子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.06
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本棚登録 : 9597
感想 : 849
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760508

作品紹介・あらすじ

交わることのない、人の想い。切ない終わりがやってくる。「浅葱、もう少しで会える」『i』は冷酷に2人のゲームを進めていく。浅葱は狐塚や月子を傷つけることに苦しみながら、兄との再会のためにまた、人を殺さなければならない――。一方通行の片思いが目覚めさせた殺人鬼『i』の正体が明らかになる。大人になりきれない彼らを待つ、あまりに残酷な結末とは。(講談社文庫)

感想・レビュー・書評

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  • やばい。この中の登場人物の浅葱が好きすぎる!完全に好みの作品でした。気づいたら感情移入していて気づいたら物語が終わってしまっていた。辻村深月さんの作品は他の本に違う話の登場人物が紛れ込んでいるということがあるらしいので他の本に浅葱が出ていたらいいなと思います!

  • 途中あれ?と思う様な描写や謎だったりが、後半に向かって回収されてゆく展開は圧巻。殺人ゲームという猟奇的な題材と一転二転するストーリーが、ミステリとして終盤までハラハラして楽しめた。
    ただ、多重人格オチだけは個人的好みじゃないので星−1。

  • 殺人ゲームの果ての章。
    数々の殺人を犯し精神的にズタズタになってしまった木村浅葱のその後。
    関係する各登場人物。明らかになった孤塚と月子の意外な関係。
    そして月子は…。
    辛い気持ちになりながらも読むページが止まらない。
    そんな作品でした。
    結末は…。ゲームの犠牲になった人達の事を考えると、少しないかなと。

  • 流石の辻村さんでした。
    上巻で何度も匂わされる全く同一の見た目の双子の存在。恐らくそういうことという一つの結末は思った通りでした。

    上巻でグロテスクな世界に辟易されられて、下巻になっても結局はこれだけのことかと消化試合のようなページ捲りをしていましたが、これが甘かったです。辻村さんがその程度の作品を送り出すはずがなく、最後の最後に物凄い跳躍を見せてくれました。ググッと一つ上のエンディングへ向かって飛躍する瞬間。額から汗が吹き出す一方で、ぶるっと、全身に鳥肌が立つ感覚が襲ってきました。狂気に打ち勝った世界がそこにありました。ああ、人ってみんな優しいんだなと。

    なんだかあれだけグロテスク極まりない忌々しい存在だった上巻が意識の中からすっかり消し飛んでしまいました。なんだったのかなぁと。

    上巻で投げ出さずに下巻を読み終えた者への辻村さんからのご褒美。ありがたくいただきました。

    これは忘れられない。

  •  上下巻の感想

     この作品も心に深く響いた。長編だけど一気読みしてしまった。それだけのめり込めた。辻村深月の作品をもっと読みたくなってしまうのは私だけではないはずだと思いたい。

     物語は泣きたいくらい悲しく切ないものだった。だけど、素敵なメッセージの数々に救われた。

     「人間てのは、大好きな人が最低一人は絶対に必要で、それを巻き込んでいないと駄目なんだ。そうでないと、歯止めがかからない」このフレーズが本当に素敵だと思った。

  • やられた。
    辻村作品を読むときは絶対に騙されないように、特に『名前』に気を付けて読むのに、やられた。
    呼び名や名前から受ける固定観念的印象、いつもの手なのに毎回引っ掛かってしまう。

    上巻があまりに暗かったので、どうかお願いします、そんな気分で読み始めた。
    帯や裏表紙に書いてある言葉があまりに残酷だったので、嫌な予感しかしなかったのだ。

    でも、さすがは辻村さん。
    凍りのくじら、でも思ったけれど、辻村さんは深い深い闇に登場人物を陥れておきながら、たった一言でそこにスポットライトを当ててみせる。
    一言で救ってみせるのだ。

    ただ、一言で救われるということは、受け身の形では絶対に成り立たないだろう。
    長い物語を通して、成長したからこそ、成長して自分が求めるものを知ったからこそ、ただ一言だけで救われることができるのだ。

