蓬莱洞の研究 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062761727

作品紹介・あらすじ

高校に入学したばかりの諸星比夏留は、女子ながら古武道"独楽"の達人。吹奏楽部に入るつもりだったのになぜか奇妙な部活に入部し、不思議な事件に出会う。伝奇、ミステリー、ユーモア、そして学園小説が合体した「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会」シリーズが初めての文庫登場。

感想・レビュー・書評

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  • ダジャレとスプラッタという感じ

  • 〇 評価
     サプライズ ★☆☆☆☆
     熱中度   ★☆☆☆☆
     インパクト ★☆☆☆☆
     キャラクター★★☆☆☆
     読後感   ★★★☆☆
     希少価値  ★☆☆☆☆
     総合評価  ★☆☆☆☆

     SF,ファンタジー的な設定を交えたミステリ。子供向け小説というイメージでもある。ミステリとして見れば,「バカミス」になるだろうか。主人公の諸星比夏留は独楽という古武術の達人で,見た目はスレンダーだが220キロの体重の持ち主という設定。少なくともこの設定を面白いと感じる感性がないと,この小説を読んでも全く面白いと感じないだろう。主人公が所属する民俗学研究会が3つの事件に巻き込まれる。民俗学研究会の面々が,また,めちゃくちゃな設定。顧問は,異端の民俗学者。その正体ははっきりしない。部長は,ギャンブルが強い女性でレズ。女性として育てられ,セーラー服を着ている男子生徒や,相撲取りのような男,幽霊部員といった面々。個性的といえば個性的だが,もう一つ魅力に欠ける。
     そして探偵役は,民俗学研究会には入らなかった民俗学研究家でもある保志野春信。諸星が保志野に恋心を抱くという取って付けたような設定もあきれるしかない。
     3つの短編は,ミステリというのもおこがましいバカバカしいはなし。最初の話は,森に大きな貝の生き物(かたつむり?)がいたというオチ。二つ目の話は,森にオオナマケモノがいたというオチ。最後の話は,崇徳上皇の霊を呼び出してしまったがために,崇徳上皇が恨む人物に名前の似ている人物が殺害されるという話。
     荒唐無稽な話であり,全く面白くなかった。子ども向けのミステリのようにも思うが,キャラクターがそれほど魅力的でない上,荒唐無稽な話として読んでも全く面白くないので,子どもが読んでも,面白くないだろう。久々にひどい作品を読んだ。★1で。
    〇 メモ
    〇 登場人物
    〇 諸星比夏留
     ヒロイン。独楽という古武道の継承者
    〇 伊豆宮竜胆
     民俗学研究会の部長。レズ。
    〇 犬塚志乃夫
     民俗学研究会の会員。2年生。女生徒のような恰好をしているが男子生徒
     民俗学研究会の会員。宗教関係に興味がある。
    〇 保志野春信
     民俗学に造詣がある新入生。探偵役。
    〇 美津目徹
     行方不明になった学生の1人
    〇 白壁雪也
     民俗学研究会の会員。時代小説オタク。親が相撲取り。
    〇 浦飯聖一
     民俗学研究会の会員。2年生。自称魔法使い。
    〇 藪田浩三郎
     民俗学研究所の顧問
    〇 蓬莱洞の研究
     蓬莱郷に竜を探しに行くと言って学生が行方不明になる。私立田中喜八学園高等学校の民俗学研究会の面々が,調査のために,常世の森を調査する。骸骨などが見つかり,竜の声のような音を聞いて逃走。その後,比夏留は,保志野春信と一緒に常世の森に戻る。洞窟は大きな貝の貝殻だった。巨大なカタツムリが存在し,竜の伝説になっていた。謎の音は大きな貝殻で風が反響している音だった。比夏留が独楽の技で貝殻を破壊し,行方不明になっていた学生達を救出した。
    〇 大南無阿弥洞の研究
     私立田中喜八学園高等学校の「蛭女山祭」で,民俗学研究会は,お好み焼き屋をする。比夏留は多量のお好み焼きを失敗する。比夏留が捨てたお好み焼きを謎の巨獣が食べていた。保志野は,謎の巨獣が「メガテリウム」だと気付く。和名はオオナマケモノ。「オオナムチ」の伝説は,メガテリウムを意味していた。比夏留達は日本刀を持つ謎の人物に襲われるが撃退。メガテリウムは森の奥に戻った。
    〇 黒洞の研究
     私立田中喜八学園高等学校の民俗学研究会の合宿。東北A県の黄頭村の旅館に泊まる。研究会は,「オシラサマ」という存在である人形を見に行った。その旅館は河童壺という壺で有名だった。旅館の女中の多田路子,板前の藤原信二,女将の藤原得子が死ぬ。原因は,妃桜貴美子という女性が死亡した嶋満智子という女性の霊を呼び寄せようとして崇徳上皇の霊を呼び寄せてしまったため。崇徳上皇の霊は自分の恨みを晴らすために,自分の敵と名前が似ていた三人を殺害した。黒洞という洞穴の名前の由来は,九郎判官=源義経が匿われていたことから。,イタリア人のカルヴィーノは河童壺を取り戻しに来たが,旅館の女将の娘であるいのり(イタコの才能を持つ)を好きになってしまった。

