空の境界(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.84
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本棚登録 : 2929
感想 : 204
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758925

作品紹介・あらすじ

二年間の昏睡から目覚めた両儀式が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を視ることのできる"直死の魔眼"。式のナイフに映る日常の世界は、非日常の世界と溶け合って存在している…!もはや伝説となった同人小説から出発し、"新伝綺"ムーブメントを打ち立てた歴史的傑作-。

感想・レビュー・書評

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  • まだまだ物語は始まったばかり。
    それにしても、めちゃくちゃかっこいい!

  • 中二病を楽しむ小説

    目次
    <blockquote>「第一章 俯瞰風景」
    「第二章 殺人考察(前)」
    「第三章 痛覚残留」
    </blockquote>
    小説にビジネス本のアプローチは野暮だなと思ったので、マンガに似た、一言感想文で終わらせようと思います。

    まず、章ごとに内容がぜんぜん違います。時系列は完全にバラバラです。そして、一つの章で語られる話の流れも、訳がわからないまま一気に最後まで行ってしまいます。その上、微妙にボカされていて、スッキリしない感じがします。完全に伏線を回収しきらず、微妙に「To Be Continued」となる終わり方です。

    その上、主要な登場人物の中では一言二言で全て理解し、具体的に行動に移りますが、当然読者や主人公の彼は置いてけぼりになります。「独善的な」文体と、「やさしくない」物語の流れでしょう。

    ただ、その無茶苦茶な構成が中二病と言われる人達にとっての身近な有り様なので高評価になっているレビューもあります。逆に常識的かつ生真面目かつ中二病らの独特な文化についての理解、認識が全くない人にとっては、何がいいのか全く分からない、低評価を下しがちな作品です。

    こういった作品は、そういった嗜好性において極端な、かつ非常に限られた人達向けの小説、ということができるんじゃないでしょうか。ただ、それ以外には愉しむのではなく、こういった作品に対して「理解する」為に向き合うのならいいんじゃ無いでしょうか。
    前も述べたように、なかなか小説としては異文化の領域です。どことなく猟奇的であり、そして物語のコアを理解する事が難しい点では、異色のミステリーであると言えます。

    解説ではそのモチーフとしてのオカルト性から、「伝奇小説」としています。
    ただ、ライトノベルのような感じもする。

  • 新伝綺、とかよくわからない銘がついている。伝奇というのはヘンな事を頑張って伝えることらしい。新伝綺はそこに美しく伝えるという意味も込めたかったのかな。内容は厨二。中下巻どうしよう。

  • 再読。
    かっこいい厨二的な文体だけではなくしっかりとしたメッセージ性もあり、その本質は人間讃歌。

  • A

  • まほよより橙子さんが大人に感じる。青子さんとの関わりが無いからかもしれない。
    けっこう、家族との描写というのは幼さを感じさせるのかなって思った。

  • BOOK・OFFの2100円分クーポンを使い切ろうと本棚を物色していたところ全巻見つけ購入。
    奈須きのこさんが原作のFateシリーズなどはアニメを見ていたが、小説を読むのは初めてだった。
    俯瞰風景の冒頭から始まり、時系列はまばらに展開されていく形。あまり長くない、潔い文の一つ一つに、この物語の世界観が詰めこまれている気がする。次巻が楽しみ。

  • 上下持ってる

  • いただいた本。
    解説を読んでやはりと思った。コミケで出していた。こういうキャラクター、ストーリー好きそうだもの。しかし最初に飛んでいる人は何もの?連続殺人の犯人は織?

  • 厨二病のカッコ良さの純度を高めたような作品。
    ワケガワカラナイヨ、も含めて楽しむ作品だと思う。
    主人(?)のコクトーが可愛らしいのがまた面白い。

  • ZEROを読んでFGOをやってエルメロイII世を読んでる程度の知識で、さすがにそろそろ読まないとまずいかなと思い、読み始めた。初きのこ。
    とにかく上巻では今のところサーヴァントとかも出てこないし(それはそうか)、二重人格とか超能力として異能が片付けられるので、「なんだ…なんなんだこのジャンルは…」とだいぶ混乱している。
    救いとしては黒桐が可愛らしい。でも倫理的にはだいぶアウトな人だろうなと予感している。
    独特の切り口で予想がつかないところから飛び道具みたいな異能や設定が飛んでくるのでなかなか物騒だ。
    ブルゾンにどうやって袂入れてるのか気になる。

