黄昏の百合の骨 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756945

感想・レビュー・書評

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  • 祖母が残した遺言に従い、長崎にある祖母の家で血の繋がらない叔母たちと同居することになった理瀬。叔母たちに監視されながらも、従兄弟たちと共に祖母が隠した「ジュピター」の謎を探る。そんななか、とある嵐の夜に友人の朋子に想いを寄せる男子生徒が行方不明になってしまう。


    再読。〈理瀬シリーズ〉の新作長篇が17年ぶりにでるというので、前作に当たる本書を読み直した。
    「おばあちゃんちから物騒なものが見つかる」ことしか覚えてなかったが、それも然もありなんというこじんまりとした作品。年始に恩田作品をまとめ読みしたので共通アイデアを流用した作品が思い浮かぶようになっちゃったけど、本作はちゃんと回収されているほう。梨南子のオチはなんだかな〜と思うけど。
    新作では理瀬が成人しているらしい。だんだん憂理が亡くなる年齢に近づいているのだなと思ったが、必ずしも『黒と茶〜』の未来に続いているとも限らないのかな。

  • 面白かった!三月は深き紅の淵に⇒麦の海に沈む果実⇒本作と続けて読んだ。
    シリーズ物だったので正解だったと思う。
    もちろん多少順序が違っても面白いのには変わりはない。ただ自分的には前回の麦の海に沈む果実が
    イマイチ(といっても面白くはあったが)だったので危惧していた。
    しかしいざ読み始めるとダークなミステリーで
    非常に面白かった。理瀬の可愛さ、抜け目のなさ、非情なところやそうかと思うと雅雪との高校生らしい部分。
    よく考えると同い年の女の子は確かにませてたな~。男がガキなのか?
    なんて考えながら楽しく読みました。ただ殺人(?)が起きるし、少年が
    行方不明にもなる。犯人は?怪しい洋館の謎とは?といろいろ飽きさせません。
    ホントに最後の最後までハラハラさせられて面白かったです。

  • 大好きな女の子。

  • 「百合」のタイトルに惑わされ
    「百合」なん?って思ってたら、思った以上にミステリでした
    恩田陸はどんな球で来るかわからんので要注意な一冊でした

  • 黄昏の百合の骨
    読み終わった瞬間に意味がわかったような感じがした、、
    今回もまた恩田ワールドに入り切ってしまった。

  • 理瀬シリーズの、『麦の海に沈む果実』の続編にあたる物語。
    『麦の海に沈む果実』のようなファンタジー色はなく、現代日本を色濃く感じる舞台でミステリ仕立ての内容です。
    しかし、やはりシリーズに通底する凝った雰囲気のようなものを感じずにはいられません。
    重苦しくて暗い「何か」を絶えず意識しながら、物語を読み進めているかのような……
    少し息苦しいのだけれど、それでもどうしても目が離せない魅力が、本シリーズにはあると思います。
    今作も背筋がぞっとするような、とても綺麗な話でした。
    面白かったです。

  • 事件らしき事が起きて、解決したっぽく終わるけど、、
    雰囲気を楽しむ物語という感じ。

  • 理瀬シリーズの中では、結論すっきり。でもでもやはり不思議な感覚が残る。心地よいふわふわ感というか。ノージャンルですね。三月、麦、そして本作品と順番に読んだけど、別にこれだけ読んでもいいと思う。わかんない感も、調味料と考えられるいい作品かと。

  • 一気に読むくらい面白かった。理瀬モテモテだな…
    思い出したり思い出に浸ることはしなかったけど、憂理や黎二の名前が出てきて嬉しかった。
    理瀬がタバコを吸う描写で、嫌煙家の自分が初めて喫煙をカッコイイと思えた。自分も吸おうとは思わないけど。
    理瀬のように聡明な美少女だからそう思えるんだよな。そうじゃない普通の女子高生が吸ったってただイキってるようにしか見えないしね…

    古い洋館ってどうしてこうも惹かれてしまうんだろうな。秘密の香りがするからなのかな。
    麦の海に名前だけ登場した稔と亘、どちらも理瀬と同じ側なのかと思いきや、なぜ亘だけ「そっち側」じゃなかったんだろうな。素質?
    洋館の秘密を知って綺麗にまとまるかな?と思ったらおばさんにびっくりだよ。理瀬を殺すことに失敗したら自害しろとでも言われていたんだろうか。

    ヨハンとの学園最後の夜、少年少女であるのにそういう青臭さを感じさせない。愛ゆえの行為というよりそういう儀式だよな。少なくとも理瀬にとっては。
    理瀬がヨハンだけではなく亘と寝たことに嫌悪感は全くなかった。稔とも怪しい雰囲気だったし、朋子が言ったように涼しい顔で男をたらしこむ、というのは技というより空気なのかな。ある意味毒のようだな。
    少女時代との決別、ここでなのか。麦の海の最後のシーンでコサージュをちぎったあのシーンがそうなのかと思っていた。大人の女になった理瀬がこの先どういう風になるのかとても楽しみ。

    頭のいい子だけど、ところどころ少女の悩みというか色々な感情が残っているのが愛おしい。だからこその決別なのか…と思うと理瀬の虜になってしまった自分はなんだか成長を見守ってきた親戚みたいな気持ちになってしまう。

    雅雪とは友達以上何か未満という感じだったが、続編とかできたらまた登場するのかな?ヨハンとは違う絆で結ばれそうな気がする。
    再び巡り合うことになることを知っているのは彼なのかそれとも…

  • 冒頭から謎めいた出来事をめくるめくように展開させて、読者の気をそそる技は、まさに恩田陸!
    恩田陸のこの技は、本当に天下一品!どれを読んでも感心させられる。
    その反面、「話を終わらせなければ(結末がなければ)、恩田陸は最高なんだけどなぁ~」となるのも、いつものパターン(笑)

    「結末がなければ最高」と書いたが、これなんかは結末をつけちゃったことで逆に話を陳腐にしちゃった感があるかなぁ~。
    ぶっちゃけ言うと、寝るなよ、ダッサ…って(爆)

    やっぱり、これは理瀬の謎めいた魅力を楽しむ話だと思うのだ。
    そう考えた時、あの寝ちゃう展開って、どうなんだろう?
    その後の叔母さんとの展開や、その前の友人によるクライマックスとかも含めると、そのイメージが、全然謎めいてないじゃん!たんなる普通の女子高生じゃん!となってしまうのだ。
    理瀬の魅力は、周囲にいる人たちが魅力的であるからこそという面もあると思うのだけれど、寝ることで、その周囲の人の魅力も下がってしまったように思う。
    いや、別に寝るなら寝るでいいと思う。
    でも、なら寝まくることで謎を解決するくらいの魅力を振りまいてくれないと!w

    とはいうものの、そういう展開を描けないのが恩田陸であり。また、読者も望んでないのが恩田陸の小説なんだろうなーとは思う。
    プロットで書く小説が全盛の時代(?)の中で、恩田陸は物語ることで小説を描くタイプの作家だと思うので、それはそれでいいんだと思う。
    終盤までの謎を紡いでいく展開に魅力がありすぎるだけに、蛇足な結末にギャップを感じるというのもあるのかもしれない。
    ただ、たまには「ギャフン」と言ってみたいのも事実だ(笑)

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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