  • この小説に星をつけるのは負けた気がする。
    でも、続編も絶対読むつもりだし…。

    夏休みの課題図書なんかに、必ず一冊読書が苦手な子
    向けの本が入っていたりしませんか?
    にぎやかな登場人物達の冒険譚に挿絵代わりの漫画。
    それがそのままちょい大人向けになったのが本作品。
    蓬莱洞の研究、大南無阿弥洞の研究、黒洞の研究の
    3編がおさめられています。

    民俗学的な面白さを期待したのですが、それは
    ほとんど関係なし。
    でもオシラサマとかそういうワードが好きな人は
    より楽しめると思います。
    いわゆるバカミスかとも思ったのですが、ミステリでも
    ないし。もしかしてただのバカ小説!?
    さすがメフィスト。

    でもただのワーワーキャーキャーで終わらない
    雰囲気もあり、ストレスなく読み進められる
    楽しい一冊です。

    でもオンブーっていわれて「おばけ?」と思う
    比夏留ちゃんって本当に女子高生なの?笑

  • 強烈なキャラクターの比夏留が良い味出してます。
    荒唐無稽な内容を力技で推し進めてるようですが、キャラの魅力と掛け合いの楽しさでスルスルと読めました。

  •  だじゃれだなぁと……。
     うーん。いつものノリは好きなんだけれども、この話のノリにはついていけなかった。何故だろうか。民俗学的な情報量が多いからなのだろうか。つまり私の地頭が足りていない……。

  • 発想は面白いけどその他の要素が残念。
    麩菓子のような読み物です。

  • 「伝奇、ミステリー、ユーモア、学園小説の融合」という作品紹介に騙されて手にとってしまった駄洒落本。
    表紙のおかげで雰囲気はつかめたけど、文庫カバーの裏の文章はなんとかしたほうがいいんじゃないだろうか。
    手に汗握る脱力系コメディ。
    くだらん!と言いつつ続編を見つけたら手にとってしまいそうです…
    比夏留と保志野くんのやりとりがおもしろいです。続編ではぜひ先輩たちの活躍が見たいな♪←読む気になっている。
    中高生向き。
    冗談が通じない人は読んではいけない。

  • “まず、大盛りカレーライス(味が薄くて超まずい)。これでもかとばかりにカレールーのかけられたてんこもりの飯がスプーンで突き崩され、雪崩のように口に吸い込まれていく。まわりの級友たちは、三人前はありそうなその飯の山がみるみる消えていくさまを呆然と見つめていた。だが、それでことは終わらなかった。続いて、大盛りきつねうどん(味が濃くて超まずい)。洗面器のような丼に入ったうどんは、五玉はあるだろう。そのうえに揚げが五枚、蓋のように並べられている。スプーンを箸に持ち替えると、一分一秒でも惜しいというように、凄まじい勢いで麺を啜り込む。ずずずずっ、ずずずずずずっ、ずずずずずずずっ……。天井が落ちてきそうなほどの音を発しつつ、熱い汁をものともせず、大量のうどんを平らげていく。極めつけは、大盛りカレーうどんだった(味が薄いような濃いようなで超まずい)。本来、ここの学食のメニューはカレーライスときつねうどんと菓子パンだけなのだが、特別に注文して作ってもらったのだ。周囲に黄色い飛沫を撒き散らしながら、トドのようにうどんと格闘する彼女を、皆は少し離れたところから、檻のなかの猛獣を見るような目つきで見守っている。あっさりとその三品を片づけるのを目撃したあとでは、そのあと食べたジャムパン、クリームパン、あんパンが、デザートのようにしか映らなかった。しかも、彼女は、二時間目と三時間目の間の休憩時間に、早弁で、家から持参した弁当を食べている。それも、いわゆるドカベンという、縦横高さがほぼ同じの立方体みたいな馬鹿でかいやつにご飯をぎっしり詰めたものだ。
    彼女は、誰かと早食いや大食いを競って、こんなことをしているわけではない。新学期がはじまってまだ三日目だが、その間の彼女の食べっぷりを見たことのある生徒たちは知っていた。これが、彼女の当たり前の食事スタイルなのだ。
    あんパンを食べ終わって、立ちあがったとき、まばらな拍手が起こったが、気にとめた様子もなく、彼女は食堂の出口を目指して歩き出した。
    諸星比夏留は、ここ私立田中善八学園高等学校の新入生だ。背は百五十五センチと低く、胸も薄く、華奢な体躯である。胃のあたりもまるで突出しておらず、今食べたあの膨大な食べ物はどこにいったのだろう。髪は短く、両側を刈りあげているので、ボーイッシュに見える。大きくくりくりした一重瞼の目に、小さくてつんと上を向いた鼻。くすんだ藍色のジーパンに、「ちくわもとうふもおなじおでんのなかまさ」と大書きされたTシャツ。ごく普通の女子生徒に見える。”

