源氏物語 巻十 (講談社文庫)

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制作 : 瀬戸内 寂聴 
  • 講談社 (2007年10月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758697

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源氏物語 巻十 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「浮船」「蜻蛉」「手習」「夢浮橋」の4帖を収録した最終巻。

    心が震えるほどに感動した。
    四季折々の日本の風景、人情の機微、人を愛すること、そして命のはかなさなど、人が生きるということに関するおよそあらゆるエッセンスを紫式部は描いている。
    それらが美しい言葉と和歌、音楽に乗せてつづられているところが本当にすばらしいと思う。

    −−−−−
    匂宮は、一目で心を奪われた女(浮船の君)のことが忘れられず宇治へ赴き、薫の君になりすまして浮船の部屋に忍び込むと、彼女を手に入れてしまう。
    薫に申しわけないと思いながらも、情熱的な匂宮のとりこになっていく浮船は、追いつめられた末に宇治川に身投げをしてしまった。
    『源氏物語』全体の中でもっともスリリングで面白いのは「若菜 下」であると思うが、「浮船」も同じくらいすばらしく、第2部である「宇治十帖」が本編に劣らず面白いと言われる理由はこの帖にあるのではないかと感じた。

    浮船が死んだと聞き、悲嘆にくれる薫と匂宮。
    ところが、49日を過ぎると2人とも浮船のことなどすっかり忘れたようにほかの女に心を移しはじめる。
    寂聴さんによれば、作者はこの2人の様子に「男の愛などせいぜいこの程度」という皮肉を込めたようであるという。
    だれからも見下げられた存在でしかなかった浮船は、紫の上よりも悲しい女性であるように僕には思えた。

    「手習」では、行方不明になった浮船が実は生きていて、横川の僧都に助けられ、出家する話が書かれている。
    そして、最終の「夢浮橋」で、薫は浮船の弟である小君に手紙を持たせて彼女のところへ行かせるが、浮船はつれなくするばかりで小君に会おうともしなかった。
    それを聞き、おもしろくない気持ちになった薫が「誰か男が囲っているのだろうか」と想像する場面を最後に、この大長編は幕を閉じた。
    意外にも唐突な、あっさりした最後に、かえって紫式部の手腕を感じずにはいられなかった。
    人の一生って、本当に夢のようにはかないものなのかもしれないな。
    −−−−−

    2年以上かかって、ようやく54帖すべてを読み終えることができた。
    僕はそんなにたくさんの本を読んでいるわけではないけれど、日本の歴史上、この『源氏物語』を超える小説はまだないんじゃないかなあと思う。

  • いよいよ最終巻。およそ3ヶ月かけて読んできた。薫と匂宮の双方への思いをどうしていいかわからず入水する浮舟。きっとどこかで生きているのだろうと思った。だれかの策略かとも思ったが、どうやらそうでもなさそうだ。どういうわけでか、いのちは助かり、記憶を失ったまましばらく生き続けていた。その後の出家。そして、薫にも知られることになり、さあ、これから話はどう展開するのかというところで、あっけない幕切れ。これだけ読んできてこのまま終わるとは。「明暗」のような未完というわけではないのだろう。「豊饒の海」最終巻「天人五衰」でも出家した女性と結局会えないまま終わるという、何ともすっきりしない思いをした覚えがある。さて、薫と匂宮。薫は光源氏の息子ではあるが、遺伝子的なつながりはない。匂宮は孫にあたるのか。ここはきちんとつながっている。女性への相手の仕方は匂宮が一枚上手と言ったところか。私は馬鹿正直な薫の方に共感が持てるかなあ。さあ、この長編恋愛小説を読み切れるのだろうかと思いながら読み始めたけれど、日々続きはどうなるのかと気になりながら読み進むことができた。社会的な背景に差はあれど、いつの世も男女の仲はおもしろい。胸がこがれるような「会いたい」という想いとか「嫉妬心」とか、そういうものは今も昔も変わらずに、人々の心の大きな部分を占めているということなのだろう。科学技術が進歩しようとも、人の脳はほとんど進化していないのだ。とあらためて思った。

