死都日本 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (644ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062761956

作品紹介・あらすじ

西暦二〇XX年、有史以来初めての、しかし地球誕生以降、幾たびも繰り返されてきた"破局噴火"が日本に襲いかかる。噴火は霧島火山帯で始まり、南九州は壊滅、さらに噴煙は国境を越え北半球を覆う。日本は死の都となってしまうのか?火山学者をも震撼、熱狂させたメフィスト賞、宮沢賢治賞奨励賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 2002年第26回メフィスト賞受賞
    2005年第15回宮沢賢治賞奨励賞受賞
    2005年日本地質学会表彰 火山界からのエールですね

    作者の石黒さんは、医師であり火山マニア(に違いない)。SF災害小説。クライシスノベル。
    九州霧島山の地下加久藤火山が破局的噴火。そこから九州に連なる火山が活動を始める。
    他のメフィスト賞とはちょと違うのでは⁉︎
    “日本沈没”や“復活の日”みたいなやつでは⁉︎
    期待感が膨らみます。
    マニアらしく使われている地図や地名、火山等、かなりの知識の下のリアリティです。
    火砕流が海上を進み、ついには鹿児島まで到達。
    九州はほぼ全滅。
    火山学者がこの火砕流から逃げながら、災害の被害の広がりを表現していきます。
    この後、南海地震、東海地震へと予測される中、日本は国家として生き残る為の戦略を立てる。
    「神の手作戦」として、売られる円を買い支えアメリカ政府と交渉を試みる。
    最後の一手は、首相により発表された日本国土の復活案。太古からの災害を避ける新しい国土造り。この戦略により死都日本は復活の希望を得る。
    ストーリーの中で古事記の中の火山活動描写や ヨハネ黙示録大バビロンの焼失を盛り込む。ここが興味深いところなんだけど、そこで緊迫感が薄れたりするような気もするんですが面白いんですよね〜。

    • ひまわりめろんさん
      うん、書庫に入ってたんで司書の人に取ってきてもらったらぶ厚いの運んできてさ、ほら僕人見知りだからやっぱいいですとは言えなかったので借りてきた...
      うん、書庫に入ってたんで司書の人に取ってきてもらったらぶ厚いの運んできてさ、ほら僕人見知りだからやっぱいいですとは言えなかったので借りてきたけどもw
      2024/04/03
    • 1Q84O1さん
      今度は人見知りシングルで参加してくださいね〜w
      今度は人見知りシングルで参加してくださいね〜w
      2024/04/03
    • 1Q84O1さん
      っていうか、ひま師匠のことだからぶ厚かってもどーせすぐ読んじゃうんでしょ!
      っていうか、ひま師匠のことだからぶ厚かってもどーせすぐ読んじゃうんでしょ!
      2024/04/03
  • 阿蘇に旅行に行くので再読!この小説のおかげですっかり火山ファンです♪『死都日本』の舞台は霧島火山付近ですが、阿蘇山も同じ九州のじょうご型カルデラ火山なので、予習(?)はバッチリ!

    『死都日本』の舞台は九州南部の火山地帯。破局的噴火に巻き込まれた主人公・黒木の運命を描く災害小説的な側面と、噴火によって国家滅亡の危機に瀕する日本を存続させる為に国内外で知略を尽くす、もう一人の主人公・菅原総理を描く政治小説的な側面もある、濃厚な超大作です!

    ストーリー自体はフィクション(…というよりも火山が噴火したら何が起きるかをシミュレーションした小説のような感じ)ですが、火山に関する解説や過去の事件は事実に基づいていて、アイスランドのラキ山の噴火のせいで日本で江戸時代に大飢饉が起きた事があるとか、噴火の後の土砂災害がかなり危険な事とか、オドロキの事実の連続!

    著者の石黒耀さんはなんとお医者さま!…なのだけどかなりの火山好きのようで、火山に関する記述は科学的にも確かなものなのだとか(しかも図解あり)。さすがお医者さま。火山学者の中での評判もよく、「破局噴火のリスクと日本社会」というシンポジウムが開催されるほど!民俗学、政治、経済の知見を生かした緻密なストーリー展開と、素朴なセリフ回しや表現が…

    ギャップ萌えです(о´∀`о)!!

    火山大国・日本に住む人は全員読んだ方が良い珠玉の名作!私は『死都日本』の影響で、トンガ火山が噴火した時は米をひとり大量買いしました(^_^;)。価値観が変わる一冊です!

  • 600ページ超の長編読了しました!読み応えのあるSFでした。日本の抱える宿命である火山噴火について専門的な説明も加わり楽しめました!