    メンバーが皆個性的で面白い。
    とんでも歴史とありえない展開とか。
    楽しめる。
    あと、お腹空く。
    比夏留、まるで「学園」の木乃みたい。体質(?)が羨ましすぎる。

    “「じゃあ、一部始終を……」
    「うん、だいたい見ていました。なかなか面白いですね」
    「人がたくさん死んだのよ。面白がってる場合じゃないわ」
    「ごめんなさい。面白いといったのは、そういう意味じゃないんです。旅館でどういうことが起きたのか、もう少し詳しくききたいんですけど」
    比夏留は、自分の知っている限りのことを保志野に話した。できるだけ主観をまじえずに話そうと努力したが、目に見えぬものの声を聞いたり、身体が自分の意思に反して動いたことなどは、どうしても主観的な話し方になってしまう。
    「なるほど……なるほどなるほど」
    最初こそ質問を挟んでいたが、そのうちに保志野は相槌を打つばかりになり、途中からは黙って比夏留の話に聞き入っていた。だが、その目が微妙な光を帯びてきているので、比夏留は彼が興奮しているとわかった。保志野は、民俗学の話に夢中になると、人格が豹変するのだ。
    「ちょっと待ってください。さっき、パンティ・ストッキングで絞め殺したと言いましたね」
    「ええ……それが何か」
    「パンティ・ストッキング……ストッキング……スト……」
    保志野は、両手で洞窟の床を叩いた。ゴミと土が舞いあがった。
    「わかったああああっ!」
    来たな、と比夏留は思った。
    「わかったぜ、何もかも。そうか、そういうことだったのか」
    「どういうこと?」
    「教えてやろうか、比夏留」
    「ええ」”

  • スラスラと読めて面白かったです。

  • 「私立・田中喜八(でんなかきはち)学園高等学校」は、S県の片田舎にあるマンモス学校である。
    入試は、簡単至極で学費も安く来るものを拒まずを貫いている。
    その学校に入学したての女の子がいた。
    諸星比夏留(もろぼしひかる)は、今年この学校に入った女の子だった。
    大盛り(三人前くらい)のカレーライス(味が薄くて超まずい)を平らげ大盛り(5玉くらい)のきつねうどん(味が濃くて超まず)を平らげ極めつけは、本来学食にない大盛りカレーうどんも平らげたさらにジャムパン・クリームパン・あんパンは、デザートにしか映らなかった・・・。
    この大食漢の比夏留は、家が古武道「独楽」の道場で彼女は、その跡取りとして期待されていた。
    今日は、クラブ勧誘の日。
    そんな彼女は、入るを決めていた。
    フルートの音色に魅了されていて「吹奏楽部」と決めていたのだ。
    そして、あらゆる勧誘を避けて奥まった所から、フルートの音色が聞こえて来た。
    看板を見ずに古ぼけた小屋に入ると、酒臭いおじいちゃんが寝そべってフルートを吹いていた。
    その音色は、美しく優雅で上品な音色だった。
    その演奏を終えて、「入部希望です」と言った比夏留だったが・・・。

    吹奏楽部だと、思って入ったのは「民俗学研究会」だった。
    個性豊かな先輩たち連れられ、あれよこれよで洞窟の調査に出発。
    そして不思議な事件に巻き込まれる・・・・。

    伝奇、ミステリー、ユーモア、学園小説の形を取る「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会」シリーズ第一弾です。
    かなり詳しい民俗学に個性豊かなキャラクターが事件に巻き込まれる話です。
    結構面白いですよ~♪
    ちょっぴり昔にも詳しくなるかもです。

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著者プロフィール

1962年大阪府生まれ。神戸大学卒業。93年「凶の剣士」で第2回ファンタジーロマン大賞佳作入選、短篇「落花する緑」で「鮎川哲也の本格推理」に入選しデビュー。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で第62回日本推理作家協会賞短篇部門を受賞。ミステリー、ホラー、伝奇と様々なジャンルで活躍し、時代小説では「鍋奉行犯科帳」「浮世奉行と三悪人」などのシリーズなどがある。

「2023年 『貧乏神あんど福の神 秀吉が来た!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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