  • なんだろう。良い中二病というか、不思議な感覚がする本。2001年、確かに彼の本は書店に並んでいたような記憶がある。ただ、当時は何か青臭い気がして読めなかった。今となっては形月の影響ですごく神格化されているけど、ちゃんと読むとあのとき流行った理由も頷けるというか。なんか、オカルトっぽいものの下地があったんだよね。千と千尋も流行ったし、私は小学生で、学校でインターネットも見れるようになったんだけど、ネット黎明期を知ってる今の30代ぐらいの人にはけっこうヒットしたのかなという印象。作品の細部の表現とかはそんなにめちゃくちゃ好みでもないんだけどね。確かに年配の人は好きそう。

  • 10年くらい前にアニメを見て、人物達の会話が難解で何を言ってるのかさっぱりわからん状態でした。どんな話だったかもろくに覚えていない。とにかく絵が綺麗でアクションもかっこよくて夜、街の描写が鮮烈でスタイリッシュだったという印象が残っていた。今回初めて小説を読んでみてアニメの演出は素晴らしくきっと最適解だったんだなと思った。原作を読んで付け加えると、雨と血の描写も良い。こんな話だったんだ~とやっとわかった。
    藤乃の殺人動機の種明かしだけでも読む価値があったというもの。先の展開が想像できなくて気になります。

  • ※電書(合本)

  • 4.8

  • 19歳の黒桐幹也(こくとう・みきや)は、魔術師の蒼崎橙子(あおざき・とうこ)の事務所で働いています。彼は、2年前に交通事故に遭って以来、記憶をうしなった両儀式(りょうぎ・しき)という少女のことを気にかけており、彼女が昏睡状態にあったときにも彼女のもとをくり返し訪れていました。式の心には、「識」と呼ばれる別人格が宿っており、識の殺人衝動を内に抱え込んでいます。彼らを中心にして巻き起こる、不思議な出来事の謎をえがいた物語です。

    上巻では、ビルからの飛び降り自殺が相次いで起こる事件や、不良少年たちに襲われた少女の復讐劇などがあつかわれています。

    世界観も文体も、甲田学人の作品などの比較的硬派なライトノベルに近いものを感じます。下巻の「解説」を担当している笠井潔が、本作がオカルト的な設定を借りながらも、卑俗な現実世界を越えたところに真の世界ないし真の私を求める理想主義的な「観念的倒錯」を反転させて世俗の論理への還帰を志向していることを指摘しています。笠井も『ヴァンパイヤー戦争』などの伝奇小説を執筆しており、本作の著者が大きな影響を受けた作家だけに、現代的な伝奇小説のありかたを的確にとらえた評価だと感じました。

  • 再読。感想は下巻を読み終わってから。

  • アニメより原作の方が好きかもしれない。アニメは再放送の編集版だったからかもしれないけど。浅上藤乃の生い立ち、こんな言葉で片付けきれないけど、悲しすぎる。

  • 空の境界
    令和1年6月11日
    空の境界と言う物語の良さが私にはわからなかった。
    所謂、同人小説の中で話題になっていたらしいものの、流行や流行りに疎い私としては、まるで全く刹那的な衝動感を現実的に感じるポストモダンの後裔と言うものがさっぱり理解できなかった。

    本作の熱心なファンには失礼な話で有るものの、タイトルの名前からして「からの境界」ではなく、「そらの境界」と思っていたほどで、ライトノベル的な青春的な響きを持つタイトルなのだなと、思っていたぐらい。

    ポストモダンの後裔で、尚且つ刹那的な衝動感を現実的に感じる様な肉薄感を文字として読む事が出来たとしても刹那的な衝動感を現実的に感じる事が分からなかったのだ。

    ポストモダンの後裔の新作家らによる作品群は「起点と結論が一致しない純文学として如何に物事が空思想であるのか?文体として読ませる立場」にあるものの、現代純文学自体が衰退し、ポストモダンが高齢化したまま勝手に空転し続けたままで、そこから先が全くなかったという時に、本作の熱心な読者にとっては都市の中での衝動的・刹那的な空虚な観念の倒錯を是とする様な新しい小説は肌身に感じる様に熱狂的に迎え入れられたであろう。

    剣道の型で日本刀が乱舞する世界に在っては、本作の主人公・両儀式が持つ高々knife程度に己を託す矮小さを恥じて、ちっぽけな存在の決してちっぽけでは無い自分自身の狂気を表わしたのだろうと思うと、それが合う人にとってはとても肌身に感じてマッチングをするのであろうと思うとき、都市の中で孤立した街露を彷徨う青少年(FtM・MtFやminority)の刹那的な気持ちが描かれている様に思える。

