チルドレン (講談社文庫)

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著者 : 伊坂幸太郎
  • 講談社 (2007年5月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757249

チルドレン (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 再読です。

    日常系のミステリー。登場人物がみんな魅力的です。

    陣内の根拠のあるようなないようなわからない自信がおもしろいようなかっこいいような…(笑)
    盲目の永瀬が通りすがりのおばさんにお金をもらった時に、ずるいと激怒し、お前はラッキーだなと本気で羨ましがっている姿が清々しくてよかった。

    家裁の調査官の仕事は奇跡を起こすこと、大人がかっこよければ子どもはグレない…など、シンプルだけど妙に言い得ている台詞にはっとさせられます。

    最後の「イン」の陣内の行動ですべてのお話が繋がり、からっとした笑い声をあげたくなります。永瀬の独白、日向ぼっこをしているようなあたたかい気持ちで読み終えました。

  • この言葉には大変申し訳ないのですが…
    『絶対』という言葉が『陣内』に見えてしまう。

    なんと厚かましくて、インチキくさくて、高慢で
    鼻持ちならない言葉なんだろうと
    気を付けて扱わないといけないと気を引き締めても
    その裏にある思いもよらない鋭さや真っ直ぐさや広さに
    口をあけたまま引き寄せられてしまうんです。

    『絶対』も『陣内』も魅力ありすぎです。

    伊坂さんの『サブマリン』が読みたくて
    こちらの続編ということで手に取りました。

    陣内の放つひとこと。
    「世の中のことには全部興味があるからな」は
    伊坂さん自身のことではないかと思っちゃいます。
    そしてずっとずっと、そうあってほしいとも。

    続けて続編が読める私の今の状況。
    永瀬のように、私も感じます。
    すごい特別な時間なんだと!!
    この特別ができる限り長く続くことを切望します。

  • 短編集のふりをした長編小説。
    時代が前後し、語り手も変わるのだけれど、物語はちゃんと繋がっていて、最後には気持ち良いほどスカッと結ばれる。
    清々しい程の疾走感に、読み終わったあとはしばらく放心状態。心が火照ったまま。
    陣内のぶれない態度とうざったいほどの自信に満ち溢れた言動は、ちょっと一歩引いたところから眺めていたいだけの(実はあんまり関わり合いたくない‥‥笑)周囲の友だちや、私をも無理矢理巻き込んでいく。
    ちょちょっと待って!と声をあげても後の祭り。
    でも、なぜか、私たちはいつのまにか、めちゃくちゃにも思える陣内の魅力にはまり惹かれていた。

    そう。こういう男がきっと奇跡を起こすのだ。

  • 伊坂幸太郎には珍しい短編集。
    それぞれの物語の進んでいた時は異なるが、一貫して「陣内」という男が登場する。
    その男は、絶対という言葉を使う奴は信じられないと言いながら、簡単に絶対と言い切り、即座にその言葉を撤回する。こんな自分勝手な変わった人はいないと思う。しかし、彼は彼なりの正義を貫き、他人に流されることなく、常に何かに向き合い、闘っている。その姿は、つまらないことにかっこをつけているよりも、とてもすがすがしくて、見ていて勇気をもらえる。
    目の見えない永瀬という友達に陣内が言い放った言葉が忘れられない。ふとした時に、永瀬は全盲であることから人に哀れみを受けて特別視させることがあった。そのときには、陣内は必ず、「ふざけんじゃねえ。お前だけが特別だと思うなよ!」と怒るのだ。当然周りは、一瞬当惑するが、陣内はお構いないしだ。一見、陣内の性格からすると、後先を考えず配慮に欠けた言葉を言っているようにも感じるし、否定できないだろう。しかし、この陣内の一言から、永瀬は全盲である自分を一人の人として対等に扱っていることに、他の人との違いを感じて、安堵の気持ちを覚える。
    陣内は、一般常識を身にまとわずに、自身の感性に素直に、人と向き合う。
    その姿は、どこか冷めた、都会に暮らす現代人にはない、一つの勇敢な生き方があると感じた。

  • 続編を読むために読み返し。
    陣内というキャラクターをこの世に生んでくれてありがとうという気持ちになりました。
    友達になりたい。

    「『絶対』と言い切れることがひとつもないなんて、生きてる意味がないだろ?」

    生まれつき目が見えない人が少しずつ周りの状況を把握して行く過程を、映像や絵のない小説というフォーマットを通じて読者に追体験させるっていう手法があざやか。

  • 痛快な男。陣内。

  • 「サブマリン」を読み始めたものの、伊坂さんらしくリンクが登場している気がするのに、さっぱり詳細を覚えていないので、復習のために再読。陣内の破壊力は最高だね。自分の身の回りにいると困ると思うけど。構成も素晴らしくて、本当に名作だと思う。

  • 自分なりのルールを曲げない男はかっこいい。
    けどそれって周囲の人間からすればかなり厄介な事であったりもする。

    自由すぎて周りを困らせる陣内。
    けれどその行動にはきちんと理由がある。
    誰に何と言われようと、彼は自分のルールに従って生きる。
    都合によっては時々それさえも捻じ曲げる場合があるようだけど。
    その不器用さには大いに母性本能をくすぐられる。
    でもたぶん本人はそんなこと望んでないんだろうな。

    大人がカッコよけりゃ子供はグレないんだよ。

    確かにそうです。
    身近な大人に失望した時、子供は進むべき方向を見失ってしまうんです。

    一癖も二癖もある伊坂作品の登場人物中でもかなりアクが強くてひねくれた人だと思う。
    現実ではあまりお近づきになりたくないタイプの、愛すべきキャラクター。
    決して恋愛対象ではない、かな…。

  • 伊坂作品の中では物足りないと感じる人もいるかもしれないけど
    わたしはこの作品が一番好きだ。
    正しいことを「正しい」と言わずに正しいと思わせるこの作品は
    本当にステキだ。

    盲目の永瀬が「かわいそうにねぇ」と通りすがりの婦人にお金をもらった時、
    陣内が怒り狂って「俺もお金が欲しいのにお前だけずるい」と反射的に言い切る。
    話の中では小さな扱いのエピソードだけどここが一番好きだ。

  • この本、伊坂幸太郎さん自身が「短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。」って書かれてるように、語り手が異なる5編の話しで構成されていますが、うまくつながっています。
    陣内を主役として捉えると、スゴく絶妙につながっているし、陣内の魅力(?)がこの物語の中心になるのでしょう。
    で、この本のタイトルにもあるように「チルドレン」=子ども達=少年について語られてるのだと思います。
    子ども達、少年と言っても、高校生くらいの年代ですが…。

    最近読んだ伊坂幸太郎さんの本にあわてみると、「陽気なギャング」シリーズの響野とか、「アヒルと鴨のコインロッカー」の河崎とかとキャラクターが近い陣内を中心に、「アヒルと鴨のコインロッカー」のように、複数の時間を行きつ戻りつする長編小説って感じになります。

    ほんと、上手な作家さんだと思います。

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「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々-。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。

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