- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062760324
感想・レビュー・書評
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水車館の過去の惨劇,死と消失と絵画盗難。現在と過去の事件がリンク。主語の違いから仮面の下を怪しむが,真相解明までには至らず。不気味な結末の余韻に浸る。
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これぞミステリ、これぞ推理小説。
さすが本格派。面白かった。
クラシックな設定(山奥の古い館、仮面の主人、深窓の美少女に執事etc)を現代(80年代)の日本にうまく落とし込んでいる。
トリック自体は割と早い段階で予想していた通りだった。(直観でそう思っただけで論理的に解いたわけではないけど)なのであっと驚く奇想天外というほどでは無かったけど、ページを捲る指を止められない程に楽しめた。
ただ、13年前の事故についてはもっと深さがあるのかと思ったな。
館シリーズ、2作読了。次は『迷路館』だ。 -
館シリーズの3作目。今回も犯人を見つけられなかった。この作品に出てくる島田さんに負けました。
読みはじめから設定が凄いです。また、設定は面白く、微妙に怖い感じがして、水車館に自分も閉じ込められていると思ってしまいます。
トリックとしては難しいものではなかったのですが、島田さんの鋭い読みが、このお話のスピードをあげ、高揚感をあげ、そして真相に迫っていくというのが読後に残っています。このような感じなので、中盤以降が面白いため、話の始まり部分も面白いと言い切れない部分もありました。一章ずつ現在と過去が入れ替わるのが影響しているのかもしれないです。
すべてが面白いといえるわけではなかったとしても、それでも綾辻さんの作品はなぜか最後までドキドキしながら読めます。読んだ館シリーズ3作は、どれもちょっと怖い感じを忍ばせているのが好きです。 -
まさかの結末…でした。そうくるの?…と。色々と伏線はあったもののまずはそれに気づけるかどうか、それを重要な問題として認識できるかどうかです…できませんが笑 最後は真相究明でスッキリ✨と言いたいところでしたが、一つ大きな謎が残ったかな?と。
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すべての本格ミステリの源流はここにあったのか〜巻末の有栖川先生の評の通り、「綾辻以降」の意味を真に知らしめたのは今作あってのものだったのかな、と当時を想像するなどしました。
いやそうなんですよ、これ35年前の作品なんですよね…嘘でしょ…
今でこそよく見る(王道の?)トリックも、これが原点(原典・聖典)だったのだなと何やら感慨深いものが。
十角館が「一行で全てをひっくり返す」作品ならば今作は「全頁かけて全てをひっくり返す」作品、十角館が「島と本土」なら今作は「過去と現在」…
デビュー作が最強の傑作だけに、絶対に比較されるであろうプレッシャーも凄まじかったものと想像しますが、その穿った目を軽やかに乗り越えてくる圧倒的なトリック・構成力・筆力。大ファンになってしまいました。
何より、やっぱり今作はラストが本当に味わい深い。
これ以降のシリーズも読みながら感じたことですが、館シリーズには「彼岸と此岸」の奥行き・幻想・そして切なさが込められている…だから単にトリックに驚くだけでなく(トリック単品でもすさまじいのですが)それを更に深い味わいとするような、唯一無二の世界観があるのだなと。
最終作の双子館を執筆開始されたとのことで、その出版までには全作読破して追いつきたい!
【余談】
十角館の殺人はけっこう前に読んでいて、これはミステリ界の金字塔〜!と感服していたのですが、その後の館シリーズを読みたい読みたいと思いながら手を出せずにおりました。
その理由(予感?)は「一度手を出したら抜け出せなくなりそう」だったのですが、見事的中して、水車館〜時計館まで、2日間で約1500ページを一気に読むことになったのでした…w
霧越邸も読みたいし黒猫館、そして暗黒館にも挑みたい〜〜時間が足りないけど読み切ってしまうのも勿体ない気がする〜〜と贅沢な悩みを抱える日々です。
アヤツジストへの道、第一歩。 -
新本格ミステリの金字塔、綾辻行人の「館シリーズ」新装改訂版の2作目。仮面を常にかぶった館の主、美しくも儚い印象の館の主の妻、そして「嵐の山荘」と、これ以上ないほど本格ミステリらしい本格ミステリになっています。
本格ミステリを読みなれている人なら、トリックや犯人は読み始める前からなんとなく予想できそうですが、過去と現在、二つのエピソードで起こる計4つの殺人事件と、人間消失の謎、それぞれに、様々なトリックや仕掛けがあり、そのすべてをまとめ上げて事件を解決まで導く技巧は、見事という他ない。
