火のみち(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.67
  • (27)
  • (30)
  • (43)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 315
感想 : 27
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062761550

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 父や長兄は戦死し、戦後満州から引き揚げ、広島県は呉に辿り着き、母を支えながら生きていく兄弟姉妹4人。長姉は、家族を支えるために身を落とし、主人公の次男・次郎は、小学校にも通えず、家族を支え、妹を助けるために殺人事件を引き起こしてしまう。一家離散となった南部家。次郎は、岡山刑務所で偶然にも備前焼・陶芸と出会う。一方、妹は、施設に預けられ、そののち上京、女優への道を歩むことになる。

  • 大きく変わっていく戦後の昭和を舞台に、過酷な人生を強いられた兄妹の話がすすんでいく。
    殺人という重い罪を背負ったのは兄だけではなく妹も同じだった。赦しを請うが如く陶芸に命を注ぎ込む兄。兄と世間に好評できなくても、陰ながら支える妹。
    兄妹同士、時には理不尽なことがあっても、やっぱり大切な存在であり生きる支えであることが伝わってくる。

  • 戦後から復興期を生きる君子の心、その君子を守るために入ることになった刑務所の中で備前焼に出会い変化していく次郎の心。
    時代背景と共に自然に引き込まれる内容。

  • 陶芸をテーマに描かれた作品。
    上巻では、昭和の戦後の時代を必死で
    生き抜いてきた主人公と、その家族の
    物語が主になっている。

  • 乃南アサ2冊目。この人好きだなぁ。

  • かなり面白かった。
    父親が戦死、
    満州から引き上げるときに、兄弟を次々と亡くし
    母親は心身ともに弱り。
    残された子供たち。

    中学生だった南部次郎は、荒れ狂う日々を送り
    それでも、妹を守るため、家族を守るために必死だったがため。

    ところが、母が亡くなり、
    親切にしてくれた大人がいたと、喜んだのもつかの間、
    12歳の妹を、売れと言うのだ。

    殺人を犯してしまう次郎。
    10年の刑期が始まっても、短期で、どうしようもない「怒り」は、そのまま
    すぐに拘束されてしまい、独房へ。

    姉は、金の工面をするといい、連絡取れず
    弟は行方不明。
    残った妹は、デパート勤務をはじめる。

    その妹にチャンスがめぐってくる。
    女優への道。

    この女優への道が、とてつもなく面白い!
    この次郎が、そんな妹との手紙のやりとりのなかで
    だんだん世間を分かろうとし、勉強をしたいと思い
    刑務所の勤めのなかで「器」を土から作ることをはじめたのがキッカケで
    夢中になることを覚える。

    刑期を終えた次郎が生きる道は・・
    妹が生きる道は・・

    さ!下巻へ!

  • コンビニ購入。
    分厚くてどうかと思ったがなんとなく乃南アサだし、まあハズレはないかと買った。
    最初の数十ページから涙が……
    ていうか、こんなに初盤から“泣き”のセオリー通りのことやってしまってていいのってくらい、王道。このままでこの厚さを支えきれるのか。
    一気に読んでしまう上巻。
    しばらくは手元に置いておく。

著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乃南アサの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×