治療塔惑星 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062761246
#SF

作品紹介・あらすじ

地球に帰還した「選ばれた者」の朔ちゃんと、残留し「落ちこぼれ」となった私との間に子供・タイくんが生まれた。しかし、地球環境の悪化はさらに進む。世界宗教、宇宙ミドリ蟹、新しい地球、予戒、地球酸素1/4供給機構、向こう側の知性体-著者初のSFである前作『治療塔』をもしのぐ圧倒的スケールの作品。

感想・レビュー・書評

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  • 当初、「治療塔」の存在は秘密とされていたのだが
    帰還者と残留者の和解事業が進む中で漏洩した情報などから
    様々な噂やデマが飛び交うこととなった
    その結果、不法に「新しい地球」へと旅立つ者たちや
    独自の「治療塔」を建設したという者が現れ
    世界に再び混乱がもたらされた

    一方で、実際に「治療塔」を体験した帰還者たちの身体からは
    すでにその効能が失われつつあった
    しかし「治療塔」の分析・再現という基本路線に変更はなく
    スターシップ公社も新たな調査船の派遣を決定した
    そしてそれが「新しい地球」における
    公社側と、不法移民たちとの戦いへと発展していくことになるのだ
    「治療塔」を占拠する不法移民たちは
    その力を用い、やすやすと死ぬこともないゲーム感覚の戦いを楽しんでいた
    つまり「新しい地球」は、メイトリアークの恩寵を受けて
    戦士の楽園ヴァルハラと化していたわけだ
    公社のエリートたちにとっては、まさに悪夢だった

    「治療塔」をめぐる闘いには核兵器まで持ち出され
    悲惨な結果を残した
    だがなおもあきらめない人々は
    「宇宙マーブル・サボテン」から抽出した成分を吸引することで
    別次元宇宙へのアクセスを試みようとする
    「治療塔」のソフトウェア開発のためにどうしてもそれが必要なのだ
    正気と狂気の区別はすでにつかなくなっており
    「古い地球」で夫の帰りを待つリッチャンは
    もはやかつての祖母と同じく、宇宙に漂う人の魂を思う年齢だった

  • えーと。「治療塔」続編です。
    たいていそうですが、続編ってなぜか格落ち・・・

    SF好きの畏友・武満徹のために書かれたそうですが、
    やっぱり少々無理があるのでは・・・大江ファンでない方には敢えてオススメしません。

    大江のSF?!と期待なり懐疑なりしていても、いつも大江節にいつのまにかなってて、あれれ?SFは??と思います、きっと。 ^^;;

    文体も相変わらずです・・・・・

  • 2014.8.22(金)¥220+税。
    2014.8.28(木)。

  • 治療等の続きで、結構すんなり読めた。暗喩的で詩的であり、いい本だと思う。

  • 「治療塔」の続編。

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著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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