本格ミステリが社会派ミステリに押され、風前の灯となっていたときに、十角館で衝撃的なデビューを果たした綾辻さんが、二作目にまさに王道中の王道を往くこうした本格ミステリを発表したなら、当時の本格ミステリファンは、狂喜しただろうなと自然と思います。
作品としてはロジックと作者の技巧が光る作品ではあるのだけど、所々でのオカルトチックで妖しげな雰囲気もまた好み。綾辻さんは館シリーズ以外でも時に本格ミステリの中に、不可思議で妖しげなモチーフが使われることがあるけど、その綾辻さんの本格ミステリの色が初期の作品から出ていたのだな、と思います。
後は有栖川有栖さんの解説も見ものかも。綾辻さんと同じく新本格ミステリの代表的な作家で、共同で脚本の仕事をするなど、単に仲のいい同業者を超えて、仕事上でもかかわりのある盟友。そんな有栖川さんの旧版の解説と、新装改訂版用の解説がWで収録されています。
旧版では有栖川さんの本格ミステリに対する熱がとにかく熱い。有栖川さんって作風や他の作品の解説だと、落ち着いた紳士のイメージが強いのだけど、この解説は若さとエネルギー、そしてある意味当時の本格ミステリの積年の恨み(?)を感じる。
そして新装改訂版でも本格ミステリへの愛はもちろんですが、何より盟友、綾辻行人への友情や尊敬、そして感謝も感じられる解説になっています。
この解説で有栖川さんに興味を持ったら、ぜひ新装版『46番目の密室』も読んで欲しい。この世にまたとない、アンサーソングならぬ綾辻さんによるアンサー解説も楽しめます。
綾辻さんのあとがきや有栖川さんの解説でも触れられているけど、デビュー作の『十角館の殺人』が大技が炸裂するある意味、一発ネタの力が強い作品なので、クラシックな舞台、王道のトリックを組み合わせた本格ミステリの『水車館の殺人』はそれとはやや毛色が異なるかもしれない。
それでも水車館が十角館と同じく快哉をもって迎えられたことこそが、今の本格ミステリの道筋が作られた瞬間といってもいいのではないかと思います。
日本の本格ミステリの新たな夜明けが十角館なら、それに道筋をつけたのが水車館と言えそう。王道の舞台環境、そしてトリックは綾辻さんの本格ミステリへのオマージュでもあり、そして日本の本格ミステリの、新たなスタートを告げるものだったようにも感じてしまいます。 -
十角館に引き続き最初からしっかり再読。
久しぶりに読むと、こういう時系列で展開してたなぁとか、思ってたより中村青司については書かれていなかったんだぁとか思いつつ、初回よりしっかり読み込めた。同時に、こんなにダイレクトに書いてたのかぁとトリックの大胆さに改めて感心したりした。十角館とは違った驚きがある意味王道なのかな。
読み返すたびに、どうして藤沼一成は幻影群像が描けたんだろうと思う。絵が先か、建物が先か。この不気味さが好きな作品です。 -
出てくる人がややこしく、建物の構造の複雑さにスムーズには読めず。。。
ストーリーに入り切る前に、終わってしまった感が否めない。
どんまい、私。 -
少し前にあまりにも有名な十角館の殺人だけは読んでおこう!と思い立って読んでいたのですが、もうすぐ実写化されると聞いて「どうやってあれを???」という気持ちと「あぁ、あのタイミングで読んでおいて正解だった」という両方の気持ちを今抱いています。
まぁそれはともかくこちらは館シリーズの2作目ですね。
前回の話、例に漏れずあの一言で世界が見事にひっくり返る経験をしたものだから「今回もそんな感じの話なのだろうか?」とワクワクしながら。
今回もまたあの建築家が建てたという不気味な館が舞台となるストーリー。
過去の事故が原因で常に仮面で顔を隠した館の主、外の世界を知らずに育てられた美女、主よりも館の方が大事な執事……などなど色々と癖の強い人間が集まって台風に見舞われる一夜を過ごす。
過去と現在が交互に書かれているのもあって最初は話を飲み込むのに少し混乱したけれど慣れてしまえば大丈夫でしたね。
過去の殺人事件の回想なんかは少しミステリーというよりもホラーの要素が強い気がして怖っ!と思ったりもしましたが……だってホラー映画によくあるじゃんあぁいう展開……。
何となく話の展開的に「こうだろうなぁ」と思いながら読み進めていっていたのですが、まぁ大体当たってたかな?という感じです。
十角館よりは真相が分かりやすい感じでしたね。
あれは本当にあの瞬間まで真相が分からなかったもん……。
ただ最後の最後で明かされる謎だけは解けなかったですね……ていうかあれはどう受け止めればいいの?
オカルト的な?それともこれも今後の作品への布石?いやでもほぼ全てあの館に集まってるって言ってたしなぁ……。
少し世にも奇妙な物語的な雰囲気を持った終わり方だったなぁと。
そして館の主人を想像する度に某有名などこかの一族のあの人を思い出していたのは私だけなのでしょうか。
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前作に続き、島田さんの活躍を見るために。
十角館とはまた違ったアプローチ、過去と現在を
交互に語っていく。
前作ほどではないものの、なるほどさすがと
綾辻さんの作品は面白いです。