    悲劇的なラストに温かな光が差し込む。
    それは月の光のごとく深い夜を照らしてみせる。

    面白かったです。

  • 殺人ゲームが比喩であり希望のメッセージがあると言われても、あれだけ大切な人が死んでいる中、それは厳しいのではないかと感じてしまいました。
    また、願わくばiは私だったんだよと別の展開があった方が私的には良かったです。

    登場人物である狐塚孝太の自分を認め、それでも努力し続ける姿勢は難しいですが見習いたいです。

    「そのたまたまを才能と呼ぶんだから、それでいいんだよ」

  • 事件のことが重たくって、
    読むのが辛かったけれど、
    下巻も一気に読んでしまった。
    上巻は時系列も把握しづらかったけれど。

    カップルであることに違和感は持ちつつも
    兄妹ってことには気づかず、
    うまく騙された。
    月子の苗字は出てきてなかったのに、
    全く疑問も持ってなかった。

    「ぼくのメジャースプーン」
    より本作を先に読むべきとあったけれど、
    私はメジャースプーンが先でも良かったと思う。
    メジャースプーンでの秋先生が好きだったから、
    言葉遣いに違和感はあったけど。
    月子も本作では料理下手ではなかったし。
    秋先生の力を分かった上で読んで良かったと思う。

    どんな人にも心の支えって必要だよね。
    苦しい時は当然なにかにすがりたくなるし、
    うまくいっているときだって、
    それがあればもっと頑張れたり、
    励みになる。

  • どうして彼女(辻村深月)の作品からは、こんなにも愛を感じられるのでしょうか。
    とても残酷で、悲しくて、切なくて、けしてハッピーエンドではないのに胸が熱くなるこの読後感。
    しかも後半のどんでん返し。またしてもやられた感がハンパなく、違和感がありながらも気持ち良く騙されていました。その反動で切なさ倍増で涙が止まらず…。
    ラストは浦沢直樹の『モンスター』の様だな〜と思いました。

    • vilureefさん
      はじめまして♪

      フォロー&花丸ありがとうございます。
      辻村さんの本は今までに一冊しか読んだことがありません。
      是非読んでみたいと思...
      はじめまして♪

      フォロー&花丸ありがとうございます。
      辻村さんの本は今までに一冊しか読んだことがありません。
      是非読んでみたいと思っているのですが後回しになってしまって・・・(^_^;)
      でもフーミンさんのレビューを見たら読みたくなりました。

      最近、読書もちょっと停滞気味でなかなかレビューがアップできませんが、みなさんのレビューはマメに覗いております。
      これからもよろしくお願いします(^_-)-☆
      2014/06/05
    • フーミンさん
      はじめましてvilureefさん。
      こちらこそ花丸&フォローありがとうございます。
      私もブクログでのレビューを通して初めて辻村さんを知っ...
      はじめましてvilureefさん。
      こちらこそ花丸&フォローありがとうございます。
      私もブクログでのレビューを通して初めて辻村さんを知ったので、これから彼女の作品を追いかけていきますが今のところハズレなしな感じです。今までいかに視野が狭かったのかを痛感して、これから色々な作品に触れたいと思っている所です。
      vilureefさんのレビューはとても引き込まれるものが多く、是非参考にさせてもらいます♪
      こちらこそよろしくお願いします☆
      2014/06/05
    • akitukiyukaさん
      コメント&花丸ありがとうございます。
      せっかく褒めていただけた考察は、どちらかというと勘に近いです(笑)なので申し訳ない気がしつつ、うれし...
      コメント&花丸ありがとうございます。
      せっかく褒めていただけた考察は、どちらかというと勘に近いです(笑)なので申し訳ない気がしつつ、うれしかったです。
      最後の上原愛のところは成る程!となりました。辻村さんの構成の勝利ですね。
      フーミンさんのレビューはあたたかいいいレビューですね。
      私も浦沢さんのモンスターを思い出しました。あのラストも私は大好きです。
      2014/06/06
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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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