    ポストモダンの空虚さと言うものが、ぐっと身近に肌身に感じられる様な反動が来ていたのではないかとする時に、本作をreal timeで読んでいた愛読者は、矢張りポストモダンの立ち位置に懐疑的でもっと強い瞬発的な意思を持っていたのだろうと思う。

    拙い表現では上手く、言い表わす事の出来ない、空虚さと刹那的な衝動感を肌身に染みて文字に表わしたものである時に、読後年数が経って物事を俯瞰して考えられるようになってから初めて読後の後味を噛み締めている様なものであった。

    ライトノベル・ジュブナイル小説の体をとってはいるものの、文学史の中で行き詰ったポストモダンの立ち位置をもう一度、都市の中での孤独で単立化した自分自身を再自覚させる比較的高齢の大人の読み物である時に、本作の良さが分からなかったのは、その当時に懐古調の三島文学を読んでいたからなのかもしれない。

    「張りつめた様なリアルな空気感の現代文学」と言うものと「古典調の文学」との間には、時間と言う隔絶した壁の様なものがあって、「同人世界における共同幻想の維持」と言うものに疎かった私には、ポストモダンの後裔のその先の作者らの提唱する空思想の別文体化のそれの何処が良いのかまるで全く理解できなかった。

    都市の中で人知れず孤独に抱える人間の持つ獣性を今一度取り戻そうとした野心的な試みがポストモダンの後裔のその先である時に於いて、古典調の文学読者らとは別に現代文学の先端は別に新しい世界観を模索する為にもがいていたのだと思う。

    だからこそ、都市部の中で狂気を託する凶器は「高々knife一本」であるし、「万能なほどにknife一本に己自身を託さねばならない、追い詰められたような状況の時」に「真に肉薄して如何に物事が空であるのか?」と言う事を文体によって表現しようとしたものであるように思える。

    純文学ほど「中身が無い」と言われるのは、私達が物語調・古典調の文学に親しんできたからであって、純文学ほど空思想を別文体で表す事が出来るか?と言う課題と向き合わされている事に気が付くと、幾ら純文学と言われる様な物を読んでも肝心な中身が無い事を文章で表わしているだけのものであるので、全く以て物語の起承の帰結が無いままに中途半端に終わってしまうという事を理解できずに小説と言うムダ金を使ってしまう。

    ちっぽけなknife程度の鋭さが哀れでしかならない。
    そして、それこそが紛れも無い矮小な私達の存在そのものである時に、そのちっぽけなknifeが未来を開闢する僅かな希望でしかない。

    雑多な繁華街の露頭で猥雑な小さな情報の一つの様なものでしかない時に、それが「たかが小説、されど小説」と言うものを新しくきらりと光る様に書かれたからこそ、一部の根強いファン層がいるのも分かるというもので、空転し続けるポストモダンが齢老いて醜くなった後に、青少年にとってのrealityを伴って現れたものであるとすると、一部で評価が高いのも理解できるというものである。

    そこに於いては、現実の現実感の無さがより個々人に突き付けられる形で、世界にとっては何でもない私達にとって、世界観の中にとっての何かであると定義付け様としたのでは無いのかと思う時に、本当の面白みが見えてくるのだろうと思える。

  • 現代オカルトファンタジー。一度は奈須先生の文章を読んでみたかったので。殺人狂の式と、それに惚れている黒桐が中心に話が進む。霊、魔術、超能力とオカルトめいた話と、人格障害、無痛症などのリアルな話が良い配分で、フィクションだが違和感を感じづらい。最初は文章の言い回しが少しくどく感じたが、慣れてくると味になる。上巻を読んでみて、表紙に使われた色のイメージ通りの本だと思った。闇の黒、夜の青、血の赤、そしてナイフの銀色。たぶんこの巻は登場人物の顔見せに過ぎないのだろう。次巻が気になる。

  • いわゆるラノベというよりは、アクやクセが少なくて読みやすい。ウンチクを散りばめつつ、描写もキャラのお芝居もかっこつけてるなぁという感じはする。
    文章がくどいと感じたところがいくつか。物語は楽しくはないし読後感も良くはない。しかし、さくさく読める。中、下巻も入手したので先も読んでみます。

