好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760812

作品紹介・あらすじ

愛は祈りだ。僕は祈る。僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。最大の幸福が空から皆に降り注ぐといい。「恋愛」と「小説」をめぐる恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 確か「阿修羅ガール」以来
    (内容は忘れている)

    一條次郎さんが話を進めるにつれて加速させるヤツ
    小山田浩子さんがじわじわ貯めて最後にゾッとしたものを置いてくような感じとすると、
    舞城王太郎さんの作品は、冒頭から飲み物のようにドドドドドドと流れ込んでイメージを連鎖させてくる。
    そしてガムみたいに噛むほど味がなくなってはまた別の味がして来てといった妙な感覚になる。
    「死」「愛」を扱った小説に対する怒りなのかな?と感じ、途中から頭の中での配役を映画版の「世界の中心で愛を叫ぶ」の二人に演じて頂いた。
    なので、良くある余命○○系に対しての読み方や、小説家自身の私事と小説に表現されることのイメージの差とかについても考えさせられた。
    ひたすら軽い表現でスラスラといかれるしそこに「書いたことに対して読者は勝手に記憶と結びつけること」とかについても書かれているため、変に深読みもできないようにしようとしつつ深読みさせたがってるというなんだか終始気まぐれな人と付き合っているような感覚だった。

    不健康な時に読むとダメなタイプの話かもしれない。(酔ってる時に読むとしっくりきた。頭の中でぐるぐるやってることをそのまま流し出したような文体だからだろうか)
    だんだん最後まで来ると怒りを超えてそれら全てすら愛してるようにも見えてくる。

  • 自分が相手にこう思われたい、みたいな自意識で気持ちを覆ってしまってストレートに想いを伝えられなかったりするけど、今好き、好きだから好き、みたいな包み隠さない純度120%の好きを伝えられるのってすごいことだなって思った。
    よく分からないって思う箇所もあったけど、それもそのままでいいのかなって思う。
    今関わりのない人も自分の人生で出会ったことには変わりなくて、その人と出会わなければ自分という人間が今とはちがう形で形成されてただろうな、そういう出会いが自分の中に確実に溶け込んでいるんだろうなって思うと自分の人生が愛おしく思えた。

  • 結構ポップというか軽い文体だけれど、起こっていること、主人公が小説に書くことの周囲との隔絶は結構辛いですね。

    自分の経験を元にしたことって、絶対に説得力が出るし、なにより、だからこそ書き残す意味があるんですよね。

    まあ、自己満足と言われればそれまでなのかもしれませんが…

  • 人を愛することの美しさ、切なさ、儚さがぎゅって詰められた話だった
    愛する誰かを亡くしたことはまだないけど、この前大好きだった人に振られてとんでもない地獄を味わったとき、死別って耐えられないよなって感じたのを思い出した
    でもやっぱり人は生きていくんだなっていうのは共感。どんだけ辛くてもいつかは記憶になってしまう日が来る、それがいいことか悪いことかはわからないし、誰かが決めるようなものでもない

    好きって気持ちって不思議だよなあ
    永遠なんてないって思いつつもそれを信じたいくらい好きと思える人に出会えた奇跡を噛み締めたいし、ずっとそういう恋愛をしたい
    常に好き好き大好き超愛してる!って思えるように胸張って生きよう

  • 石原慎太郎がこのタイトルに対して酷評してたけど笑、読んでみて
    、このタイトルに感激してしまった。もう一度読みたいと思ってるんだけど…。内容は結構ライトで、私小説的…というか小説家としての、あるいはそれより一歩前の、個人としての脳内での様々な気持ちや判断のせめぎ合いが丹念に書かれている感じ。
    このだっさい迷いと、泣きたい思いと、泣いてる自分恥ずかしい馬鹿じゃない、って思ってる自分、ってどうなのっていう、永遠にメタ化されていくような、「ぐちゃぐちゃ」。
    考え出せば出す程ネガティブになっていくようなこれらの問題を前にして、内容としてカタルシスを与えるようなものに仕上げるのではなく、タイトルでここまでポジティブに、強固に言い切ったところに、ぐっときた。ここで例えば「世界の中心で愛を叫」んじゃうことだって出来ると思うんだけど、それじゃだめで、本当
    そんなんじゃだめで、そんな実体のない言葉じゃ駄目で、だけど舞城王太郎のこの浮かれた飛行船のような「好き好き大好き超愛してる。』には、実はものすごい沢山の重石がついていて、下へ下へという力がある。「それでもやはり」という、重力を感じさせる意志の言葉だ。

    だから、いーじゃん、好き好き大好き超愛してて!

    言ってみたいもの、「(色々あるけどそれでもやはり)、好き好き大好き超愛してる。」って。

  • 好きだから生きていて欲しい、君が君じゃなくなっても、どんな形であれ。愛とは時に自分勝手だ。
    正直理解できない箇所がありましたが、20年前の文章ですが新しく感じ不思議でした。

  • 突飛だけど、?がいっぱいだけど、熱心に読んでしまう。

  • 愛とは祈りだ。祈ることしかできないのだ。

  • 恋愛とはそういうものなのだ。
    結果としてどうなったかではなく、ほんの一瞬でも気持ちが通じ合ったかどうかなのだ。

  • テーマは、愛、もしくは人を愛すること。
    多分短編集。
    大抵、死にゆくパートナーか死んでしまったパートナーと対峙する「僕」の話なので、どれもそれなりに重い。
    精神状態が安定してる時に読んだほうがいい(舞城はいつもそうか)。
    どの話も特にオチがないというか解決しないというか答えがないというか、舞城作品にはこれまで感じなかった読後感かも。対峙してる「僕」の心情が吐露されることで、当事者の今を描いてる、のかな。
    舞城王太郎が大切な人を亡くしたのだろうか、とちょっと思ってしまった。

    自分が、大切な人が死にゆく時どんなふうになるか、と考えながら読んだ。

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著者プロフィール

1973年福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』でメフィスト賞を受賞しデビュー。2003年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』など著書多数。2012年『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳、短編映画『BREAK』や短編アニメ『龍の歯医者』『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などを手掛けている。

「2015年 『深夜百太郎 入口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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