  • 10年以上前の本だが、まるで今の日本の地学的な状況を暗示しているような作品。日頃から、地震の恐怖については、3.11以前も以降もよく取り上げられていたが、火山については、ここまでの、スケールで描かれた作品があっただろうか。

    霧島の破局的噴火の様子はリァリティに富み、想像を絶する災害の様子が本当に恐ろしい。古事記や黙示録の会社も説得力がある。

    惜しむらくは、主人公の脱出劇が都合よく運びすぎる感じがするのと、政治家が、事前の準備を周到にしすぎている点が、ご都合主義を感じさせるが、ただ、原発に対するスタンスなんかは、ものすごい慧眼で、この作者はただもので無いと、強く感じた。

    何点か、災害小説を書いているようなので、読んでみたい。

  • 研究書?のような難しい内容だったが、本当の防災って何なのかすごーく考えさせられた。今、現実となってもなんら不思議ではない「破局的噴火」。
    生きるためにはお金がいるんだけど、なんか人間の存在がちっぽけに感じてしまうくらいのことを突きつけらた感じ。でも何が出来るんだろう?

    2002年の作品。
    2011年の大震災を著者はどのように感じたのだろう。

  • ifをこれだけ正確に描写できる筆力と、壮絶な想像力を評価したい。

  • 霧島の位置で破局的噴火が起こり九州南部は消滅、火山の冬で日本列島ほぼ全域も壊滅的被害が予想される、という大災害とそれに対応する人達が描かれる。600ページ近くあって、冒頭200ページくらいはかなり退屈に近かったけれど、古事記の描写が使われていたりしてなんとか読み切っていたら、真ん中くらいからはだんだん面白さを感じてきた。
    地勢とか国土とか、ほとんど気にしたことがなかったけれど、そういうものに関心を持った時点で読んだ価値はあった。
    191027

  • 現代人の想像を遥かに超える規模の破局(的)噴火を描いたパニック小説。規模が大きすぎて自分の想像力が追い付かないかもれない。主人公たちがギリギリのところで生き延びるのはまあお約束ということで。映画化を見てみたい気もするが、こちらも規模が想像を絶するのでなかなか難しいのだろうか。

  • もっと早く読んでいればよかった、、とおもうほどおもろかった。主筋は霧島火山帯の加久藤カルデラが破局的噴火をして、九州はもちろん西日本まで壊滅、フィジカルな災害だけでなく円が大暴落して経済的にも国家の危機を迎えるというストーリー。面白いのは火山や噴火の日本や世界における歴史、古事記やギリシャ神話、聖書などに出てくる災厄に火山の記述が多いことをエビデントを絡めて、いろんな国の人がそれぞれの言い伝え的なストーリーをもっているのがうまいタイミングででてきて唸ります。おもろいです。人間ドラマを期待して読むとがっかりされる方もおるかもしれませんが、私の好きな薀蓄型でヒーロー多数、足引っ張り役少なく、ヴィラン少なめという設定。最初から最後まで飽きさせず面白かったです。石黒本もっと読みたいと感じました。

  • 「SF超入門」から。

    「地震大国ニッポン」の認識はあったけど
    火山大国でもあったんですね
    関東平野に住んでいると忘れがちだ。

    通勤途中の電車内で読んでいて、何度も背筋が寒くなった。
    本の中の大惨事と、日常とのギャップにくらくらした。

    「解説」もよかった。
    ”日常生活で遭遇するさまざまな災難”を聞かれたら、自分も”火山”は思いつかない。
    でも、火山の恐ろしさは地震以上だと知った。

    発刊されたのは20年近く前みたいだけど、今こそ読むべき。
    そして事前にイメトレが大事だ

    ---
    ・「どんな状況に陥っても、決して希望を失ってはいけません。24時間生き延びれば、救出される可能性はずっと高くなります。以上」77
    ・皮肉なことに、「その詳細がかえって避難を遅らせた」とのちに非難されることになってしまった。189
    ・結果的に、大部分の警報区域内住民は、どんどん暗くなってくる空を不安げに見上げながらも、避難するどころか、情報を求めてテレビの前から離れられなくなってしまったのである。190
    ・今、南九州では1秒に200人以上死んでいるはずだった。菅原はひしめくテレビカメラの軍に向かって、そして自分が優柔不断だったために24時間以内に命を落としていくであろう200万人の人々に向かって深々と頭を下げた。224
    ・自分の分だけでなく、避難してくる人の分も溜めて下さいよ。自分のことだけ考えると、冗談抜きで国が滅びますぞ。423
    ・「一人で死ぬのは淋しかとですよ。お付き合いしましょう」445
    ・もし判定がクロと出たら、日本は一体、どうなってしまうのだろう?自分は一体どんな顔で、判定を放送するのだろう?レポーターはそれを思うだけで泣き出しそうであった。535

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著者プロフィール

1954年、広島県生まれ。医師、小説家。阪神淡路大震災に遭遇したことを契機に執筆を開始。地変国日本のあり方を問うた処女作『死都日本』(第26回メフィスト賞受賞作)でデビューし、その科学的根拠に基づいた緻密な構成力と、圧倒的なスケール感で、読者に異例の反響を呼ぶ。他の著書に、『昼は雲の柱』『樹の上の忠臣蔵』(ともに講談社)がある。

「2010年 『震災列島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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