  • 読み方が「からのきょうかい」だとは思わなかった…
    そして長い長編なのかなと思ったら、各一つの事件を巡って展開する短編形式で話が進んでいく感じだった。アニメ向きな感じがする。
    京極夏彦とか西尾維新タイプの、中二的なかっこよさがある文章。詭弁と言葉の歪み方に深さが足りない気がするけれど、後半は勢いがついて面白くなってきた。黒桐くんが、人の良い男の子なのか、頼れる先輩タイプなのか、クールタイプなのか、いまいちキャラが掴めてないので中巻に期待。

  •  Fate/Grand Orderというソーシャルゲームにてコラボがおこなわれていたので、そこから興味を持って購入、読破しました。Fate/Unlimited Blade Worksのときと似ているw あのときもdアニメストアで、名前は聞いたことあったなあからの、だったなあ、とぼんやり。
     これが同人誌として出されたもの、というのでびっくりしました。いやね、二次創作ものでいくらか出ているのも知っています。【ひぐらしのなく頃に】とか。わたしはその世代でないのでなんとなくしか知りませんが、だいぶ、凄かったようですね。
     同人誌関係って、ゲームやアニメや漫画ものがやっぱりメインで、小説ものって、ひっそりとそこに在る、みたいな感じで、ブワーッ、と盛り上がるというか、そんな感じではない、っていう、そんなイメージだったのです。一時期そっち関係にハマっていた時分としては、二次創作の小説も少しはあったけれどもやはり多くはなかったなあ、という。
     ライトノベル、とも言えるし、そうでない、とも言える。ライトノベルの定義はイラストが挿絵として多いとかでしたっけ。そうならばこれは挿絵はあまりないですし、萌えとかそういうものがそこかしこに散らばされているわけでもない。ただ人が死に、人が生き、血が舞い、体が伏す。

     二重人格で、殺したがりで、中性的な美しい人間で、着物と赤い革のジャケットを着こなす。
     そんな“両儀 式(りょうぎ しき)”。
     式に振り回され、師匠に振り回され、なにがしかを調べるにあたっては右に出る者がいない、悪も善もない一般市民。
     そんな“黒桐 幹也(こくとう みきや)”。
     そういった二人の青春物語であり、恋愛物語であり、人生。

  • 無痛症の原因がインドメタシンの投与のし過ぎ、というのがキャッチーで面白いな、と思った。
    肩こりの薬とかに入ってるやつ。

  •  やだ、確かになんだかかっこいい。
     解説の綾辻行人氏の語るとおり、なんだか正統派に格好いいのに一筋縄ではいかない物語、という印象。遠い昔に読んだかもしれないのだが、恐らくそのときより楽しく読めている。たぶん、この文体に慣れたからだろう。

  • (上中下共通)
    割合淡々としたしゃべり口と、衒学趣味豊かな内容が良かったです。
    ジャンル的にはラノベなんだろうけど、もう少し普通小説に近い感じ。
    独特な魔術論とか、ちょっとした推理要素とかも愉しめましたね。
    分量多めに見えるけど、テンポが良いので長さを感じることもありませんでした。
    ちょっと、物語内の時間があっちこっちするので、登場人物が持っている知識のないようについては注意は必要ですね。
    オチもすっきりする感じで好み。

  • アニメーション版既視聴。でないと、読みにくかったかもしれない。登場人物、物語の背景、展開の概要は共通しているので、却ってアニメーション版の補完になった感がある。これぞまさにダークファンタジー。そして、ロジックで読んではいけない。感覚を研ぎ澄まして読んだ方が楽しめる作品。◆全3巻中の第1巻。

  • 直死の魔眼を持った少女とそれを見守る(?)青年の話。アニメを見てからのほうが流れがわかりやすいかなあとは思う、時系列が入れ替わっているので多少わかりにくい。
    話のメッセージ性が高いというよりは(まああるのだが)かっこいい、という感想のほうが先に出る。

  • まだ全体像は見えないが、特殊な能力を備えた者の闘いが描かれていくのだろう。式と幹也が今後どう交錯していくのか。過去に何があったのか。
    独特の文体、世界観。次々と登場人物の間で視点が移っていく。読みやすわけでもないのだが、いつの間にか引き込まれ、ほぼ一気に読み終えた。

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著者プロフィール

ゲームシナリオライター・小説家。ノーツ所属。シナリオを手がけた主なゲームに『月姫』『Fate/stay night』『Fate/hollow ataraxia』など。小説作品には『空の境界』『DDD』『月の珊瑚』などがある。

「2022年 『空の境界 the Garden of sinners(11)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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