    例によって、その舞台がどこなのか?日本?フランス?書かれていません。
    また、登場人物にも名前がありません。僕は”創作者の家”の管理人、碑文彫刻家、雑貨店の娘、ホルン奏者、、、、。これらが透明感のある作品を演出しています。
    解説を読むと、この作品は、著者がフランスにイベントで招かれた時に、発想を得たとのこと、古代墓地、石棺などは南フランス地方を念頭に書かれているようです。
    でも、少々外れていると思いますが、私は、この作品の舞台が、岡山県の倉敷市の南端、鷲羽山当たりの風景に思えてなりません。作品中の古代墓地の描写や川に棺が流されてくる描写が、自分が幼児の頃に、家族といった鷲羽山のごつごつした砂の斜面やそこから見えた海の印象と重なったような気がします。私はフランスに行ったことがありませんから、自分の経験値の中から作品の舞台を想像したので、実体験の記憶と結びついたのだと思います。著者が全く意図しない作品の舞台を読者が想像するのは、やはり著者の意図なのかもしれないなと思います。

    おわり

  • 再読、★2.5かな。
    動物(?)との関わりから生まれる不思議な温かさと人間関係。多分レース編み作家も好きだったんだ。でも確実に終わりは来る、それが生きるってことですから。
    とまぁ好意的な文章のようでもありますが、うーん、結局こういったテイストを楽しんでくださいという作品なのかな?小川洋子にしては少々切り口が甘い感じがするなぁ。

  • ブラフマンという名前の動物、描写はあるけれど、最後まで種別が明かされないままでした。読者にとってなんだか分からない動物なはずなのに、主人公「僕」と同様、ブラフマンが可愛く思えてしまうのが不思議。

  • 【頭の中の魔物を飼いならして】

    読み進めて、それは次第に身体を持ち始めた。私の知っているあの生き物なんじゃないかと、息使いが聞こえてくるようだった。それは雨の夜に冷たく道路に横たわり、異臭を放っていた。タオルで包むように抱き上げ、まだ桜の咲かない季節にそのたもとに埋葬されたあの生き物だったんじゃないかと。閉じない瞳を花柄のハンカチで覆い、小さく手を合わせた。あの時のことを思い出していた。

    重ねる物語だと思った。時間や思いを。それは感情移入とは少し違う。とにかく、あなたは必ずブラフマンがどんな生き物なのか知ることができるはずだ。その声もその色も、匂いも全て。

  • なんだかよく分からないけど、不思議な満足感がある。心理描写がここまで少ない話は珍しい。そのおかげか読者である自分の気持ちを素直に重ねて読んでいた気がする。それが狙いだったのか?

    ブラフマンと名付けられた動物の種別も最後まで明かされない。部分部分の特徴が話に沿って描写されるだけである。しかし、輪郭は分からなくても生き生きとした姿がちゃんと脳内にイメージされ、愛着も湧くのである。不思議だ。

    そういえばこの話にはブラフマン以外、固有名詞が出てこない。他の人物は皆、職業で呼ばれる。名前も職業もその人の一面を表すだけで本質ではないということを暗に示しているのだろう。そして、主人公の心理描写をしないことで読者に人の本質とは自分の心で捉えるものなのだということを伝えたいのかもしれない。

    物語に固有名詞が出てこない一方で石碑彫刻師という墓石に名前を刻む専門家が出てくる。「名前」と「死後」がテーマの鍵なのかな?
    死んだ後、他人が死者をどんな想いでどう扱うのか。身近な者の死は悲しみ、時間がたっても墓や写真を見て懐かしみ慈しむ。全く見ず知らずの人の死は逆に墓の存在などで初めて知る。でも知れるのは存在があったことだけ。墓に掘られた名前や文章、墓の大きさから少しばかりの想像が得られるだけ。しかし、確かに死には人それぞれの形があるのだ。そして死の形とはその人がどのように生きてどのように周りに見られていたかということなのだろう。
    ああ、ある人(動物含)の死が他人からどう捉えられているかという「他者から見た個別の死」が本書のテーマなのかな。ブラフマンという愛着ある存在の死と古代墓に象徴される赤の他人の死を対比して。全体に死者への温かい敬意が漂っている印象深い物語だった。

  • 読み始め…07.6.4
    読み終わり…07.7.19

    またもや魔薬です。
    すっかり酔いました。

    だけど・・ブラフマンって、、
    いったいなんだったんでしょう???

  • これだからペット飼うもんか!

  • 「静謐」って言葉が、色んな人のレビューに書かれてたけど、まさにそんな世界だなぁ。
    起伏は無いけど、心に何か残る感じというか... うーんうまく表現できない。
    個人的に、ブラフマンはイタチ的な生き物かなぁと。

  • 美しく、静謐な物語だった。
    ブラフマンがどういう生き物であるか、丹念に観察し、文字として記録を残してゆく。そう、まるで「謎」を一つ一つ解き明かしてゆくように。
    しかし、雑貨屋の娘の心に入って行こうとした時、世界は崩れ去る。世界は、解き明かされない「謎」を残したまま、驚くほど小さな石棺の中に姿を隠す。
    そして後に残るのは、再びの静寂。
    失ってしまったものは、戻らない。世界の謎は解き明かされない。ただその尻尾の先に触れることが出来るのみなのだ。

  • 動物と暮らすって、こういうことなのかな。

  • その時のちょっとした油断が、大きな不幸を招くことがある。

    いつもあんなに神経質にブラフマンを見守ってきたのに
    それだけ彼女のことを好きだったということだろう。

    最後のシーンも、ただその時の行動を淡々と描くばかりで
    でもだからか、彼の悲しみの深さが一層伝わってきた。

  • 旅のお供として借りた文庫本の一つ。とても短いお話。泉鏡花賞を取っているそうだ。この人の小説はいつも不思議だ。おちがはっきりしてない話は苦手なのに、この人のは読んでる間が気持ちいいというか、心地いいんだよな。ブラフマン、ちゃんと想像すると大きなトカゲみたいな気持ち悪い生き物なんじゃないかと思うけど、それが小説のいいところだよね。ブラフマンをかわいがる「僕」の気持ちはよく分かる。私もペットを飼えばこんな気持ちになるんだろうか。碑文彫刻師も好きだ。

  • 静かな物語
    読んでて音がないというか不思議な雰囲気がある

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