- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062756938
感想・レビュー・書評
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作者の動物の描写には脱帽。ワールド全開。
章の終わりのブラフマンの取説が微笑ましい。
ラストは唐突でありながら埋葬品の中身で救われる。
いつまでも読んでいたいと思わせてくれる作品。
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ブラフマンって、つまりは何だったのか…。
小川洋子らしさが最初から凄い…。 -
ストーリーが面白いわけではないが風景が頭で浮かび、その世界に行ってみたいと思った。
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岡山県出身の芥川賞作家の小川洋子さんの作品です。僕と謎の生物ブラフマンとの日常を描いています。細部まで描写され、まるで読者も僕と一緒にブラフマンを実際に目で見て観察しているかのように感じました。作品の中で流れる温かく穏かな空気も感じることができるおすすめの純文学です。NDC913.6 フリーテーマ
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「ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している〈創作者の家〉。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた――。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。」
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/682299 -
ブラフマンはカワウソっぽいのを想像しながら読んでたけど、みんなは???
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作中ではブラフマンは「謎」という意味だけが出てくる。それゆえに、その姿が我々が名前を知っている何かに当てはまる必要はないのだろう。
とはいえ、造語ではなく元よりある言葉なだけに、その意味から作中の抽象が何を表現しているのか解釈したくなってしまう。
高校の倫理を履修した人なら覚えているかもしれない。"ウパニシャッド哲学"なんて言葉と一緒に出てくる「ブラフマン」とは、宇宙の根本原理をさす。
つまり、全てのものの根源がブラフマンであり、「宇宙の創造主」とも言われる。
とすると、作中のブラフマンは、芸術家たちが活動する〈創作者の家〉が、その創作が、生んだものなのであろう。いや、それぞれの創作がうまれる根源がもつ生きた熱量がこの家で融合し、姿をもっただけ、すなわちブラフマンから創作がうまれたという見方の方が哲学に即しているのか。
いずれにせよ、ブラフマンは作中でも宇宙の根本原理であり、僕の存在が認識される世界における原理原則、各人がもつ領域の調和そのものであったのだろう。
しかし、僕はラストシーンで娘の領域に踏み込む。その結果、ブラフマンは失われる。
小川洋子の描く世界がこんなに言語化しやすいとも思わないので、ただの素人の解釈に過ぎないが、これが私が読んだものである。
「創作」「宇宙」などのワードが見られたので、遠からずな気もしているが。
今回も、言葉と脳みそでは掴めないような物語に心が休まった。幹に空洞ができることを「まるで森がため息をつく時の唇のよう」と表現するところなど、また小川洋子の世界に触れることができているんだと静かで幸せな気持ちになった。 -
ブラフマンは勝手に犬だと思っていたけど、皆さんの感想を読むとカワウソかもと描かれていて、そうなのか!と。
淡々と進んでいく物語、最後もあっさり終わってしまうけど、自然に囲まれた穏やかな風景とブラフマンとの日々はじんわり残ってる。