子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760508

感想・レビュー・書評

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  • みんな幸せになってほしいな

  • 上質なミステリーでした。一見すると普通の大学生の生活を描きながら、内面を描くことで全く別のことが見えてくる小説です。そこに謎解きが絡んできて、最後まで飽きさせません。

  • この作品は、辻村深月作品の中で一番切なくやるせない、けれど確かにあたたかい物語だと思っている。
    浅葱が『i』を求めて殺人を犯したことも、月子と狐塚が恋人だと勘違いし続けていたことも、浅葱と月子は互いに想い合っていたのに致命的にすれ違ってしまっていたことも、月子の記憶が失われてしまったことも、すべてがもどかしく、悲しい。
    どこかで何かが違っていたら、こんな結末にはならなかっただろうに、と思えてしまう。けれど、そうやってどれだけ落ち込んだところで、結末は変わらないのだ。
    最後の「月子と恭司」の章が大好き。すごいな、恭司。お前、本当、でたらめにすごい。この物語のエピローグは、切ないけれど、同時に希望もある終幕だった。浅葱は月子の手に触れることができた。ひとときではあったけれど、月子のあたたかい手は、浅葱をたしかに掴んだ。その描写があったから、私はこの作品にあたたかさを感じることができるのだろうと思う。

  • 上巻に続いて下巻も一気読みしてしまいました。結論から言うとiの正体はもしかして…と想像していた範囲内でした。もっとすごい何かがあると期待し過ぎでしまったのかも。私的に下巻で1番盛り上がったのは浅葱と月子が対峙する場面からの展開です。浅葱の月子への思いが切ない。iが最後に課した条件は『狐』。浅葱としても期せずしてゲー厶クリアとなったけれど、この結果はあまりにも切な過ぎます。そして月子の命をかけた行動には、月子も同じ気持ちだったんだ…と。恭司がもっと関わってくるのかな…と思っていたけどそこは空振りに終わりました。でも最後に存在感を残していましたね。上下巻ボリュームあったけどたのしめました。

  • 下巻まで読み終えてみると、深い穴のような虚無感と小窓から差し込んだ光みたいな希望に、涙しました。

    木村浅葱を筆頭に、全キャラを好きになれました。それはもちろん、かっこいいやかわいいだけじゃなく、本当に心から愛おしいという深い愛情から来る好きです。

    今回で上巻に張られていた伏線すべてが回収されます。謎が解けた、という爽快感とともに、え…という絶望感が味わえます。

    そして何よりエピローグです。
    恭司がでたらめにかっこいいエピローグです。
    そして、「彼」の言葉があまりに儚いエピローグです。

    「不幸にならないで」

    この言葉には胸を打たれ、鼻の奥がつんと痛くなって、気づけば号泣していました笑

    私が今まで読んできた限りで、これほど秀逸なエピローグはあまりないと思います。

    グロ描写と性描写がまあまあきつく、人を選ぶ作品ですが、自信を持っておすすめします。
    これは最高の物語です。

  • これは「愛」のお話なんだと読み終わってから気づいた。登場人物の誰もが"愛"を求めて生きてる。
    最後の展開はちょっと納得できなかったなぁ〜。これまで生きてて二重人格の人を見たことも聞いたこともなかったから自分の中に相反する人格を持つ1人の浅葱が犯行を起こしたって少し都合よくないか?と思う。浅葱がθってことは気づいたけどiは本当に木村藍だと思ってたから裏切られた。結局愛に囚われた結果のことで自業自得って言葉が1番しっくりくる。紫乃ちゃんも月子のことが好きだったからこそ歪んだ関係になってしまって取り返しのつかないことになったのが可哀想。
    最後に恭司のフリをして浅葱が月子に会いに行ったのは好きな終わり方だった。浅葱が今まで月ちゃんって呼ぶことがなかったから恭司のフリをするためだったとしても本当はそう呼びたかったのかなって考えたら苦しくなる。この先絶対に結ばれることのない2人だからこそ余計に。
    "人間には大好きで泣かせたくない存在が必要"
    誰でも1人では生きていけないし、止めてくれる人、止めたい人が必要なんだと思った。
    最後まで恭司が怪しいと思ってたけど結果的にどうなった??浅葱から電話がかかってきて恭司が何を言ったのかが気になる。

  • すごく惹き込まれる話で、面白かった。辻村さんらしいミスリードと、後半の伏線回収に、今回も騙された。
    でも、登場人物達のキャラクターと、歪な人間関係が、いまひとつ好きになりきれない。月子と紫乃の関係性が、救いのないまま終わってしまったことが残念。
    狐塚と浅葱の関係も悪くないけど、浅葱のアメリカ行きが決まった後、浅葱が狐塚に謝るところがなんだか自己満足のようでちょっと嫌だ。
    月子の母子関係が、呼び方のせいなのかもしれないけれど、血の繋がった母子に見えないのは私だけだろうか。

    先に僕のメジャースプーンを読んでいたので、秋山先生の話はこれだったんだと納得。これを踏まえて再読したい。

  • 浅葱恐るべし・・・。

  • ゲームの進行に徐々に追い込まれていく浅葱だが、iは無慈悲に追い込みながらゲームを続けていく。そして浅葱は残酷な決断を迫られていく。

    ミステリーのネタとしてはそこまで驚くべきものではなく、読んでいてある程度予想できていましたが、やはり筆者の文章力、表現力はすごい、と思わされた作品です。
    上巻では説明的な文章も多く、テンポが遅かった印象ですが、下巻では浅葱が徐々に追い込まれていく様子がものすごく緊張感に溢れていて、月子とその友人たちとの微妙な人間関係の描き方もしっかりと、そして何よりも第九章の浅葱の心理描写の迫真さは読んでいるこちら側も苦しくなってくるほどでした。
    ゲーム後の展開はとにかく切ない...。だれも悪い人はいないのになぜこうならざるを得なかったのか、人間の難しさ、運命の皮肉さについていろいろと思わされました。

  • そうか…

    忘れることで救われるときもある
    忘却は悪ではなく防衛だ

    秋先生、やっぱり好きです。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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