  • 2007/10

  • さすがに長い年月にわたって多くの人にを読まれてきただけに、「源氏物語」はやっぱりおもしろい。巻六くらいから登場人物にも、流れにも馴染みおもしろくなった。数ある訳本のなかからこれを選んだのは、寂聴さんの小説も読んでいて身近だったから。各巻末の「源氏のしおり」があらすじと寂聴さんの感想があり楽しみだった。これをきっかけに他の訳本も読みたいし、源氏物語に登場する女性や男性について書かれたものも読みたい。

  • 巻一の読了が2009年3月10日であるから、2年8か月を費やして源氏物語を読破したわけだ。文献初出は1001年で、この長編なら執筆に10年は要したであろうから、ちょうど千年の時を経て読ませていただいた。

  • 先日、宇治川の流れの速さを見てびっくりしましたが、浮舟が身投げをしようとする山深い宇治の里、そこに流れる宇治川の流れが目に浮かぶように思います。宇治十帖の小説としての迫力には驚きです。浮舟が二人の男性の板ばさみになり、追い込まれてしまうということになるわけですが、その心の苦しさが迫真のリアリティです。浮舟の薄倖のか弱い美人ぶりの描き方が素晴らしいです。薫の君と匂宮の男性2人も魅力的な存在として書かれていますが、今の価値観からすると単なる女たらしであり、紫式部の価値観には違和感を感じます。私としては、どちらかというと人間の心を描く場面は冗長な印象を持つものの、四季の情景を描く文章力が秀逸だと思いました。特に秋風、名月、虫の音など、日本の美しさを表わすような情景表現は改めて感動します。

  • え!!!!!十巻も待たせたのに、こんな終わり方?!日本に誇る有名文学作品の終わりがこうだったとは。長い源氏物語の中で一番の衝撃がここにある。

    歴史の授業を聞いていると、平安時代はとっても昔で、文明が未発達というイメージがあった。しかし、源氏物語の登場人物に触れて、現代に住む私たちと心はほとんど変わらないということがよく分かった。

    源氏の栄華が語られる前半、そして宇治に舞台が移る後半。どちらも個性溢れる登場人物の心理が巧みに語られ、昼ドラさながらどんどん惹きこまれていく。特に宇治が舞台の後半は、頁をめくる手が止まらず、どこで休憩しようか迷った程だった。

    寂聴氏は「男はせいぜいこの程度よ、という紫式部の声が聞こえてくる」と解説で書いているが、私には「あるよね~、そういうこと」という女房達の声が聞こえてきた。

    そんな昔の物語を、こんなに生き生きとした文章で読むことができることに感謝しなければならない。他の訳本が進まなかった私にとって、寂聴氏の源氏物語は、抜きんでた名訳であった。話も面白いし、読みやすいし、是非色々な人に手にとって欲しい本である。

  • 巻一に記載

  • 半年がかりでの全巻読了!
    今までの源氏物語とは違う宇治十帖。
    光源氏は恋愛に関しては何をも恐れなかった。しかしその孫の代である匂宮、名義上息子である薫の君は違う。どちらも浮船を遊び道具としかとらえておらず、匂宮は姉女一宮の女房にでもすればいいとしか考えていないし、薫も妻にしようなどという気は毛頭なく都合よく逢瀬を遂げられる気軽な女だと思っている。はたして光君が見たらなんというだろう…。

    最初、浮船自身は都合よく遊ばれていることに気付かなかったが、尼となってからの彼女は強い。遊ばれたりなんてするもんか!という強い決意が見え、結局紫式部は何を伝えたかったのかがはっきりと分かる。

    しばらくはこの大作を読み終えた余韻に浸っておきたいと思います。

  • 2007年10月21日購入。
    2015年10月28日読了。

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