- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062758406
感想・レビュー・書評
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これ、シリーズになってないのかな?こう言うのを「粋人」と言うのだろう、とっても「和」的なしっとりとしたイキな話。いいなあ。
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初めて読む作者であったが、4話共面白かった。
才能のある者の芽を見つけ出し、それを大きく育て上げる佛々堂先生が、とても素敵描かれている。
祖父の時代には、裕福な家の者が、書生さんなど、勉強ができ優秀なのに、家庭の事情で、進学できない学生などを家から通わしていた。
音楽や美術にしても同じで、才能のあるものを後ろ盾する裕福層が居たが、佛々堂先生は、正にその通りである。
本の内容も、八百比丘尼や椿の種類など、中身が濃いい。
雛辻占の我楽多感謝祭にしても、香木や含鉄土石など、一般の者がわからない価値ある物を見抜ける人を佛々堂先生が、選択していること。
遠あかりの 着物の講釈から、その小物迄を、、、そして、昔の人が着物を大事にしていたこと、、、畳紙の茶渋などが、罹れており、祖母から、着物を布団カバーや鏡台掛け、前掛け、袋物へと、今のリサイクルで、使用していたこと話を思い出した。
寝釈迦では、松茸山の話が、面白かった。
詐欺にあわないようにしないといけないと、、、(笑)
『極楽行き』と、言う本もあるみたいだから、今度、探してみようと思う。 -
日本の四季・文化の魅力が軽妙で粋に表現されており、まさに清談です。
服部氏といえば経済ミステリーの印象が強かったので、こんな作品を書くとは意外でした。
歳をとったら少しだけでいいので、こんな空気に触れながら生活していきたいですね。
シリーズ化されたようなので、次作を読むのが楽しみです。 -
当代きっての数奇者、風流人の沸々先生。
こちらが1作目。
思うように絵の描けなくなった日本画家、
港町に隠居する和菓子屋父娘と父を越えられないことに悩む陶芸家、
料亭の若旦那、
山守りの跡取り息子。
各話の登場人物たちの悩みを解決してあげながら、
自分もしっかり得をするおちゃめな先生。
それぞれに文化や芸術のネタが絡んでくるのも興味深いし、
なにより話の筋が最後に綺麗にひっくり返るのが見事。
ほろりと涙を零させるような強さはないけど、
何度も情景を思い浮かべたくなるように深くて鮮やか。
まだ続きが出る予定がないというのが本当にもったいないです。 -
粋というのは、ちょっとした気配り+された相手がひょいっと笑顔になれるようなもののこと、と年配の落語家さんが言われてましたが、これはまさに粋。派手ではないけど、ふっと笑いたくなる。
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人間、年を取ると誰でも思う「こういう老人になりたい」シリーズ(?)
結構ありきたりのキャラクターだけど、それが嫌いじゃないなら楽しく読める。 -
抜け目ない作者。最近読んだ本の通り、古民家を自分の家の建替え材料にしてしまうくらいなので、骨董美術関係はお手のもの。ちゃんと飯の種にしてしまうところがタフでいいわぁ。
年齢、容姿不詳が妙にはまる(本名すら出ていない)先生が、日本古来の美術、工芸関係者を助けてゆくのだが、実は自分が楽しみたいというのが本音…解説者が書きやすそうな設定。
どの作品もフィールドワークが厚い作者なので、ここでも様々な骨董・美術工芸界の表裏がのぞけてとても楽しい。自分の知っていることと比べても、かなりいいところを突いて描いていると思う。
そうそう広い世界でもないので、次が出るか不安だけれど主人公の先生以外にも面白いキャラクターが多いので、ぜひいつかまた読みたいものである。 -
仏のようだからか、あるいはブツブツ文句をよく言うからか……どちらにしても、佛々堂先生のゆったりとした構え方が魅力的。砕けた話し方の中に光る審美眼に見出された芸術なり自然なりの宝が、先生の粋な計らいで最後にぱっと輝くさまが、読んでいて心地よい。派手な展開はないけれど、人間として、また日本人として「よいものに触れたなあ」と満足感に浸れる1冊だった。
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110220
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大変失礼なのだが、あまり期待していなかった分、いい意味で裏切られた。
先生の優しさに読んだ後もいい気分になれます。